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冬のソナタに恋をして

もつれた糸

ユジンは重い気持ちのまま、マルシアンの会議に向かった。昨日の今日で、ミニョンとどんな顔をして会えば良いか分からない。昨日は泣き疲れて寝てしまったため、顔のむくみをとって
泣いていたと悟られないようにするために、時間がかかってしまった。うっかり会議に遅刻してしまったほど、足取りは重かった。なんとか平静を保って会議は終了したものの、帰り際に話があるとミニョンに呼び止められた。知らず知らず、身体がビクッと震えた。

ユジンはミニョンの顔を見ることが出来ず
「昨日は酔っ払ってしまって、申し訳ありませんでした。理事が昔の知り合いに似ているもので、つい勘違いをしてしまいました。今後は一切このようなことがないように気をつけます」
と一気に話した。
すると、ミニョンの口から意外な言葉が出た。
「ユジンさん、本当に勘違いだったんですか」
ユジンの顔が険しくなった。
「じゃあ理事はわたしが酔ったフリをして、あなたを誘惑したとおっしゃるんですか。わたしには婚約者もいるし、チェリンはわたしの友達です」
「だから、あなたがあんなことをしたのが、僕には理解できないんです」
ミニョンは冷たい目で言い放った。

ユジンは悲しそうな目でミニョンを見た。いくら言葉で説明しても、彼に分かってもらうことは出来ないのだ。
「本当に申し訳ありませんでした。本当にあなたは彼に似ていて、、、勘違いしてしまったんです。でもあなたは、彼とは全く違うことが分かりました。もう、あなたとは仕事以外では顔を合わせないようにして、仕事に支障がないようにします。」そしてもう一度謝罪の言葉を口にして、ユジンは去って行った。
ミニョンは、そんなユジンの後ろ姿を見ながら自分がとてつもなく大きな勘違いをおかしているのではないか、という気分に襲われた。
それぐらい、彼女の瞳には深い悲しみと後悔が宿っていたからだった。

二人がドラゴンバレーのスキー場にもどると、工事は急ピッチで進められた。ユジンはすっかりミニョンと距離を置くようになり、必要な事以外は全く口を聞かなかった。ある意味、この前の失態は、ミニョンがチュンサンではないことを確かめさせてくれた機会にもなった。今となっては、彼をチュンサンと勘違いするなんて、とんでもないことだったと思う。ユジンはすっかり吹っ切れた気持ちで、仕事に励むのだった。

一方でミニョンもユジンに募っていた気持ちがクールダウンして、彼女を冷静に見ることが出来るようになった。ただ、どうしても違和感は拭えず、ユジンは何であんなことをしてまで、自分を誘惑する必要があったのか、気になっていた。


ミニョンが喫茶店でコーヒー☕️を飲んでいると、チョンアが得意のタロット占いをやってくれると言う。ミニョンはバカバカしいと思いながらも、カードを言われたとおりに3枚引いてみた。すると、チョンアが黙ってしまった。
「何ですか?」
「理事に運命の輪が出たんです。これは運命の相手が近づいているってことなんです。その相手は、、、今荒波にさらされてますね。道に迷いかけてる、、、。どうすべきか考えている、、、。でももうすぐあなたの元にやってきます。」そう言ってニッコリ微笑んだ。
「理事は、この運命の輪のカードを持った女性を捕まえるんですよ。分かりました?」
ミニョンは、はいはいというように話半分で笑っているばかりだった。
ふと外を見ると憂鬱そうな顔のユジンが歩いているのが見えた。
「チョンアさん、ユジンさんて、男性とかなりの数お付き合いしてると聞いたんですが、本当ですか。なんなら僕もその列に入れてもらおうと思って。」
すると、チョンアは見たこともないような恐い顔で言った。
「誰がそんな事を言ったんですか。ユジンほどサンヒョク一筋な子はいません。しかも、あの二人はキスしてるのかというくらい、プラトニックな付き合いをしてるんですよ。あの子に限ってそれはないですから。」
ミニョンはびっくりしてしまった。先日ホテルで瞳を閉じていたユジンが脳裏をよぎった。一体小悪魔のような彼女が本当なのか、それとも透き通るように清らかそうな彼女が本当の姿なのか、また混乱してきてしまった。


その日は昼間は皆で汗を流し仕事をして、夜は盛大な慰労会が開かれた。もちろんその席にミニョンもキム次長もいたが、チョンアさんとユジンは離れて座った。乾杯の音頭が終わったところで、急にひとりの男性が立ち上がった。この道30年の工事現場のキム監督だった。キム監督はユジンに向かって
「よう姉ちゃん、俺はこの道30年現場で食ってんだ。あんたみたいなひよっこに現場でごちゃごちゃ指示を出されるなんて、まっぴらごめんだ。とっとと帰れ」
一同はシーンとなってしまった。
するとユジンがすくっと立ち上がり
「ねえおじさん、わたしが女だから若いからって面白くないわけ?おじさん、毎回そのパターンでくるけど、もう飽きちゃったわ。今度は違うパターンでお願いね」
そして2人は顔を見せて笑い出した。
ミニョンの近くに挨拶にきたポラリスのチョンアさんが笑ってこっそりと言った。
「キム監督は毎回ああやってユジンをからかうんです。最初は本気で馬鹿にしてきたんですよ。でもユジンが誰よりも早く現場に来て、誰よりも遅く帰ったり、分からないところはくらいついて質問したり、女だからって関係なく現場仕事をしたりしているうちに、すっかり気にいられちゃったんです。今では親子みたいなんですよ。」
ユジンはキム監督の隣でニコニコ笑って話している。キム監督は最愛の妻を病気で亡くしてから、人に突っ掛かったり、酒に溺れる事が多くなっていた。ユジンにはその寂しさや悲しみがよく理解できたので、二人は親子のように心を通い合わせていたのだった。

ユジンにお酒を勧める職人に、キム監督はご機嫌で言った。
「ユジンにはできないことが3つある。ひとつは酒、それから嘘、最後は男遊びだ」そしてガハハっと笑った。
「おいっ、ユジン、この前酒を飲んで死にそうになった話をばらすぞ。嫌ならなんか歌え」
「分かりましたっ‼️」
するとユジンは焼酎の瓶にスプーンを入れて
マイクに見立てて、気持ちよさそうに歌い出した。美人で気さくなユジンにみんな好意を持って、会場は瞬く間に盛り上がっていった。ミニョンはユジンの意外な一面を見て、また心が揺らぎ始めるのだった。

ミニョンはスキー場に立つ前日、チェリンをホテルに呼び出していた。本当に自分にそっくりな男がこの世にいるのではないかと確認したかったのだ。しかし、チェリンは、ユジンがいつも男に言いよるのは常套手段で、もしもミニョンに手を出されたらと思うと不安で仕方ない、と涙ながらに訴えるのだった。
しかも、何故かホテルのソファーの下にユジンの手帳を見つけてしまい、ユジンがここに来たらしいのに、何も言わないミニョンに不安しかなかった。どす黒い気持ちがどんどん湧いてくるのだった。


飲み会が終わるとミニョンはホテルへの道を考えごとをしながら歩いていた。すると、ユジンがキム監督をかかえて歩いているのが見えた。
「おじさん、あんまり飲み過ぎるとダメよ。もっと身体を大事にしてね。」
「ユジン、うるさいわ‼️誰がお前に釘打ちから教えてやったと思ってるんだ。ひよっこめ。」
「おじさん、わたし心配してるのよ。ちゃんと宿舎に帰ってね。もう飲んじゃダメだからね」
キム監督はヨロヨロしながら、宿舎の方に歩いて行った。ユジンは心配そうな顔でキム監督を見つめて、ため息をついた。ミニョンはそんなユジンを見て、好ましく思った。とても小悪魔には見えないけれど、、、。
しかし、ユジンはミニョンが立っているのを見ると、くるっと後ろを向いてどこかに行こうとした。露骨にミニョンを避けている。
「ユジンさん、ホテルはこっちですよ」
ミニョンが言うと、ユジンは渋々こちらに向かって歩いてきた。しかし、目を合わせずにすれ違おうとする。
「ユジンさん、この前はすみませんでした。酔っ払ったフリをしたなんて言ってしまって。本当に飲めないとは思わなかったんです。」
「わたしが、飲み過ぎたのがいけなかったんです。気にしないでください。」
「僕はユジンさんが分からないんです。最初に会ったときの印象が本当なのか、この前のホテルの時が本当なのか、、、」
するとユジンは顔を少し歪めて
「まだ誤解されてるんですね」と言った。
そのとき後ろから声をかけられた。
「お邪魔だったかしら?」
見ると2人の仲を心配したチェリンがわざわざスキー場にやってきていた。ミニョンは自分を見てもあまり嬉しそうな顔をしなかった。それがまたチェリンを不安にさせた。
ユジンは無表情のまま一礼して去っていった。
何かがまた起こりそうな予感がした。




コメント一覧

kirakira0611
@love_yourself 確かに辛いかもー。
まあ、仕方ないとも思ってますが。
韓国は日本から見る限りでは、とても生きづらそうですね。
何というか、人の評価が全て、地位が高い、お金持ち、高学歴などが素晴らしいみたいな。
本当は知りませんが。
外から見ると、私は無理と思います。
それではまた。
ありがとうございました!
love_yourself
こんにちは、コメントを有難うございます!
うーん、承認欲求が有ると、辛いですね><
要は、育った環境で、自分のことを認めてくれる人が居なかったからとか、そういう感じなのかもしれないな、と、思います。

ただ、韓国って「日本の悪いところを、ものすごく更に厳しくした感じ」の国ですよね@@!
実際、BoAちゃんたちの所属しているSMという事務所も、超〜スパルタレッスンらしいです><!
日本よりも韓国の方が、もっともっと、厳しいようです><!

「自己肯定感を高める」考え方は、少しずつ、書いていきますのでよろしくお願い致します!

でも、最近は
「子供の自己肯定感を高めましょう」という考えが出てきていますよね♡
kirakira0611
@mezz-cp314 メズさん、おはようございます!って夕方だし。
今日は潤って何よりです(笑)
野獣ってどんな人か見てみたい。怖いもの見たさで。
わたし、スクショの仕方知りませんでした。
いつも勉強になるわ〜。
良い夜を❤️
kirakira0611
@love_yourself さま、ありがとうございます😊
いいね、は自己承認欲求ですが、良かったですか?わたしは自分に全然自信がない典型的な日本人なんで、うらやましいですね。本気で言ってます。
考え方を教えてください。また、ブログにお邪魔しますね!
BOA、懐かしいです。可愛かったですね。
歌うまいし。
love_yourself
はじめまして!
いいね、をたくさん、有難うございました♡
こんな機能があるとは知らず、とても元気をもらいました!
有難うございます。

冬ソナ、懐かしいですね♡
わたしは見たことがないですが、韓国なら、昔、BoAちゃんが好きでしたね〜♡
わたしは中高時代、一番仲良しだった女の子は、日韓ハーフの子だったので、韓国版のCDをゲットしてきてもらったり笑。
BoAって、日本ではアーティストだけど、韓国では「アイドル」で、すっごく可愛いんです笑♡

と、話がそれましたが、いいね!有難うございました♡
mezz-cp314
キラキラさん
おはようございます♪

今週も宜しくお願いいたします♪

週初めの日課なんで
恐縮ですが朝の挨拶って事で
m(_ _"m)
今週も頑張りましょうね~♪
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