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学校法人会計基準の在り方について 報告書(文部科学省)

学校法人会計基準の在り方について 報告書

文部科学省の学校法人会計基準の在り方に関する検討会は、「学校法人会計基準の在り方について」という報告書を、2013年1月31日付で公表しました。(素案はコメント募集のためすでに公表済み)

今後、当報告書で示された方向性で学校法人会計基準を改正するそうです。

報告書の概要は以下のとおり(四角で囲んだ要点の部分から抜粋)。現行の仕組みは大枠で維持されています。(悪名高き?)基本金は残り、資金収支計算書も従来通り基本的な計算書のひとつとして残ります。

見直しの方向性

・学校法人会計基準の仕組みは引き続き維持

基本金

・基本金制度を維持
・第2号基本金について、対応する特定資産を明確化
・第3号基本金について、対応する運用収入を明確化
・第4号基本金について、対応する資金が年度末時点で保有されているかを確認するようにし、確認できない場合は、その旨と対応策を注記

資金収支計算書

・現行の資金収支計算書を今後も維持するとともに、新たに付属する表として「活動区分別資金収支表」を作成

消費収支計算書

・毎年度の収支バランスを判断できるよう、現行の基本金組入れ後の収支差額に加えて、基本金組入前の収支差額を表示
・収支バランスについて、経常的な収支バランスと臨時的な収支バランスを区分して把握できるようにする。
・「消費支出準備金」等は廃止
・「消費収支計算書」を「事業活動計算書」に名称変更

貸借対照表

・固定資産の中科目として新たに「特定資産」を設ける。
・「基本金の部」と「消費収支差額の部」を合わせて「純資産の部」とする。
・第2号基本金に対応する資産として、「第2号基本金引当特定資産」を表示
・「消費支出準備金」は廃止

その他の論点

(減損会計)
・減損会計は導入しないが、使えなくなった施設等について、有姿除却の考え方を導入

(金融商品)
・金融商品の時価情報の注記を商品別・保有目的別に充実
・評価基準は取得原価主義を継続し、著しく評価額が下落した場合に評価替え

(退職給付会計)
・現行の退職一時金の取扱いを維持

(連結会計)
・連結会計は導入しないが、学校法人間の取引について広く注記

(法人の継続性担保の仕組み)
・学校法人の特性を踏まえた継続性を担保するための仕組みを維持
・第4号基本金の強化等の、法人の継続性を担保するための仕組みを充実
・企業等にいう継続法人(事業)に関する注記は導入しない。

今後、速やかに学校法人会計基準の改正を行った後、2年程度の準備期間を置き、2015年(平成27年)4 月から施行とされています。ただし、知事所轄法人については、1年間の猶予を置き、2016年(平成28年)4 月からの実施です。「活動区分別資金収支表」の作成も強制されません。

非営利の民間法人というくくりの会計基準がないため、所管する役所の考え方に従って法人形態ごとに会計基準を作るというやり方でやらざるを得ないのでしょう。

学校法人会計基準の在り方に関する検討会(平成24年度) 議事要旨・議事録・配付資料

昨年12月の第7回の会議までの議事録が掲載されています。第7回では、文部科学省からの説明があったようです(ただし、コメント募集した「素案」についての説明)。
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