会津天王寺通信

ジャンルにこだわらず、僧侶として日々感じたことを綴ってみます。

心の健康を保つための本を読む 柴田聖寛

2024-03-19 15:11:11 | 読書

 心の健康を保つには、脳のことを知らなければなりません。高齢になったことで、私もストレスに関心を抱くようになりました。アンデッシュ・ハンセンの『メンタル脳』(久山葉子訳)を読んでたことで、色々と勉強になりました。かいつまんで紹介したいと思います。
 脳が進化したのは、私たちが生きのびるためです。そのために安全な環境を維持したという感情が湧くのです。不安を感じるのは、何かがおかしいと私たちに伝えるからで、それ自体は問題がありませんが、不安が強すぎると「パニック発作」に襲われたりします。
 危険というものも時代とともに変わってきました。猛獣に襲われるとか、ちょっとした病気で亡くなることはなくなりましたが、それと違った危険にさらされています。世の中が複雑になったためで、ストレスから身を守るためには、深呼吸をするとか、つらさを言葉にする必要があります。忘れてならないのは、不安になるというのは、私たちを助けるためですから、うまく付き合うことです。
 世界は戦争、コロナ禍、気候変動とかいうように、世界は重大な脅威にさらされていますが、それに対処するには、私たち一人ひとりには限界があります。このため、その本では、自分が好きなことをするとか、世界が良くなるために自分ができることをするとか、ニュースやSNSに振り回されないような生活を提案しています。
 それでもネガティブな感情から抜け出せないときには、両親や学校の先生に助けを求めるのが得策です。メンタルを強化するためには、薬と運動、さらには、自分の感情を言葉にして語るセラピーも効果的です。それとは逆に警戒すべきは孤独であり、SNSによる過度な刺激です。
 私が深く共感したのは、幸せを追い求めず、身近な人間に幸せの材料を発見し、他人と一緒になって意味のあることに夢中になるという考え方です。
 脳はうまくできており、そこには進化の跡が刻まれていますが、その本に書いてあることは、仏教の教えと一緒だと思います。利他の精神で菩薩行に徹することの大切さを述べているからです。皆さんも是非お読みください。もし貸してほしければ、会津天王寺までお越しください。

        合掌



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