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ドイツ銀行の第3四半期、新会計基準の導入で赤字回避

ドイツ銀行の第3四半期、新会計基準の導入で赤字回避 | ビジネスニュース | Reuters

ドイツ銀行の第3・四半期の税引き前利益が、評価損計上の影響を軽減する新会計基準の導入により、赤字を回避したという記事。(記事では「新基準により、ドイツ銀の評価損は8000億ユーロ超圧縮」とありますが、銀行のプレスリリースを見ると8億ユーロの間違いです。)

Deutsche Bank reports third quarter 2008 net income of EUR 414 million

新会計基準というのは、国際会計基準が金融資産の保有目的区分の変更を認める改正を行ったことを指しますが、ドイツ銀行はさっそく区分変更を行ったようです。

「In October 2008 the European Union endorsed amendments to IAS 39 and IFRS 7, 'Reclassification of Financial Assets', which permit the reclassification of trading assets and assets available for sale in cases involving a clear change of management intent. In accordance with these amendments, Deutsche Bank reclassified certain assets, for which no active market existed in the third quarter and which management intends to hold for the foreseeable future, out of trading assets and assets available for sale, and into loans. If these reclassifications had not been made, the income statement for the quarter would have included negative fair value movements relating to the reclassified assets of EUR 845 million. Additionally, incremental net interest margin relating to reclassified assets was EUR 53 million for the quarter.」

トレーディング目的や売却可能資産から貸出金loansへ振り替えたということですから、もともと有価証券というよりは、貸出金の性質を持つ資産だったのでしょう。その貸出金の活発な市場がなくなったので、売却を目的としない通常の貸出金の区分に振り替えたという理屈です。振り替えた後は時価の変動の影響を受けません。

一応IFRS改正で認められた処理ではありますが、当初トレーディング目的だったということは、証券化して投資家に売りつけるなどして短期に処分するつもりだったのでしょう。そのもくろみが外れて、長期に抱えていなければならないわけですから、経営としては失敗だったことになります。

また、保有目的変更容認で日本の銀行が期待しているのは、ローンではなく有価証券(債券)でしょうから、あまり参考になる例ではないかもしれません。
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