プランと資金のお話

本日はプランのお話と資金の際のお話のふたつを。

お家の打ち合わせをしているときに、
「両親のために和室をつくりたい」
「みんなを集めてパーティを開きたいのでオープンキッチン付きの大きなリビングがほしい」
というお話を聞くことがあります。

土地と費用面で余裕があればもちろん素敵なお考えと思います。
私もできうる限りの知恵を絞ってプランを考えさせていただきます。

しかしその中でよく考えていただきたいことは、何回くらい利用する空間でしょう？
という視点です。

先日のお客様のご希望はトイレの廻りに空間が欲しいというご要望でした。
理由としましては介護を考えた際に空間が必要とのこと。

大切なことですね。

しかしトイレの廻りに空間をつくると他の空間に不具合が生じます。

しかもその介護が必要な方はご一緒に住まわれる方ではなく、訪れるかもしれない友人のために
とのご要望でした。
そのご友人は頻繁に来られる方なのですか？とお聞きしますと、来るかもしれないし来ないかもしれない
との回答でした。

私からはトイレの廻りに空間をつくることは可能ですが、その分、日々の生活に少々無理が生じてしまいます。
来るかもしれないし来ないかもしれないご友人のために空間を確保しておくというお考えはとても素敵とは思いますが、果たして本当に必要でしょうか？
とお伝えし、トイレの廻りの空間はペンディングとなりました。

ご両親のための部屋、パーティのための空間。果たして年に何回行うことでしょう？
もちろん土地に余裕があり、費用面でも可能であれば建て主の夢を実現させるために知恵を絞りプランを作成します。

しかし中にはご両親はいままで日帰りばかりで一度も泊ったことはない、パーティも開いたことはない、というお話を聞くことがあります。

私はお家にかけられる費用面などを建て主様と相談し、庭でパーティを開けるような提案をしました。
そのために建設費用面では面積的にはオーバーすることはなく工事を進めることはできました。

ご両親も泊れる空間は四畳半や六畳の和室を設けてしまいますと面積的には他の部屋が狭くなってしまうこともありましたので、リビングの一角を畳スペースとし、場合によっては仕切れる仕組みにしたこともあります。

土地の面積や資金面で余裕があれば比較的容易に可能なこともありますが、年に数回しかしようしない空間や使わないかもしれない空間のために費用をかけることは一度一歩引いてお考えになられることが大切と思います。

空間よりも電磁波対策や化学物質対策など素材に費用をかける方が毎日の生活にとりましては笑顔の多い空間になるのではないでしょうか？

もうひとつ。これは私の個人的な経験です。
ある方は資金計画の際に〇〇万円で計画をお願いしたい、とのことでした。
私は知恵を絞り、プランを作成しましたがどうしても、いくつもあるご要望の中のあるひとつのご要望を叶えることが難しい状況でした。しかし資金計画上、非常に難しい状況でした。何度か費用面でもう少し余裕があればこのような提案もできるとお話をしましたが、その際にはやはり上限が〇〇万円とのことでした。

しかしいよいよ工事契約の直前まで来た際に、プラス500万円ほど資金に余裕があるとのお話がありました。
この500万円がありましたら、ご要望を叶えることは可能です。しかしプランは全面的にやり直す必要が出てきました。

建築の設計は信頼関係が重要です。もちろん資金面ですべてを教えていただきたいという話ではありません。
もしも事前に資金面は〇〇万円ではなく、プラス500万円の金額をご提示いただいていたら、例えば、そのうちの300万円は予備費として確保しておきたいというお言葉をいただいていたならば、プランはもっと違ったものになったと思われます。
そのことを率直に伝え、確かに資金面を全額伝えてよいものかどうか迷われたと思います、しかし初めから〇〇万円ではなくプラス500万円のお話を頂いておりましたら、もっとご希望に沿ったプランができたと思います、とお伝えしました。
この方はプランを再度やり直す形で3か月遅れで着工する形となりました。その分、家賃やローンなども遅れることとなります。

繰り返しとなりますが建築の設計は信頼関係がとても大切です。しかしすべてをお話しいただく必要はありません。
ただし今回の事例のように特に費用面に関しましてはプランやご要望に大きく関わってきますことから注意が必要です。
私は資金計画の際に事前にこの話を建て主の方にお話させていただきます。

もしもお家の計画をお考えの方がおられましたら、プラン面と費用面でのこのふたつを頭の片隅にでも置いておいていただけましたらより良い家づくりができると思います。参考までに。