レフティやすおの新しい生活を始めよう!

50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん-楽しい読書366号

2024-05-15 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書(まぐまぐ!)
【別冊 編集後記】


2024(令和6)年5月15日号(vol.17 no.9/No.366)
「私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2024(令和6)年5月15日号(vol.17 no.9/No.366)
「私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん」
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 昨年9月から10月、11月、12月と、
 読書習慣を持つ人の減少、および町の本屋さんの減少に関しての文章を
 書いてきました。

 今回また、私の“町の本屋”論を書いてみたいと思います。

 私は、今からおよそ40年ぐらい前になりますが、
 20代後半から30代の初めまで6年近く“町の本屋”さんで、
 「本屋の兄(にい)ちゃん」(近所の小学生からそう呼ばれていました!)
 として働いていました。

 そういう書店員経験と小学生時代からの書店客としての経験を基に
 語ってみたいと思います。


【過去の本屋論】

2023(令和5)年9月15日号(No.350)
「私の読書論174-消えゆく書店と紙の本」
2023.9.15
私の読書論174-消えゆく書店と紙の本-楽しい読書350号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-f7ab5e.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/a65f07da56cc868147fbd49d01c3c4bf

 ●朝日新聞の記事「本屋ない市町村、全国で26%~」
 ●再販制度――定価販売による価格保証
 ●書店経営が厳しい背景の要因―雑誌の売り上げの急減
 ●ネット書店で本を買う人の増加
 ●リアル書店での「偶然の出会い」
 ●リアル書店の生き残りについて――「コンビニ+本屋」
 ●ベストセラーではなく、ロングセラーを!
 ●本屋はそのまちの文化のバロメーター

一番大事なことは、本屋さんというのは、
その町の文化を代表する存在の一つだ、ということです。

もちろん文化施設としては、
公立や私立の図書館とか美術館とか博物館などもあります。
あるいは学校――小・中・高校、大学、専門学校などの教育施設などが
あります。

しかし、最も身近な文化施設として、私が思うところは、
やはり町の本屋さんなのです。
これは私の経験からの意見です。

本屋さんに出入りするようになり、私の世界が広がったのです。
今の私につながるような変化を生みました。

それが文化というものでしょう。

本の世界には、文字通り世界のすべてが包含されています。
未知なる世界への入口になるのです。

日常的な生活だけでは、絶対ふれ得ないような世界の広さです。

それが本屋さんというものだと私は思っています。

もちろん、昔でいえば映画やラジオやテレビもそういうものでした。
しかし、それらは自分の手元に置いておくことができにくいものでした。

紙の本なら、それが可能でした。

広い世界へつながる入口――それが本屋さんであり、
文化へ続く道だったのです。
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2023(令和5)年10月15日号(No.352)
「私の読書論175-出版業界―または本と本屋のこと」
2023.10.15
私の読書論175-出版業界―または本と本屋のこと-楽しい読書352号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/10/post-d8d8ec.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/7b9a38985fcfd574650e4c54eba355c1

 前回に引き続き、本と本屋の世界といいますか、業界について、
 「元本屋の兄ちゃん」として、本好き・読書好きの人間として、
 私なりに考えていることを書いてみようと思います。

 前回は、朝日新聞の記事「本屋ない市町村、全国で26%~」を基に、
 書店が生き残る方法など、私なりの考えを書きました。
 再販制度をやめよとか、雑誌販売についてとか、
 書店の選書について等々。

 今回はその続きで、出版業界における改革について、
 私なりの案を書いてみましょう。

 ●日本の本は安い!?
 ●本の値段を上げてみれば?
 ●本の価格を1.5倍に
 ●より良い本作りが可能に
 ●「軽い」本は電子版で
 ●「良い本」を作れる環境を!

まとめ的にいいますと、
現状ではまず本の値段を上げてそれぞれの取り分を増やす。

そうして、著者・出版社の「良い本」を作れる環境を整え、
書店がそれらの「良い本」をじっくり時間をかけて売れる状況にする。

――というところでしょうか。
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2023(令和5)年11月15日号(No.354)
「私の読書論176-読書週間に関する新聞記事から思ったこと」
2023.11.15
私の読書論176-読書週間に関する新聞記事から思ったこと-楽しい読書354号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/11/post-7462e0.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/d498bde194e54d8e97a5d018d683f607
 ●月0冊が半数
 ●系統だった情報を入手する方法としては本が上では?
 ●「読書週間」と読書習慣
 ●「本を読むから偉い」のでなく「本を読んだから偉くなれた」
 ●「読む時間が確保できない」
 ●「読みたい本がない」について
 ●書店の新形態――無人の店舗、コンビニ併設
 ●本屋さんの生き残りに期待

とにかく、本屋さんがなくなるというのが一番の悲劇だと思っています。
何らかの形で残って欲しい、という強い願望があります。

ふらりと入った本屋さんであれこれ見ることで、
「あっ、こんな本が出てる!」という偶然の出会いがあります。

それが本好きにとっての一番の至福の時間かもしれません。

私は、本屋さんにいるときが一番楽しい時です。
図書館も楽しみですが、本屋さんの方が、より新しい顔を見られる、
という点で楽しみが大です。

今の私があるのは、ひとえに本屋さんあればこそ、と思っています。
私の人生の一番の友、それが本で、その友との出会いの場が本屋さん、
なんです。

(略)

私は、書店・本屋さんは、地域の文化の担い手だと考えています。
がんばれ本屋さん!
--


2023(令和5)年12月15日号(No.356)
「私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ
―『美しい本屋さんの間取り』から」
2023.12.15
私の読書論177-個性的な本屋の作り方を学ぶ―『美しい本屋さんの間取り』-楽しい読書356号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/12/post-bf19e5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/79bec3e02805048065d5ea41387e2c55

 (今回の参考書)
『美しい本屋さんの間取り』エクスナレッジ X-Knowledge 2022/12/29
http://www.amazon.co.jp/dp/4767830958/ref=nosim/?tag=hidarikikidei-22
 ●現物の魅力

本屋さんの魅力といいますと、なによりも、
<思いがけない本との出会いがある>という点でしょう。

欲しい本を買うだけなら、ネットで十分です。
在庫があれば、Amazonなどではホントにすぐに送ってきてくれます。

でも、自分が欲しい本が必ずしも、選んだ本だった、とは限りません。
色々な情報を手にしたうえで吟味して選んだつもりでも、
ホントに自分に合ったものかどうかは、
実際に手に取って読んでみなければ分からないものです。

その点、本屋さんではある程度立ち読みで現物を確認する事もできます。
内容だけではなく、実際の“もの”としての魅力という側面もあり、
自分で納得のいくものに出会えるという点では、
リアルの世界の持つ力は、捨てがたいものがあります。

本屋さんで本を探していると、予定していた本以外にも、
もっと適切な本が見つかることがあります。

さらに、考えてもいなかった本と出会うこともあります。
自分の中にそんな欲望があったのか、と思うような、
異なるジャンルの本との出会いも。

 ●本屋さん開業の夢
 ●『美しい本屋さんの間取り』主な目次
 ●間取りの図版が楽しい
 ●1章 設え方 来店者を増やす
 ●2章 見せ方 美しく本を見せる
 ●3章 基本 知っておきたい基礎知識
 ●本書が見せてくれる自分の本屋さんの夢
--

 以上、過去4回の概要とまとめというところです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 - 私の読書論184 -
  ~ がんばれ!町の本屋さん ~

  産経新聞の記事「一筆多論/多様な本屋があればこそ
          書店減少と読書文化を考える」より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●「多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」

産経新聞2024/4/30の山上 直子さんの
「一筆多論/多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」
https://www.sankei.com/article/20240430-3WZGEHWNPVPEHJSDN4I2J4ITXU/


(画像:産経新聞2024/4/30の山上 直子さんの「一筆多論/多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」全文)

(画像:産経新聞2024/4/30の山上 直子さんの「一筆多論/多様な本屋があればこそ 書店減少と読書文化を考える」のネット・ニュース版冒頭)

を紹介しましょう。

私も書いていますが、
本屋さんをのぞく楽しみは、他の商品と同じかも知れません。

「出会い」です。

 《思わぬ本に出会って人生が変わることもある。
  これまで、その舞台となってきたのが「街の本屋さん」だった。》

今その書店が次々と消えつつある。
この20年で半減し、

 《全国の市区町村のうち、4分の1以上で書店が一つもない
  という調査もある。》

そんななかで頑張っている地方の本屋さんを描いた本を紹介しています。

『本屋で待つ』(佐藤友則・島田潤一郎著、夏葉社 2022/12/25)

 《広島県庄原市の山間部の書店「ウィー東城店」を経営する佐藤さんの
  物語だ。試行錯誤するうちに本屋が印刷代行を手掛けるようになり、
  美容院や化粧品販売、コインランドリーにベーカリーまで…。》

 《いわゆる〝多角化〟で、
  街の「よろずや」となっていく過程がおもしろい。》

低い利益率による収益の少なさをカバーするためだけでなく、

 《各サービスが地域の人に必要とされていたからだ。》

といいます。

そして、ここが肝心の部分ですが、

 《書店を主軸にした多角化が地域の人たちに受け入れられたのは、
  「本という商品が社会から信頼されているから」というのである。》

 《本が信頼されているから本屋も信頼され、そこでパンを売ろうが
  化粧品を売ろうが、客は信頼してくれるのだと。》

人口減少と過疎化が進んでいる状況下で、
このような「よろず屋」が求められているわけです。

私も以前から書いていますように、

 《ただ、出版業界の構造が今のままでは、つまり、
  新刊や雑誌を売るだけではこの先、本屋を維持するのは難しいと、
  佐藤さんは同書で指摘している。》

利益率を上げる、顧客を確保する等の理由から、複合店が増えています。
それができないお店では、2割の粗利しかない現状で、
上質な文化の担い手を人材として確保するのは難しく、
それどころか学生アルバイトすら雇えず、
志を持つ店主たち(あるいはパパママ)で対応しているのが現状です。


書店を文化創造基盤として、その振興策を検討するための
「書店振興プロジェクトチーム」が経済産業省に発足した、といいます。

 《近年、個性的な書店が増えている。
  規模も取り組みもさまざまだが、従来の経営モデルでは
  もう通用しないという裏返しでもあるだろう。》

と、記事にあります。
一つは専門店化であり、他方は副業を合わせた多角化です。
その辺のところは、以前の記事でも紹介しました。

 《本や書店への信頼は読書文化の一端だ。
  大規模書店も街の本屋さんも、
  地域のニーズに根差した多様な書店が
  生き残る術(すべ)を考えてもらいたい。
  時間的な猶予はあまりない。(論説委員)》

と締めくくっています。


 ●私の“町の本屋さん”の生き残り法

私の考えた“町の本屋さん”の生き残り法の一つは、
現状の出版販売制度を維持したままでならば、本の価格を引き上げ、
その値上げ分を著者を含めた出版社、取次、書店で分配する方法。
これにより利益率を改善する。

もう一つは、根本的に販売制度を変え、再版制度をやめて、
書店の自由販売に変える。
他の商品などと同じように、自主的に仕入れて、自由に価格を設定、
販売する。

――という二つの方法を書いてみました。

私は、最終的には、後の根本的に販売法を変える方を取ります。
それぞれの経営者が努力する方向が一番だ、と思うからです。

再販制度はかつては、全国一律に価格競争を避けて、
経営規模の大小にかかわらず、全国の読者に本を提供するという役割を、
無事にこなしてきたと思います。

しかし、現状のような変化が生まれてきますと、
十分に対応できない面が出てきました。
Amazonのようにポイント制で、
実質的に再販価格制度を破っているところもあります。

電子本のように三次元空間でものを動かさない流通制度も、
現物主義の書店に不利になっています。

電子本によって、印刷・製本会社も儲けが減り、リアル書店も減益。

そういう現実の中で、生き残るためには、
書店や出版流通の構造を根本的に変える必要がある、
と私は考えています。


 ●文化の発信地としての書店の役割

書店の役割として、地域の文化の創造基盤としての存在、
というものがあると思います。

読書系の文化基地としては、書店だけでなく、図書館があります。
図書館の役割は大きいものがありますが、
図書館だけではカバーしきれない部分もあります。

公共の施設としての限界もあります。

図書館では扱いにくい本もあります。
図書館で借りて帰るのは、ちょっと……と思う本もあります。

また、図書館で借りて読むだけでは満足できず、ぜひ、自分の本として、
手元に置いておきたい本というものもあります。

そういった本はやはり本屋さんで買うのが一番です。

かつての私のように、引きこもりで外に出られなかった少年でも、
本の力によって、本の世界で社会とのつながりを得て、
現実に本屋さんに出かけることで、外の世界とつながっていた、
という現実がありました。

本屋さんは、外の世界への扉を開いてくれる場所でもあったのです。

そして、私が左利きの活動を始めるとき、
役に立つ情報を与えてくれたのも、本屋さんと図書館の本でした。


 ●がんばれ! 町の本屋さん

どんなに電子本が普及しようと、
それでもなお、紙の本を欲しいという人もいます。

紙の本による、
三次元で肉体と精神の両方を駆使して行う知的活動こそが読書だ、
と考える人もいます。

特に子供さんなどは、手に取って触って見て、五感で理解するのです。
ものとしての本の役割は、非常に大きなものがあります。

これからも、このメルマガでは、
本と本屋さんについてあれやこれやと書いてゆく予定です。
お楽しみに!

 ・・・

実は、後半の部分、当初の書いたものと異なる内容になりました。
パソコンのエラー?で、書いた部分百行分ぐらい消えてしまったのです。

要点の記憶はあるのですが、いざ書き直そうとすると、
まったく異なるものになりました。
あ~あ。

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本誌では、「私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん」と題して、今回も全文転載紹介です。

かつて「町の本屋」さんで「本屋の兄ちゃん」をやっていた私にとって、こんなに早く本屋さんという業種が「絶滅危惧種」になるとは思ってもいませんでした。

少なくとも私の生きているあいだは大丈夫と、勝手に決め込んでいました。
まあ、それほど、この文化に大きな変化があるとは思っていなかった、ということですね。

ネットを含めた電子化、デジタル化の変化が大きかったということでしょう。

「紙の本から電子本」だけでなく、ネット書店の存在がここまでウエートを高めるとは思いませんでした。

Amazonで当初言われていたのが、ロングテールの本が売れるということでした。
これはネット書店の利点だと思いました。
店舗の立地に左右されず、店舗の賃貸料などを考慮しますと、本屋さんのような利益率の低い商品を扱う時、非常に有利になります。

私自身、後年、本屋時代の上司と話をしたときに、本屋さんは売れる本だけなどという在庫の置き方をするとダメになる、もっと売れない本も置いておかなければ、と。
滅多に売れないけれど、その本を置いておくことで、本屋さんとしての格といいますか、存在価値といいますか、お客さんに選択肢を与えるといいますか、そういう本屋としての価値があるかどうか、ですね。

さて、雑談はそれぐらいにして、これらのお話はまた来月にでもしたいものです。

 ・・・

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私の読書論184-がんばれ!町の本屋さん-楽しい読書366号
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