会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

カネボウ粉飾「上場廃止避けたかった」…会計士が供述

カネボウ粉飾「上場廃止避けたかった」…会計士が供述 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

カネボウの粉飾決算事件で、逮捕された会計士が、粉飾に加担した動機として、「監査で『不適正』の意見を出すと上場廃止でつぶれてしまうと思った」などと供述しているという記事。

細かいことをいうと、粉飾を見逃した理由としては、おかしなところがあります。監査意見が不適正であれば、当然、上場廃止ですが、監査人が不適正意見を出すといえば、会社も決算の修正に応じざるを得ず、結果として債務超過の決算を公表していたはずです(監査意見としては、ゴーイング・コンサーンについての付記事項がついた適正意見となる)。もちろん債務超過が続けば、上場廃止になりますが、それまでに何らかの支援策が打たれれば、上場廃止を免れていたかもしれません。

ただし、問題となっている2002年3月期や2003年3月期の決算が債務超過になれば、カネボウに融資していた銀行では、その時点で、カネボウ向け債権の引当を大幅に増やさなければならなかったはずです。粉飾を見逃したことは、結局、銀行の時間稼ぎに手を貸しただけです。

なお、仮に、会社が指導を拒んで、監査人を変更すれば、そのままの決算数値だったかもしれませんが、その場合、責任は後任の監査人が負うことになります。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「会計監査・保証業務」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事