会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ベルベ破産、銀行ごとの決算書と「多重リース」(東京商工リサーチより)

ベルベ破産、銀行ごとの決算書と「多重リース」

ベルベというベーカリー・チェーンの倒産の背景には、悪質な粉飾があったという記事。会計事務所の職員も取り込まれていたようです。

「前社長のA氏は、ベルベの経理を自ら行い、会計事務所の従業員も取り込んで帳簿や決算書を粉飾していた。資金繰りに行き詰まった2021年10月28日、前社長は弁護士に民事再生法の申請を相談し、不正を告白。だが、全容を把握するための資料提供を求められたA氏は、次の打ち合わせ前に所在がわからなくなった。」

粉飾の手口は...

「銀行やリース会社からは、新店舗に必要な資金しか調達できない。これでは運転資金には流用できない。そこでA社長は、複数の金融機関に新店舗向けの融資を依頼し、運転資金に充てる方法を思いついた。つまり、1店舗の開店資金を複数の金融機関から調達し、当座の運転資金に回して凌いだのだ。

そのために金融機関ごとの異なる粉飾した決算書を提出した。当該銀行がメインバンクであるかのように装い、資金を調達するだけでなく、単一の動産を担保に複数のリース会社から融資を得ていた。いわゆる「多重リース」だ。」

実態を把握していたのは社長だけで、その社長が行方不明になってしまい、破産せざるを得なくなったそうです。

「弁護士との打ち合わせで、A社長は不正会計を明らかにした。弁護士は粉飾されていない、真正の決算書や各店舗の収支がわかる資料の提供を要請。11月1日に再度打ち合わせをすることで、その日の相談は終わった。

だが、打ち合わせ前日の10月31日。ベルベ関係者からA社長が所在不明で、連絡が取れなくなったことを知らされた。打ち合わせは延期となったが、数日経過しても行方はつかめず、支払期限も迫っていた。そこでA社長抜きで、弁護士と幹部社員で今後の方針が検討された。

だが、ベルベの不正会計の全容を知っているのはA社長ひとり。税務申告を委託していた会計事務所も担当者がA社長に取り込まれ、実際の財務内容の把握は困難だった。」

税理士事務所は、監査のように決算を保証しているわけではありませんが、粉飾に荷担するのはまずいでしょう。
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