ここ数年、水揚げした船上で魚の血液を抜く「活締め」を行う漁業者が増加している。消費者が自ら出刃包丁を使い鮮魚をさばくのを嫌うため、活締めは、鮮魚に目を向けてもらい、かつ消費低迷で安値が続く魚の付加価値の向上を目的とする試みである。
三月十五日に購入したオヒョウ(羅臼産、33㌢)、三月二十一日のヒラメ(愛媛県産・養殖、36㌢)、四月四日のアカガレイ(釧路前浜産=写真上段、42㌢)は、裏側(白い面)から尾の脊髄と脳の延髄に刃を入れ血抜きが行われていた。
上に記したアカガレイ(釧路前浜産、42㌢)は九百七十六円、半身で二人前+半人前の刺身(写真下段)を作り、残りは煮付けにして食べた。ヒラメと比べて外観はよくないが、食味ははるかに上だった。
釧路市漁協では、「釧路の前浜で取れるアカガレイやマガレイ、サメガレイ、ババガレイ、タンタカ、オヒョウ、ソイ、マダラ、ホッケ」(3月26日付『釧路新聞』第1面)などの活締めに順次取り組むという。
昆布森漁協では、トキシラズの活締め(3月22日付、同新聞・第1面参照)に取り組んでいるし、釧路市東部漁協でも検討中だそうだ。しかし、手間がかかる上に、各地の漁協で行うようになれば、ブランド化による高付加価値化の効果が薄れる可能性もある。価格が高くなれば消費者の魚離れを助長することにもなりかねない。
標津町では、「新たな鮮度保持技術の活締めを地元に周知しようと『標津活締め魚試食会』が3月30日、標津町生涯学習センターあすぱるで開かれ」(4月1日付、同新聞・第14面)、釧路水産試験場の主任研究員による活締めの方法に関する講演の後、参加した町民がサケを食べ比べて評価した。魚好きにとって、適正な価格で活締め魚が手に入ることを期待したい。
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