時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

津和野「うずめ飯」

2019年04月27日 | こりゃ美味い

多摩爺の「こりゃ美味い(その3)」
津和野「うずめ飯」 みのや(島根県津和野町)


風はないが、小雨がパラパラ降っているゴールデンウィーク
萩(山口県)から益田(島根県)の海岸線を走って、
三隅(浜田市)まで・・・ 母方の実家の墓参りに出掛けた。

間もなく卒寿を迎える母は現役のドライバーである。
田舎に住んでるが故に利便性を考慮すれば致し方ないところもあるが、
今回の帰省で一番の目的にしてたのは、母を説得して運転免許証を返納させることにあった。

その切っ掛け作りにと言っちゃご先祖様に叱られちゃうが、
実家(下関市)から三隅まで向かう車中(約3時間)で、
説得というよりは、お願いといった口調で話すと、
以外と言っちゃ以外、拍子抜けだが、あっさりOKしてくれた。

難航を予測していたが、揉めることなく、ちょっと安心
来年3月の誕生日(90歳)を節目に、運転免許証を自主的に返納すると自ら切り出してきた。

それでも、まだ1年も先になるので、全く不安が無くなったわけじゃないが、
母の方から言い出したことなんで、あえてそれ以上の突っ込みはしないことに女房とアイコンタクト
「雨が降ったら運転しない。」、
「日が暮れたら運転しない。」の二点を約束してもらい、
この話は、ここで終了

墓参りを終え、帰りは違ったルートで国道9号線を走り、
山口県と島根県の県境に近い津和野にやって来た。

時刻は13時ちょっと前、ぼちぼち・・・ ヒルメシだろう。
大きな鳥居を潜り抜け、坂道を真っ逆さまに下ると、
山あいの盆地に広がる静かな城下町・津和野の町に入る。

津和野は山陰の小京都と呼ばれ、若い女性を中心に萩や山口とセットで人気が高い町だが、
じつは父方のルーツ(今は誰も住んでないが)はこの町にあって、
個人的には郷愁を誘う場所の一つでもある。

駅からほど近く、一番最初に目が留まった「みのや」という食堂の駐車場に車を止め、
ここでヒルメシにする。

母と女房は「しこたまうどん定食(1000円)」、私は郷土料理の「うずめ飯(750円)」を注文
「しこたま」とは、この地方の方言で「たくさん」という意味があり、
その意味のとおり、山菜中心だが・・・ おそろしく具材がたっぷり入ったうどんであった。

「うずめ飯」は、その名のとおり、ご飯の中に具材をうずめた料理で、
出汁をかけて食べるお茶漬けのようなものだが、
椎茸、人参、蒲鉾、高野豆腐、魚、肉などを賽の目に刻み、
薄口醤油で煮て味付けしたものの上にご飯を乗せ、
刻み海苔、山葵、三つ葉などを薬味として加え、熱い出汁をかけていただく。

なぜ・・・ このような食べ方をしたかというのには諸説あって、
質素倹約が求められていた江戸時代、豪華な具材を隠して「おもてなし」をしたという説と
肉を食べない時代に、肉を口にするのを隠していたという説がある。

津和野の町には、具材に趣向を凝らした「うずめ飯」を提供するお店もあるようだが、
これを食べるのが目的じゃなかったので「みのや」さんに入ったが、
お値段的にも、お味的にも、お店の雰囲気的にも満足度が高かったことは付け加えておきたい。

お隣の席で食べていた、高齢の外国人ご夫婦(リュックを持ってたので、たぶん観光客)が、
平日限定の山菜定食を口に入れた瞬間、目を丸くして「デリシャス」と発していた。
これは嬉しい。
他人事ながら、日本人として嬉しい。

ほっぺたが落ちるほどの美味さじゃなくても、生活の中にある郷土の食材や料理は満足度が高い。
ごちそうさまでした。


うずめ飯
 パッと見はお茶漬けなんだけどね・・・

うずめ飯
 出汁でご飯を崩していくと中から・・・ たくさんの具材が出てくる。

みのや
 古民家風のお食事処だけど、風を感じる席もあって・・・ 良い雰囲気

みのや
 囲炉裏はなかったけど、鍋を吊るフックがぶら下がっていた。

みのや
 ぶ厚い木が表紙になってるメニュー表、これもまた・・・ 味がある。

みのや
 店の奥には、青もみじを庇に初夏を風を頬に感じる席もあった。

JR津和野駅
 お店の裏には津和野駅のプラットフォーム、「津和野」じゃなくて「つわ乃」と表記されている。
 SLやまぐち号が止まってたらサイコーだったんだけど・・・

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