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蝦夷犬(エゾイヌ)

好きなだるま探そう

河北新報電子版 朝刊
2023年5月21日 15/26

郷土玩具または郷土人形などと呼ばれている一群のみやげ物がある。
そして、どこのお宅にもサイドボードや神棚、窓辺に飾られていて、郷愁や旅の思い出に、なかなか良いものである。

コケシ職人の間で作られてきた木地玩具には、多彩な物がある。
渓流釣りの餌入れなどは特注で竹で作ってもらって重宝した方も居ただろう。
表に出せない、しかし根強いファンがいる男性の逸物を象った、本来は子孫繁栄の道祖神などは、悪霊退散、家内安全などの神様に属する物だが、逆に堂々と表に出して願い事の達成を祈る物には、ダルマがある。

張り子のダルマなどは、政治家などが願い事と同時に片目を入れ、当選の暁にはもう一方の目を入れて、当選を祝い、初心忘れずの意思を示すよう、神棚に具えておくのだが、若い方々には、そのような昔気質の風習などは、最近は流行らぬものらしい。

張り子のダルマは、有名どころだと高崎ダルマを代表とするのだろうが、私は仙台ダルマが縁起が良い宝船の図柄で、非常に好きである。
青と赤の色合いも、子供時代から見続けていて、これぞダルマと思うのである。

仙台ダルマは別名松川ダルマと言う。
伊達仙台藩の時代に、貧乏な下級武士の内職に始められ、許可を得て作って居たサムライが松川何某というので、出来も良く、秋祭りや新年の初詣(はつもうで)などで商われ、年ごとに新しいダルマを供える場合と、非常に高価な物を買い足して行く場合があった。
最早、材料がなくなり、作られなくなったが、ガラスの目を入れ、型物の入れて凹凸をつけた仙台松川ダルマは、美術品とも言えるような出来栄えだった。

さて、本題に戻ろう。
木地玩具のダルマも、古い時代には精緻な物も作られたが、近年は、外国人にも収集家が出てきて、良いものであれば、実に高価に取り引きされる物もある。

大崎市の鳴子温泉郷では、流石に目の付け所の良い方が居ると見えて、今年度からは木地ダルマのオークションを行うという。
日本こけし館で、9月に例年行われている全国こけし祭りに「中古こけしオークション」に送られてきた木地ダルマも一定の数になったのでダルマのオークションとなったようである。
ダルマの愛好者も別に居るので、軌道に乗ったら、こけし工人の中には、ダルマも一緒に作って販売する人も出てくると思う。
実に良い企画だと思う。

鳴子に先行されたが、白石で5月に行われている「こけしコンクール」でも鳴子に負けじと、同様のイベントが企画されるだろう。
伝統こけし11系統の工人数は激減している。
従来の客を待つ販売ではなく、いろいろなイベントと一緒に販路拡大を図って、若い工人たちにとっても、将来に希望のある「仕事」になって欲しい。
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