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おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテです。

アンパンマンメリー が来院しました。

【申告】

 メリーが回らなくなりました。

【診察】

 2018年9月にアガツマから発売された正式名称「アンパンマン 8WAY ウォーカーまでへんしん!よくばりメリー」は、メリーからウォーカーまで8つの形に簡単に変身、赤ちゃんの誕生から、生後12ケ月ごろまで長く使える万能メリーです。以下取説からの抜粋です。

 このメリーは大きく2つのモードに分かれていて、モード毎にスイッチの働きも変わります。

 今回メリーが回転しないということで、他には異常は無いようです。

 操作的には、モードをメリーモードにしてバイキンマンの回転ボタンを押せば回るはずですが、回らないという症状です。

 

 回転部からそれを制御する部分へと逆追いして、病巣を探ります。

 まずは、回転に関わる接続系から見ていきます。メリーの支柱の中身はモーターと減速ギヤだけの構造です。

  

 目でわかる電気的な断線や、機構的な不具合もありません。ユニバーサル電源を用いて回転部の接続端子に電圧を加えて、回転をするか確認をすると不具合はなさそうです。

 

 本体側を検査します。

 電源・モード切換えスイッチで動作を変えていますので、この辺りも含めて接続関係と回路を探ります。マイコン基板は、このメリーに限らず部品として残っているものは、わずかな抵抗や、コンデンサ、トランジスタ、スイッチ程度です。

 内部結線図とマイコン基板内回路図が次に示すものです。不具合のある回転に関わる部分だけで良いのですが、勢いで調べました。

 

 電源・モード切換えスイッチからの信号と回転ボタンの信号を受けて、トランジスタを駆動しているだけの回路ですが、マイコンからのトランジスタを駆動するベース電圧が出ていません。トランジスタは破損していませんし、抵抗も正常です。これ以外は、マイコンのCOBのブラックボックス内の話になります。

 うーんと唸って、翌朝取説を眺めてモードによって同じボタンでも働きが違うと書かれていますので、スイッチをメリーモードに切り換えて診ましたが結果は切り換ってないようです。ということは、電源・モード切換えスイッチが働いていないことになります。

 スイッチの位置によりRT,BP10,BP11の何れかのラインがGNDと接続される回路です。メリーに切り替えるとBP11の信号がLOWレベルになります。スイッチを分解して接点と摺動子のさび落としをしました。これでトランジスタのベース電圧が出るようになりメリーは回るようになりました。

【治療後記】

 済んでしまえば、スイッチの接触不良でした。

 ただ、これにプログラムが介在してくるとブラックボックスの部分が出てくるので、難しさが出てきます。

 今回の治療では、一部アガツマに問合せをしましたが梨のつぶてだったのが残念な対応でした。

 ただこのメリーは成長とともに、たっちジムやウォーカーとしての使い方を想定しているためと思いますが、内部のねじは鉄にニッケルメッキをしたものを使用していますが、筐体を形成する締め付け箇所はステンレスねじを使用していました。1才児位とは言え体重が掛かりますから、コストは上がりますが安全性の観点からの選択だと思いました。

 

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