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堀江被告初公判:起訴事実を全面否認、無罪主張

堀江被告初公判:起訴事実を全面否認、無罪主張〓今日の話題:MSN毎日インタラクティブ

ライブドア・堀江前社長の刑事裁判の初公判の記事。これまでにない短期集中型の裁判で、論点がはっきりするのはいいことです。

堀江被告初公判:検察側冒頭陳述=要旨

これまでリークされてきた内容とあまり変わりませんが、会計士についてはかなり厳しいことをいっています。

「 公認会計士の小林元、久野太辰両被告は、違法行為に気付かなかったことにして監査報告書に適正意見を付けることにした。小林被告はさらにダミーファンドを加えるよう伝え、堀江被告は了承し、実行を指示した。

 久野被告は04年11月上旬、架空売り上げ計上に気付いたが、小林被告は久野被告を指導。久野被告は前代表取締役の熊谷史人被告に虚偽証拠類の作成を求め、熊谷被告から聞いた堀江被告は「頭痛いなぁ。まあ熊ちゃん、頑張って」と求めに応じるよう指示した。」

これでは会計士自ら粉飾のための工作を指導したように聞こえます。実際どうだったのかはわかりませんが、会計士が監査する際に、取引を裏付ける書類がそろっていなければ、会社に対してそろえるよう指導するのは、当然の行為ともいえます。それが「虚偽証拠類の作成を求め」たことになるのだとしたらこわい話です。会計士側が容疑を否認しているため、検察が事実を相当脚色しているのではないかという疑念がわきます。

堀江被告初公判:弁護側冒頭陳述=要旨

弁護側の冒頭陳述に関しては、(法律的な面というより、感覚的なものですが)次のような疑問点があります。

まず、「検察官は会社買収に伴う株式交換比率(1対1)が適正でないというが、企業の買収で客観的に唯一の価格が存在するわけではない」という主張は完全に間違いともいえません。例えば、都市銀行の再編のときには、なぜか交換比率は1:1になっていました。そんな都合のいいことはありえないはずですが、理屈をつければなんとでもなる部分もあります。

しかし、ライブドアの場合は、事前にボロ会社を現金で買収していてその会社の本当の価値を知っていたわけですから、そこから計算できる比率からかけはなれた比率はおかしいということになります。

もっとも、投資事業組合が検察の言うとおりライブドアのダミーだとすれば、そこに対してどんな交換比率を設定しようと、ライブドアの株主の利益を損なうことはありません。そもそもそのことだけでは何ら犯罪性はないようにも思えます。むしろ、弁護側の主張のようにファンドが独立した存在だとしたら、そこに対して実際の評価額とかけ離れた比率でライブドア株を交付することは、ライブドア株主に対する背任行為となります。

また、ファンドに1億6589万円の使途不明があることをもって、ダミーではないといっているのは違和感があります。子会社を通じて相当の金額を投資していた相手先で多額の不明金が出ること自体、本来経営者として責任を負うべきでしょう。
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