著者 浅田 次郎
出版 徳間文庫(上下巻)
2023年の本の〆は浅田次郎。
著者の時代物の作品には、江戸時代或いは明治維新後も含め、武家社会の空洞化つまり制度の形骸化や本音と建て前の乖離、市井の混乱などを焦点にした作品が多い。著者が”繁文縟礼”と四語熟語で表現しているのがそれだ。この作品もその系列に連なる。
タイトルが表している通り面白いところに視点を当てたものである。徳川260年の天下太平の世で積み上がった借金が25万両。これをいかに処理するか。お殿様は家の格と権威で棒引きに出来るのか。そのドタバタを巡って何と七福神までが登場するのはご愛敬。
著者自身が面白がって書いているのが伝わって来る。その熱に引っ張られて一気に読んだ。
映画化が進んでいるようだ。そのシナリオは群像劇の三谷幸喜こそ相応しい。主人公の殿様のキャスティング(2,3の腹案あり)よりも七福神を誰にするか、これをイメージを膨らましながら決める作業は楽しい。勿論弁天は女優。エロ・グロ・ナンセンス・奇妙奇天烈。監督が果たして考える配役は?腕の見せ所になろう。
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