会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

深刻な治安悪化、契約紛争…アルジェリア高速工事の現場は今(日経より)

深刻な治安悪化、契約紛争…アルジェリア高速工事の現場は今

日本のゼネコンのJVによるアルジェリア高速道路工事の状況を伝える記事。記事を読む限りでは大赤字の解消は難しそう(むしろ拡大しそう)です。

「イスラム武装勢力による人質事件でアルジェリアの危険性がクローズアップされるなか、日本の建設会社は現地で高速道路工事を続けている。工事を請け負う共同企業体(JV)の間では、大赤字を出していることもあって、「撤退すべき」との意見も出ているが、現時点では難しい。」

「この工事は、受注額が約5400億円と日本の建設会社による海外工事で最大級の「アルジェリア東西高速道路建設工事(東工区)」。アルジェリア北部を東西に走る約1200kmの高速道路のうち、チュニジア国境までの東側約400kmを鹿島・大成建設・西松建設・ハザマ・伊藤忠商事JVが建設する。」

「元々この工事は、アルジェリア特有の技術面や資材調達面での課題を抱えている。洪水地域での盛り土、崩壊しやすい山を掘削するトンネル建設、原石山が足りないことによる骨材の品質と量の不足、さらにテロ対策の火薬持ち出し制限で発破したい時にそれができない、などである。

 また、契約後にJVが受け取った基本設計は、仕様や規格の整合性が取れていなかったためにやり直しが必要で、地形図の作成やボーリング調査、設計承認などに2年近くを要した。フランス規格の適用にもてこずった。

こうした事情に加えて、発注者との対応の難しさがある。発注者には大規模な高速道路建設の経験が乏しいうえ、組織が重層構造になっていて、交渉は一筋縄ではいかない。日本で使っている工法の採用許可を得るのも一苦労だ。政治判断による発注方針の変更も頻発し、工事の手戻りも発生した。こうしたことから大幅な工期遅延に陥っている。」

工事損失引当金は積んでいるようですが、記事によれば、足りない模様です。

「当初の工期は2006年9月~2010年1月だったが、現在の開通区間は約250kmにとどまり、全体の進捗率は80%ほど。完成までの期間は、工事のスピードを緩めているのではっきりしないが、あと2年はかかる見通しだ。

 しかも、インターチェンジの新設など膨大な追加工事を求められて施工しても、代金が支払われていない。追加された土工事の量は、約1500万m3(東京ドーム約12個分)に上る。出来高の承認が遅れ、承認率も抑制された結果、既設工事の未払いが累積している。JVは過去に約800億円の工事損失引当金を計上したが、それでは済まず、現在の損失は1000億円を上回るとの見方が関係者の間にある。いまだにリスクはくすぶっている。」

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