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富士フイルム、過年度決算を訂正 不適切会計(日経より)

富士フイルム、過年度決算を訂正 不適切会計(記事冒頭のみ)

富士フイルムホールディングスが過年度決算を訂正する訂正報告書と2017年3月期の有報を7月31日に提出したという記事。

「複合機販売の海外子会社で不適切な会計問題が発覚した富士フイルムホールディングスは31日、過年度の有価証券報告書を訂正し、関東財務局に提出した。海外子会社で実際よりも過大に計上されていた利益などを修正した、2012年3月期~16年3月期の5年間累計の純利益は283億円減少した。」

第121期有価証券報告書の提出、過年度の有価証券報告書等及び決算短信等の訂正に関するお知らせ(富士フイルムホールディングス)(PDFファイル)

「平成29年6月12 日付 「第三者委員会調査報告書の受領及び今後の対応に関するお知らせ」のとおり、当社連結子会社である富士ゼロックス株式会社の海外販売子会社※が過去に行った不適切な会計処理により、平成23 年3月期から平成28年3月期の累計6年間において、当期純利益及び当社株主帰属当期純利益にてそれぞれ375億円及び281億円の過年度修正が必要となりました。なお、当該過年度修正は、第三者委員会の調査報告に基づいて計上を行っております。

※Fuji Xerox New Zealand Limited (以下「FXNZ」 といいます。)及びFuji Xerox Australia Pty. Limited(以下「FXA」 といいます。)

また、上記のほか、過去の決算を細部にわたり再確認することで、税効果会計の見直し、未実現利益消去などの連結処理の修正及び過去の誤謬の遡及修正などもあわせて行いま した。」


(会社資料より)

純資産ベースでは518億円もの影響額となっています(その他の訂正額を含む)。純資産が2兆円を超える会社とはいえ、それなりに大きな金額です。

当然のことながら、J-SOXでは「重要な不備」がついています。

財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(富士フイルムホールディングス)(PDFファイル)

「これらの事実は、当社において、子会社の管理体制が不十分であったこと、関係会社の財務諸表のモニタリング体制が不十分であったこと、及びFXNZとFXAにおいて、販売プロセスのリスク識別及びその評価に不十分な点があったことなどの不備があり、内部統制が機能しなかったことによるものです。

以上のことから、当社の全社的な内部統制、全社的な観点で評価する決算・財務報告プロセスに関する内部統制、及びFXNZ と FXAの業務プロセスに関する内部統制に開示すべき重要な不備があったため、 不適切な会計処理が行われかつその発見に遅れを生じさせたものと認識しています。」

なお、過年度分の訂正報告書については、前任である新日本監査法人が監査しています。

関連記事。

富士フイルム、不正会計認識しつつ社債発行で多額資金調達の疑い…市場を欺く倫理逸脱行為か(Business Journal)

この箇所は厳密に言うと間違いでしょう。会社法決算の監査は総会に間に合うように完了しているので、会社法上は正式の決算が確定済みとなっています。(会社法と金商法の決算が泣き別れになってもいいのかという問題はありますが)

「しかも、株主総会で示された決算は監査法人の「適正意見」のお墨付きを得ていない「仮」決算。有価証券報告書の提出期限を7月31日まで1カ月間延期した。富士フイルムHDは仮決算で株主総会をなんとか乗り切ったのだ。」
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