タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 造 林 地 の 仕 事 ≫

P1010205_1
 上の写真は、7月2日に撮影した、茶路川上流部沿いの、下刈りが終わった急傾斜の造林地である。小さなアカエゾマツの苗木が二列に植わっているのがかすかに見える。
 9月になってから、7月2日撮影の造林地の写真を再度取り上げたのは、8月31日付『讀賣新聞』第38面〈社会〉で、29日夜、木材会社「札弦ベニヤ」の合板工場と資材庫がほぼ全焼した、という記事が目にとまったからである。
 私は、昭和36年4月に大学に入学してから卒業するまで四年間、7月中旬から8月末までの夏期休業の間、札弦ベニヤ造林部の臨時日雇い人夫として、下刈りと地ごしらえの作業を経験した。エンジン刈り払い機が普及する前で、六尺近い柄の付いた、刃渡り一尺余の大鎌を使い、7月の炎天下に、苗木を切断しないように雑草を刈る作業は、言葉では表せない重労働だった。
 8月になると、作業現場は木材伐採跡地に移り、地ごしらえが始まる。会社の担当者が測量して梵天を立てるので、それを目印に、苗木を植えるスペースとボサ置き場のスペースを定め、作業員がそれぞれ、指定された苗木スペースの雑草・雑木を大鎌と手鋸で片づけるのである。この慣れない作業は、精神的にも肉体的にも辛かった。
 札弦ベニヤの日雇い人夫で得た賃金を手にして、9月に大学に戻り、好きな書籍を比較的自由に購入できたことを、今でも有り難く思っている。その本社の工場が全焼したという記事は、私にとって大きなショックだった。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「行住坐臥」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事