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「中間監査基準及び四半期レビュー基準の改訂に関する意見書」の公表について

「中間監査基準及び四半期レビュー基準の改訂に関する意見書」の公表について

金融庁の企業会計審議会は、「中間監査基準及び四半期レビュー基準の改訂に関する意見書」を、2009年6月30日付で公表しました。継続企業の前提に関する中間監査基準及び四半期レビュー基準の規定を見直すものです。

改訂四半期レビュー基準は、2009年(平成21年)6月30日以後終了する四半期会計期間に係る四半期財務諸表の監査証明から適用、改訂中間監査基準は、同じく2009年(平成21年)6月30日以後終了する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用です。

四半期レビュー基準の改正では、実施基準と報告基準における「継続企業の前提」に関する規定の中で、監査基準改正と同様に「継続企業の前提に関する重要な不確実性」という考え方を織り込んでいます。

↓公開草案からの変更点については、こちらの審議会資料(資料1-6)をご覧ください。四半期レビュー基準では、実施基準の「9 継続企業の前提」で公開草案の記述に若干言葉を補っています。公開草案へのコメントに対応したもののようです。
企業会計審議会総会・第22回監査部会合同会合 議事次第

(補足)

公開草案のときにもコメントしましたが、今回の四半期レビュー基準の改正で非常に分かりにくいのが、実施基準の方の規定(9項)です。

「9 継続企業の前提

監査人は、前会計期間の決算日において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在し、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められた場合には、当該事象又は状況の変化並びにこれらに係る経営者の評価及び対応策の変更について質問しなければならない。

また、監査人は、前会計期間の決算日において、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められなかったものの、当四半期会計期間において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況を認めた場合には、経営者に対し、経営者による評価及び対応策を含め継続企業の前提に関する開示の要否について質問しなければならない。

これらの質問の結果、監査人は、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められると判断した場合には、継続企業の前提に関する事項について、四半期財務諸表において、一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠して、適正に表示されていないと信じさせる事項が認められないかどうかに関し、追加的な質問や関係書類の閲覧等の追加的な手続を実施して、検討しなければならない。」

まず、「前会計期間の決算日において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在し」ていれば、「継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められ」るほどでなくても、監査人としては質問するのが当然でしょう。わざわざ、質問を行うべき場合を限定する意味がわかりません。第2段落で、「重要な不確実性」によって限定していないのと不整合ですし、第3段落で、質問の結果、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるかどうかを判断することになっていることとも不整合です。

また、(これは従来からの問題点ですが)第3段落で、二重否定の表現になっているのもおかしいと思います。追加的な質問やその他の追加的手続きを行う目的は、あくまで継続企業の前提に関して適正に表示されているかどうかを確かめるためです。手続の結果を報告する段階では、手続が限定されていることから、消極的保証の表現にならざるを得ませんが、個々の手続の実施段階では、ストレートな表現でよいはずです。

逆に、報告基準では、「継続企業の前提に関する事項が四半期財務諸表に適切に記載されていると判断して、無限定の結論を表明する場合」というような文言になっており、消極的保証の文言になっていません。ここは「・・・適切に記載されていないと信じさせる事項が認められないと判断して、・・・」とすべきでしょう。

もしかすると深い意味があるのかもしれませんが・・・。
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