おまえの話を聞かせろよ
元アイドルの安希子は、幸せで充実した人生を歩んでいると自分に言い聞かせながら日々の仕事に励んでいた。
しかし、ある日の通勤途中、駅で突然動けなくなってしまう。メンタルを病み会社を辞めることになった安希子は、仕事もなく、男もなく、手残り残高は10万円という厳しい現実に直面する。
そんな時、友人から、都内の一軒家でひとり暮らしをする56歳のサラリーマンとの同居生活を提案される。
予想外の提案に戸惑いながらも安希子は、ササポンと呼ばれるその中年おじさんとの奇妙な同居生活を始めるが。(「作品資料」より)
充実した日々を送っていたと思われた元アイドルの安希子。
しかし、メンタルをやられ会社に行けなくなり、結局退社。
部屋から出られない生活が続く中、親友から一人暮らしをする人物との同居を勧められる。
貯金もわずかの安希子は、その話に仕方なく同意するが、同居相手は56歳のおっさんであった。
何とか人生勝ち組になりたいともがく安希子に、同居相手のおっさん、ササポンは励ましたりするわけでもなく、マイペースで話を聞き、感想を言うだけ。
しかし、そんなササポンとの不思議な空間が、いつしか安希子の心を癒していく。
安希子はライターとして仕事をしており、やがてササポンとの奇妙な同居生活について書き始める。
それがヒットして、今回の映画化まで漕ぎ着ける。
作中でもササポンが言っていたが、他者によって再生する女性の物語である。
安希子は鬱という感じではなかったが、朝出勤途中で急に足が動かなくなる。
自分は充実していると多分言い聞かせながら日々を送っていたんだろうな。
どこか急ぎ過ぎている安希子に対し、スロー・ペースのササポンの言葉なんかが効いたんだろうな。
安希子の気持ちも判らなくはない話。
家族でも恋人でもないおっさんとの同居で新たな一歩を踏み出せるようになった女子の物語。
再生物語は多々あるが、また変わった設定の物語であった。
作中でササポンが言った台詞に納得。
この先使おうかなと思ったりしたな。
〝それは人による〟
/5
監督:穐山茉由
出演:深川麻衣、松浦りょう、柳ゆり菜、猪塚健太、三宅亮輔、森高愛、河井青葉、柳憂怜、井浦新
於:TOHOシネマズ日比谷
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