会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

オリンパス買収の3社、当初休眠状態だった-信用調査などで判明(WSJより)

オリンパス買収の3社、当初休眠状態だった-信用調査などで判明

オリンパスが買収した国内3社は、オリンパスが投資し始めた際、売上高がなく、ほとんど事業履歴もない会社であったという記事。

「オリンパスもこれら3社各社も、3社の過去の財務情報も開示していない。3社の収益と歴史的な経緯は、本紙が閲覧した会社登記の記載、独立委員会による調査報告、そして帝国データバンクと東京商工リサーチによる信用調査報告から拾い集めたものだ。」 
 
「アルティスは野菜や植物を人工栽培する会社として1993年4月に創設された。信用調査報告では、同社はアルティスと改名した05年10月までの数年間、目立った事業を一切していなかった。 

 ニューズシェフは1991年、金融コンサルタント会社としてこれも異なる社名で設立された。会社登記によれば、同社は2003年、調理機器メーカーとしてニューズに社名変更し再出発した。信用調査報告では、同社はそのときまで一定期間(期間は不詳)、休眠状態にあり、07年に社名を再び変えて「ニューズシェフ」とした。

 ヒューマラボはオリンパスが投資する9カ月前に設立され、一度社名を変更したがスキンクリームや栄養サプリメントのメーカーとして事業を維持した。」

「オリンパスによる初期投資当時、3社とも売上高は全くなかった、と信用調査報告は述べている。 オリンパス主導のこの投資ファンド(2人のマイノリティーパートナーを含む)は2000年に設立され、07年9月に解散した。 

 08年3月までに、オリンパスは何度にも分けてアルティス、ニューズシェフ、ヒューマラボ3社の株式を買い増し支配株を取得した。アルティスは07年に年間売上高約100万ドル(現在の換算レートで約7800万円)を計上したが、事業は赤字だった、とオリンパスの委託でコンサルティング会社ドリーム・インキュベーター社が作成した内部評価報告は述べている。・・・」

「ニューズシェフもオリンパスが支配株を取得した08年は赤字だった。売上高は300万ドル弱だった。信用調査報告と09年の独立委員会報告によれば、オリンパスは当時、同社主導の投資会社が当初投資で支払った1株当たりの金額の2倍を投資して支配株を取得した。

 同様に、オリンパスはヒューマラボについても1株当たり41%多く支払っている。07年12月に終わった会計年度の同社売上高は100万ドル未満だった。独立委員会報告で、オリンパスは、取得株価が上昇したのは、同社が支配株を取得するためのプレミアム分であり、正当だったと主張している。 

 調査報告では、これまで3社はいずれも、利益を計上していない。」

買収に絡んだ不正(オリンパスはまだ疑惑の段階ですが)としては、ライブドア事件があります。ライブドアの場合は、ライブドアが支配していたとされるファンドに零細会社を安く現金で買わせたうえで、その後、株式交換によりファンドに自己株を交付、ファンドはそのライブドア株を市場で売却し利益を計上、ライブドアの連結決算上も利益計上したという事件でした。ファンドも含めた連結グループ全体では、自己株式の売却であり、利益計上できないはずだということで粉飾だとされました。

たしかにあやしい会計処理を行い、市場をだましたという意味で罪は重いのですが、一部、役員の懐に入ったカネはあったものの、基本的には、資金はライブドアに還流されています。

オリンパスの場合は、この記事によれば、当初ほとんど実体のなかった休眠会社に多額の資金を投資し、結局そのほとんどが損失となってしまったのですから、これが最初から仕組まれた不正だとすれば、ライブドアよりも悪質だといえます。

もっとも、実は還流していたという可能性はゼロではないかもしれませんが・・・。

原文はこちら

Olympus Targets Had Scant Histories
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