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「東芝・巨額粉飾問題」ベテラン会計士が明かす監査の実態(現代ビジネスより)

「東芝・巨額粉飾問題」ベテラン会計士が明かす監査の実態〜だから不祥事は繰り返す!

会計士協会の元副会長、住田光生氏(76歳)へのインタビュー記事。協会の役員選挙や大手監査法人の組織について、厳しい発言をしています。

「日本公認会計士協会では今、会長選びが行われていますが、理事選挙の候補者たちの“公約”で、「信頼回復」を真正面から掲げた人はほとんどいません。会計士業務の多様性などを訴え、「あなたの仕事を増やします」といわんばかりの“公約”を掲げています。業界全体を揺るがす、あれだけの問題が起きたにもかかわらず、危機意識が根本的に欠如しているのです。」

「昭和40年代(1965年)以降、監査法人は中小事務所の合従連衡で規模を拡大しました。もともとは大きな組織ではなかったので、上場する大企業を監査することは会計士にとって名誉なこと、という意識がありました。大企業の監査をやっている会計士は一流。そんな感覚は今でも根強くあります。厳しい監査をして契約を失ったらどうしようと考えてしまう体質は厳然として残っています。

かつては、大企業を監査していると黒塗りのハイヤーが迎えに来たり、高級料亭で酒食の接待を受けたり、ゴルフやカラオケが当たり前でした。最近ではそうした事はほとんどなくなりましたが、企業からの独立性の保持や癒着を回避する意識は会計士一人ひとりが強く持たなければなりません。」

「合併を繰り返した監査法人では、監査企業ももともとはどこの法人の担当だったという「色」が残っている例が多く。その旧法人で育った会計士が代々、その企業を受け継いでいるというケースが少なくないのです。法人内のローテーションでは、そうやって何らかの関係がある会計士を担当にすることが可能になります。」

監査法人の大規模化、巨大化は検証し直すべき問題ではないでしょうか。巨大な組織を維持するために、コンサルティング業務など様々な業務に手を広げる必要が出てきます。いわゆる「業務の多様性」によって、利益を上げることに力を注ぐようになります。

これは監査法人にとっては危険なことです。利益を上げることを法人から第一に求められるようになったら、会計士は真摯に監査業務に集中できなくなってしまいます。

ひとつの監査法人で担当できる企業数の上限を決めるとか、独占禁止法をきちんと適用することが重要だと思います。英国では、監査法人の寡占化が問題視されているようです。」
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