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ビックカメラ:会長に課徴金1.2億円 粉飾決算、監視委勧告へ

ビックカメラ:会長に課徴金1.2億円 粉飾決算、監視委勧告へ - 毎日jp(毎日新聞)

東証1部上場「ビックカメラ」の不正会計問題で、証券取引等監視委員会が同社の会長に約1億2000万円の課徴金を科すよう金融庁に勧告する方針を固めたという記事。記事によれば、法人としてのビックカメラにも課徴金が課されます。

「不適切だと指摘されているのは、池袋本店などの不動産取引を巡る会計処理。ビック社は02年8月、本店ビルなどを同社の出資する特別目的会社(SPC)に売却し07年10月、買い戻した。その後、SPCの解散で配当金約49億円を受け、同額を08年2月期半期報告書で利益計上した。

SPCがグループ外企業の場合は問題ないが(1)SPCへのビック社の出資比率は4・8%(2)新井会長が実質的な株主とされる情報処理会社の出資比率は25・2%--などから、証券監視委は連結対象と認定し、別の2社も同様と判断。グループ内取引を利益計上した半期報告書や有価証券報告書(08年8月期)を提出した点を違法と判断したとみられる。」

不動産流動化に使われるSPCがグループ内かどうかということは、この場合あまり関係ありません。SPCに出資して、不動産取得のリスクを負うのが誰かということがポイントです。

ビックカメラの出資分は5%未満なので、これだけなら(他の条件も満たせば)問題なくオフバランスにできます(正確にはリスク負担割合で判断)。しかし、記事によれば、実質的な子会社の出資分も含めると5%(当時の基準だと10%かもしれませんが)を超えるためオフバランスが認められなくなり、結果として、不動産の売却、不動産賃借料の支払い、買い戻し、買い戻し後の配当金などは、金融取引として扱わなければなりません。(連結決算だけでなく、単独決算でも売却処理はできません。)

ただ、前にも書きましたが、問題となっている「新井会長が実質的な株主とされる情報処理会社」というのが、どういう理屈で子会社になるのかという点が気になります。形式的には、会長の支配する会社であって、ビックカメラが支配しているわけではなさそうです。

もちろん、関連当事者との取引ということになるので、慎重な検討は必要です。また、協会の実務指針を見ても「不動産のリスクと経済価値の移転に関しては、スキーム全体の構成内容等を踏まえて実質的な判断を行うことが重要」とされているので、スキーム全体をよく見る必要はあります。たとえば、実質的に、買い戻しが予定されていたり、ビックカメラが問題の情報処理会社の資金繰りの面倒を見ていたような場合には、あやしい取引といえます。

記事では「ビック社は既に決算を訂正」とされていますが、まだ正式の訂正報告書を出すには至っていないはずです。それをみないと、適切な訂正かどうか、本当に不正な会計処理だったのか、はっきりしたことはいえません。
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