CINECHANが観た映画について

映画ブログ。感想というより記録のようなもの。
基本的にはネタバレに近いものがあります。

23-106「聖地には蜘蛛が巣を張る」(デンマーク・ドイツ・スウェーデン・フランス)

2023年05月06日 12時28分23秒 | デンマーク映画
街を浄化している奴を、警察が捕まえるか
 2000年代初頭。イランの聖地マシュハドで、娼婦を標的にした連続殺人事件が発生した。
 「スパイダー・キラー」と呼ばれる殺人者は「街を浄化する」という声明のもと犯行を繰り返し、住民たちは震撼するが、一部の人々はそんな犯人を英雄視する。真相を追う女性ジャーナリストのラヒミは、事件を覆い隠そうとする不穏な圧力にさらされながらも、危険を顧みず取材にのめり込んでいく。
 そして遂に犯人の正体にたどりついた彼女は、家族と暮らす平凡な男の心に潜んだ狂気を目の当たりにする。(「作品資料」より)


 実在した連続殺人犯、スパイダー・キラーによる娼婦連続殺人を基に製作されたサスペンス・スリラー。

 イランの聖地、マシュハドで娼婦が連続して殺される事件が発生。

 ジャーナリストのラヒミは、真相を追うためマシュハドにやって来る。

 犠牲者は出るものの、なかなか容疑者も挙がらない中、ラヒミは自ら囮となって犯人をおびき出し、捕まえようとする。

 聖地と言われているマシュハドは、イスラム教の影響下にあり、女性は外へ出る時、あるいは家の中でも髪を隠している。

 そんな聖地にも、体を売る女性はいるのだが、この作品の中ではシングル・マザーが多い。

 スパイダー・キラーと呼ばれる犯人は、殺人の度に新聞社に電話をして、街を浄化しているということを訴える。

 そして、必ずしもそんな犯人を真剣に捕まえようとしていないのではないかと疑うラヒミ。

 物語は、犯人逮捕までの話だけではなく、逮捕された後にも物語は展開していき、そちらの方が重要だと思わされる展開。

 青天の霹靂という感じの犯人の家族であるが、娼婦は殺されて当たり前だというような類の発言をし、やがて犯人の長男が父親の行動に心酔していくような様子を見せていく。

 犯人のサイードを英雄として支持し、無罪を訴える者たちも現れる中、果たして裁判の行方はどうなるのか。

 娼婦だけでなく、女性に対して、差別感を感じる街の様子。

 楽しめる作品とは言えないが、興味深い話ではあった。

 サイードの息子の最後の映像が、この先の怖さを感じさせるものがあったな。

/5

監督:アリ・アッバシ
出演:メフディ・バジェスタニ、ザーラ・アミール・エブラヒミ、アラシュ・アシュティアニ、フォルザン・ジャムシドネジャド
於:ヒューマントラストシネマ渋谷

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