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日本風力開発株式会社提出の有価証券報告書の虚偽記載に係る訂正報告書の提出命令の勧告について(金融庁)

日本風力開発株式会社提出の有価証券報告書の虚偽記載に係る訂正報告書の提出命令の勧告について

金融庁の証券取引等監視委員会は、日本風力開発株式会社が提出した有価証券報告書について検査した結果、法令違反の事実が認められたとして、訂正報告書の提出命令発出の勧告を、2013年3月29日付で行いました。

「日本風力開発株式会社は、実態のない風力発電機販売斡旋取引に係る売上が計上されている平成21年3月期有価証券報告書を平成21年6月24日に関東財務局長に提出した。その後、当該有価証券報告書については、その訂正報告書が平成22年7月28日に関東財務局長に提出されているが、当該訂正報告書によっても上記売上が訂正されていない。

したがって、・・・平成21年3月期有価証券報告書のうちに金融商品取引法第24条の2第1項において準用する同法第10条第1項に規定する「重要な事項について虚偽の記載」があると認められたものである。」

虚偽記載の影響は、平成21年3月期において「連結経常損益が▲404百万円であるところを1,861百万円と記載」「連結当期純損益が▲1,635百万円であるところを630百万円と記載」です。

(山口弁護士の有名なブログで取り上げられています。)

日本風力開発株式会社に係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について(金融庁)

同じ事案(平成21年3月期)について、課徴金納付命令勧告も出ています。3億9,969万円というかなり大きな課徴金の金額です。

会社は監視委員会の見解に反対し、適切な会計処理を行っていると主張しています。

証券取引等監視委員会による本日の発表に関するお知らせ(日本風力開発)(PDFファイル)

「本件勧告の対象となった平成21 年3 月期の決算については、当時の会計基準に照らして適切な会計処理を行っており、当時の会計監査人である新日本有限責任監査法人は無限定適正意見を表明していることに加え、当該年度の決算については、過去に開示しております2度の外部調査委員会による調査や、その他の複数の弁護士、公認会計士、大学教授等の有識者による「当社の決算に問題があるとはいえない」旨の意見を得ております。」

新日本は、その後、過年度決算について疑問点を提起したために会社から解任されています。したがって、当時の監査意見が無限定だから問題なしとはいえないはずです。

(監査論的には、こういったケースは(ぴったりではありませんが)「後発事象」の監査基準委員会報告書の「財務諸表が発行された後に監査人が知るところとなった事実」という項目で少し議論しています。)

当サイトの関連記事 その2

日風開が虚偽記載、4億円の課徴金勧告=監視委(ロイター)

(補足)

平成21年3月期の訂正報告書は、新日本ではなく後任のやよい監査法人が監査し監査報告書を出しています。現時点では、訂正報告書に記載された財務諸表を会社は正式のものとしているのですから、プレスリリースで監査法人の名前を出すのであれば、新日本ではなく、やよい監査法人の名前を出すべきでしょう。
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