前回の投稿から3か月も経ってしまいました。新作に没頭していたからです。
もうすぐ草稿が仕上がります。没頭していた間はいいのですが、物語の終わりが見えてくると、さて、これをどう世に出せばいいか、ということが頭を過ぎり始めます。厳しい出版状況が思い出されて、気が滅入ってきます。
そんな時、図書館はほんとうに有難いものです。
小説を書いて生活している方や書店を経営している方にとっては、図書館は敵かもしれません。けれど、私のようにメジャーな賞を貰ったことがなく、有名な文芸誌に短編の一つも載せてもらったことのない者にとっては、図書館はまさに「拾う神」です。
「たった一つの抱擁」2007 は 15館が、
「沙羅と明日香の夏」2011 は 57館が、
「青い鳥のロンド」2017 は25館くらいが、
「時鳥たちの宴」2022 は21館が、
拾ってくれました。
最近は寝る前に、愛知県の図書館だけですが、貸し出しされているかを一括蔵書検索で調べるのが、癖になってしまいました。
十年以上前に出した「たった一つの抱擁」と「沙羅と明日香の夏」は、さすがにもう奥の書庫にしまわれたのでしょうね。蔵書されてはいますが、カウンターでリクエストしないと借りられないためか、貸し出しがなくなりました。
でも、「青い鳥のロンド」と「時鳥たちの宴」はまだ、毎日どこかの館で借りられています。
新しく『貸出中』となっていると、どんな方が何を感じて手に取ってくれたのかなあ、と読者さんを想像して嬉しくなり、思わず、「ありがとうございます」と手を合わせてしまいます。
出版or発表の目途もつかないままに書いていると、時に気が沈んでくるのですが、『貸出中』の文字を見ると「読んでくれる人はいる」と思えて、また気力が湧いてきます。幸せな気分で眠れます。
これまでに、図書館からどれだけの読者さんを得られたでしょうか。本は読みたいけれど金銭的な余裕がない、という方も少なくないと思います。
図書館は、作品を読者さんに出会わせてくれる、私のありがたい味方です。