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Retro-gaming and so on

ソード・ワールドSFC その0

SFC RPG四天王」と言う記事をあげたが。
個人的にはSFCで一番オキニの和製RPGはその4本からかなり遠いブツである。
それがこれ、ソード・ワールドSFCと言う(恐らく)マイナーRPGだ。

何故僕がこの和製RPGをオススメするのか。
もうずーっと何度も言ってるが、要するにRPGは好きでも経験値稼ぎが好きじゃないのだ。もうWizardryからこっち、RPGと言えば膨大な経験値を時間をかけて稼ぐこと、となっている。敵とチマチマ戦っては一生懸命金と経験値を稼いで・・・・・・。
そう、殆どのRPGだと事実上ゲームプレイの大半は時間つぶしなんだよな。バブル時期ならともかく、不況の現代だとそういう優雅な時間の使い方は出来なくなってるのだ(だから若い連中にとって、CRPGは人気がない分野になった)。

一方、マイナーだけどもう一つのスタイルのRPGがある。ミッションクリア型と言われる方式だ。これはイベントをクリアする事自体で経験値が稼げる方式だ。チマチマと経験値を稼ぐのではない。大きく経験値が稼げる。

ここでこの二つの方式は実は真逆のアプローチだ、と言う事が分かるだろう。

  • 普通のCRPG -> イベントをクリアする為に経験値が必要
  • ミッションクリア型 -> 経験値を稼ぐ(レベルアップする)為にイベントが必要
そして、RPGの原型、TRPGは後者の方式なのだ。

元々、「経験値」と言うのは・・・・・・もちろんモンスターを狩っても得られるが、イベントをこなす事で得られる「ご褒美」なのだ。
しかし、和製RPGの殆どは、TRPGの経験が無い人が発展させてきた為に、とにかく経験値は「敵と戦って得られるモノ」となってしまった。
そしてもう一つ理由がある。イベントで経験値を配る方式にしてしまうと、要するに「RPGをプレイする総時間」が減るのである・・・・・・。
とにかく「RPGは経験値を地味に稼いで時間をかけて解くゲーム」と言う事にしたい為、ゲームを短く終わるような要素は排除すべきだ、と言うようなおかしな状態になってる、ってのが本当のトコだ。
いわゆる「超大作」志向だな。

しかし、このソード・ワールドSFCは珍しくミッションクリア方式のCRPGである。だから多分、RPGとしては割に「早く終わる」部類だとは思う。
でもだからこそ、僕が好きなSFCのRPGになっているのだ。

さて。ソード・ワールドSFCの背景を説明しよう。
これはクソゲー企画者グループSNEとT&Eソフトが組んで作ったRPGである。

もうちょっと細かく説明していこうか。

グループSNEはロードス島戦記と言うクッソしょーもないゲームをPC-8801/PC-9801を始めとするPC用に作ったわけだが。
このベースとなったゲームエンジンをTRPGとしてリリースする(今のロードス島戦記RPG)。そしてその改良版として作られたTRPGが初版ソード・ワールドRPGだ。
ソード・ワールドRPGはロードス島戦記RPGと比べると「かなりこなれた」システムになっている。ここで初めて、グループSNEはTRPGのシステム屋として性交成功を収めた、と言って良い。まぁ初の快挙である。
そこでグループSNEはCRPG作りの老舗、クリスタルソフト(夢幻の心臓を制作・販売した会社)と組んでソード・ワールドのCRPGを作ろうとする(※1)。本邦初の「TRPGの完全CRPG化」を目論んだのだ。
しかしこの開発が難航する。1980年代末に開発が始まったらしいが、何と開発が3年近くかかり(今だと珍しくないが、当時としては破格の開発期間の長さである)、その間にクリスタルソフトが倒産してしまう。
そこにヘルプとして現れたのが、ゴルフゲームの雄T&Eソフトである。いや、どっちかっつーとPC黎明期でのクリスタルソフトのライバル会社か(笑)。
要するにハイドライドを作ったメーカーだな。そこがクリスタルソフトをお買い上げくださって、無事開発を終えて販売にこぎ着けたわけだ。

ちなみに、このゲーム、ソード・ワールドPCは大傑作CRPGだ。
ハッキリ言う。国産RPGだと一番面白いRPGだと言って良い。
個人的にはドラクエやFFなんかのシリーズより上だと思っている。
不思議だろ?グループSNEってのはどっちかっつーと「クソゲーの企画」しかしねぇトコなのに。ロードス島戦記なんかボロっカスに書いてたろ?とか思うだろう。
うん。でもこれは面白いのだ。
一つの理由としては、僕はグループSNEは「システム屋」だと思っていて、要するに「ソード・ワールド」と言うRPGのシステム自体はこなれてて悪くない、と言う事。要するにシステムとして見た時、(短期間で作った)ロードス島の何とも不完全なゲームシステムに比べるとソード・ワールドは圧倒的にブラッシュアップされてる事が分かるのだ。
まずこれが第一点。
もう一つは、このゲーム、「押し付けがましくない」のだ。
ハッキリ言うと、グループSNEは「凝ったシナリオ」書こうとすると失敗するんだ。グループSNEにはマトモなCRPGのシナリオ屋は「まずいない」って考えた方が良い。
差別的だと思う?いや、違う。
そもそもTRPGのシナリオ一つ、っつーのはそんな長くないものなんだ。っつーか長く出来ない。
プレイヤー集めて毎週週末にプレイします、とか言ったって、2〜3時間もやれば「終わる」分量じゃないとならんのだ。つまりいくら何でも「数時間ぶっ続けで行うシナリオ」なんつーのはやれないし書けない。
つまり、グループSNEが本当に得意なシナリオってのは、上で書いたような「一つは長くても2〜3時間で終わる大した事がない分量」のシナリオなのである。
ソード・ワールドPCが優秀なのは「無理な事はしない」に徹してる事。最初に最終目標が提示されるワケでもなく、「小さい」イベントを順繰りこなす仕様にしてる事。各シナリオは短く終わる分量になってる事。勇者がいない事。
結果、「グループSNEの厨二病的なシナリオのダサさ」が完全に封殺されている。そしてそういう意味で言うとWizardryみたいな「薄いシナリオ」がたくさん入ってる形式になってる。その数50。
つまり、個々の質より総量的なモノで勝負をかけてて、それが上手く行ってる例だと言えよう。小さい話でも全部で50個もあれば大作になるだろ?ってのはそりゃその通り、なのである(笑)。

ちなみに、グループSNEは「二匹目のドジョウ」を狙うのが好きなようで、メディアミックスをやっても通常は失敗するのに、やめときゃエエのに、例によってこのソード・ワールドPCの小説として、メインライターの下村家惠子に小説版を書かせている(死せる神の島)。
でもこの小説版はソード・ワールドPCと全くカラーも違うし、話の骨格はソード・ワールドPCと共有しながらも全く別の作品と考えて良いと思う。
せいぜいソード・ワールドPC内の登場人物が小説版にも出てるよ、程度であり、ロードス島戦記みたいにゲームが「原作があるよ」としつこく暗喩するような雰囲気でもないのだ。
結局、下村家惠子って人は良く知らんが、彼女は「節度を持っていた」と言う事なのだろう。結果ゲームはゲーム、小説は小説、と事実上全くの別物なのだ。

と言う辺りで、ソード・ワールドSFCの話に入る。
要するに、ソード・ワールドSFCってのはソード・ワールドPCのダイジェスト版である。
本当の事を言うとソード・ワールドPCをプレイして欲しいトコなんだけど、「ソード・ワールドの世界に慣れる」と言う前提だとソード・ワールドSFCは割に入門編としては良いと思うのだ。
そう、ドラクエやFFなんかのシステムに慣れてると「あれ?」って戸惑いを感じるシステムなのは間違いないから、である。
従って、「ダイジェスト版」であるソード・ワールドSFCの存在は悪くはない。

ソード・ワールドSFCでは古典的CRPG、WizardryやUltima、あるいはドラクエIIIのように「キャラを作って」ゲームを始める。

 

ただし、ここで作るキャラは「マジで貴方の分身」なのだ。
WizardryやUltimaのように「パーティーメンバーを全員作る」わけではない。
そうではなくって、このゲームでは「貴方の分身」がアレクラスト大陸、オラン王国各地に散らばってる「パーティーメンバー候補」を自らリクルートしてパーティを編成しないとならないのだ。



そして、WizardryやUltima等と同じように「貴方は人間である」必要はない。
ソード・ワールドSFCでは基本的に5種族が用意されてるし、性別もある。
結果10種類程の組み合わせから好みのものを選べば良い。


  • 人間: 平均的な能力を持つ種族。修得しているスキル(技能)や冒険に出る前の経験値(グループSNE作品は「経験点」と呼ぶが)は「生まれ」によって違う
  • エルフ: 器用さ、敏捷さ、知力に長けているが、筋力に乏しく近接戦闘にあまり向かない、と言う「Wizardryでお馴染みの」種族(ハッキリ言うけどD&Dのエルフとは違う)。必ずシャーマンスキル(技能)を持っている。しかし、神を信じてないのでプリースト技能は持てない(ここはAD&D第一版的)。
  • ドワーフ: 筋力、生命力、精神力に長けているが、敏捷性に欠ける種族。シャーマン技能とソーサラー技能を持つことが出来ない。反面、プリースト技能は得られる(ここはAD&D第二版的)。
  • グラスランナー: いわゆるホビット。器用さ、敏捷性、生命力、精神力は高いが筋力が殆どない種族。また魔法は全て使えない。そのテのスキルは得られない運命の種族である。スキルとしてはレンジャー技能とシーフ技能は必ず持ってる。なお、植物や昆虫と話す事が可能(だがこれが活きるかどうかはシナリオ次第、となる)。
  • ハーフエルフ: これはAD&D(現在ではPathFinderが近い)ではお馴染みだが、WizardryやUltimaには無い「人間とエルフのハーフ」である。能力的には「育ち」に準じ、エルフに育てられてればエルフ寄り、人間に育てられていれば人間寄りの能力を持つ。
と言うのが大きな特徴ではある。
まぁ、好きに自キャラを作ればいいのだが、一方、凝る人は「パーティメンバーをどんなヤツにするか」で、それを補うようにして自キャラを作って最強パーティを作りたい、とか言い出すかもしんない。
それも「アリ」なんで、ここでどんなキャラがリクルート出来るのか、紹介しておこうと思う。



パーティメンバー候補は総勢10名で、この中からパーティメンバーを選ぶ(これも候補数はソード・ワールドPCのそれよりも減っている)。
そしてパーティは最大で5人、である(これもソード・ワールドPCより一人減っている)。

なお、このゲームは言わばマルチクラスのゲームだ。
言い換えると一人のキャラは種族的な条件を満たせば兼業出来る、と言う事だ。
これは、当時TRPGで流行りだしたスキル制の影響を受けて作られたシステムだが、ソード・ワールドRPGの場合、「特技」をスキルとして設定せず、「職業」をスキルにした。その方が簡単で分かりやすいから、だ。
結果、このゲームはマルチクラスのゲームになったのだ。

ここで得られる職業、つまり技能は次のようになっている。

  • ソーサラー: いわゆる魔法使い。要メイジスタッフ。鎧はソフトレザーまで、と言う制限がある。
  • シャーマン: 精霊魔法、と言う魔法を操る。銀製の鎧以外は金属製の鎧は身につけられない、と言う制限がある。片手は必ず開いてる事。
  • ファイター: 戦士。自己の筋力までの鎧を身につける事が出来る。
  • シーフ: 盗賊。武器も防具も自分の筋力の半分以下でないとならない。鎧は非金属製に限る。クリティカルが出やすい。
  • プリースト: いわゆる僧侶。鎧や武器の制限はない。
  • レンジャー: 鎧は非金属製で、筋力値の半分まで。また、弓等の飛び道具が得意で、筋力値まではあらゆる飛び道具を使う事が出来る。
  • セージ: 学者(※2)
  • バード: いわゆる吟遊詩人。「呪歌」と呼ばれる歌を歌う事によってステータスを上昇させたり下降させたりする・・・・・・もっとも敵味方関係無いので結構迷惑な能力。
通常のRPGでは「職業☓☓は△△が装備出来ません」で終わるが、このゲームは複雑に絡み合ってる。
つまり、例えば、戦士+盗賊、と言うキャラを作成可能だが、戦士の条件でフル装備すると、盗賊スキルが発揮されないのだ。
反面、戦士としては情けない盗賊縛りでの武器、防具を使うと、結果やたらクリティカルが出やすい戦士になる、って言うわけ。
この辺の武器・防具とスキル(技能)の組み合わせを色々と考えるのが自キャラとパーティメンバーを「育てる」楽しみとなる。

また、プリーストを選んだ場合、信仰する神を選ばないとならない。
この「信仰する神」によって僧侶呪文が若干変わるのである。

  • ファリス: 特にナシ
  • マイリー: レベル5で攻撃力UPの呪文、「バトルソング」を覚える。
  • ラーダ: レベル3で敵の弱点が分かる「ウィークポイント」を覚える。敵への攻撃のクリティカル値が1減る。
  • チャ・ザ: レベル1で「ラック」を覚える。生命抵抗が失敗した場合、1度だけ術者を護る。
  • マーファ: レベル3で「ピース」を覚える。掛かった者から憎悪を取り払う。
まぁ、大した違いじゃねぇ、って言えば違いじゃないけどね。
なお、このゲームでの最高レベルはレベル5である。
「低ッ!」って思うかもしれないけど、「複数の職業を兼任する」前提だとさして低くもない値である。例えば3つ職業を兼任すれば、それは単純にはフツーのRPGで言うとレベル15にも相当するだろう。


なお、このゲームでは種族が人間か、人間育ちのハーフエルフの「初期技能」は完全にサイコロ任せの運任せ、である。
つまり、ランダムで「生まれ」が決まり、それによって初期技能が決まる。
このゲームがこのシステムの割にクリティカルじゃないのは、結局、種族さえ許せばスキル(技能)は稼いだ経験値で「買える」モノだからだ。スキルのレベルアップでさえ経験値で「買う」のがこのゲームのシステムである。
なお、生まれは「騎士/貴族」が出る確率が一番低く、「一般市民」が出る確率が一番高いわけだが、初期資金は「騎士/貴族」が一番多い。つまりそれがある種「騎士/貴族」のボーナスとなっている。

なお、「生まれ」と初期スキルの関係は以下のようになっている。


そして「生まれ」を決定した後、余った経験値(グループSNE風だと経験点)を使って好きなスキルを「買って」キャラメイクは終了、となる。

 

 

なお、今回は女性4人組で挑戦してみようと思う。


パーティメンバーは以下の通り。

・プラム

 

・エリディン

 

・マイラ

 

種族も人間・グラスランナー・ハーフエルフ・エルフ、とバランスが良いのではないだろうか。
これでキツいようなら一人ドワーフを雇えばいいと思う。

なお、自キャラのビアン以外は、全員初期装備を持ってるが、ビアンだけは持っていない。
よって最初にする事は自分の武器と防具を揃える事である。
なお、現時点ではビアンはファイター/セージなので自分の筋力いっぱいまでの武器と防具を買う事が出来る。
また、プラム用に弓と矢を買っておいて良いと思う・・・必要筋力の半分、と言えばショートボウの(2)しかないけどね・・・ねぇよりゃマシだってこった。

と言うわけで、次回からソード・ワールドSFCの世界の冒険を始めよう。


※1: グループSNEは兵庫県に本拠を構える株式会社になっており、彼らが何かコンピュータゲームの企画を考える時、大体に於いて同じ関西圏のメーカーに声をかける例が多い。
ロードス島戦記のオリジナルのプログラムを開発したハミングバードソフトも大阪の会社だし、クリスタルソフトも大阪の会社である。
言っちゃ何だが、グループSNEのゲームが一般人に受け入れられない頑なさを持ってる原因、と言うのが、そもそもこういう「関西ローカルに根ざした」視点しか持ってないからなんじゃないか、と言う辺りが挙げられるだろう。どこまで行っても「サークル活動の延長線上にしか」無く、最初っから「広い視点でのビジネス」を考えてない、と言うのがこれによってバレバレだから、だ(要するにビジネススタイルからして「内輪受け」なのである)。
確かに角川や旧アスキー等の庇護でもなけりゃあどーにもなんなかっただろ、ってのが良く分かるのである。
※2: このSFC版だとあまり役に立たないスキル。
なお、原作のソード・ワールドRPGだと、セージスキルとソーサラースキルは密接な関係があり、ソーサラースキルはレベルアップに必要な経験値が一番多いのだが、セージと兼業だとレベルアップに必要な経験値が減る、と言ったボーナスがあった。
しかしながら、ソード・ワールドPCもソード・ワールドSFCもそこが実装出来なかった為に余計にセージの価値が無くなってしまった。
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