会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

VC条項、判定要件明確化へ

週刊経営財務19.11.26号(先週号です)に、ASBJでの子会社・関連会社の範囲に関する議論が紹介されています。

いわゆるベンチャーキャピタル条項を見直すようです。

「現在の案は、金融機関やベンチャーキャピタルによる融資や投資が、子会社や関連会社の要件に該当する場合でも、以下の4要件を全て満たす場合には、子会社や関連会社として扱わないことになりそうだ。

【検討中の判定要件】
(1)当該他の会社等の事業は、自己の事業と明らかに異なるものであること
(2)当該他の会社等とのシナジー効果も連携関係もないこと
(3)当該他の会社等の取引(通常の取引としての投融資の元利金に係る取引を除く。)がほとんどないこと
(4)売却等により当該他の会社等の議決権の大部分を所有しないこととなる適切な計画(1年程度での売却等に限られない。)があること」

ベンチャーキャピタル条項の趣旨を考えてみると、おそらく、支配力基準の理屈からは認められないが、ベンチャー企業の育成という政策的なところから容認しているということではないかと思います。つまり、事業面・管理面でこれから一人前の会社に育てる段階の企業であるのに、連結範囲に含めてしまうと、上場会社と同じ管理水準が求められ、そのための費用もかかって肝心の事業にカネが回らないのはおかしいということでしょう。

そのように考えると、大問題となった日興コーディアルとベルシステム24の関係のように、管理体制が整備されている立派な上場会社に出資して、支配下においたような場合は、ベンチャー企業育成という政策目的は無関係なわけですから、当然支配力基準に従って連結に含めるべきであったと思われます。

そういう意味では少し議論がずれているような印象を受けます(といって他に良い案も思い浮かびませんが)。
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