武弘・Takehiroの部屋

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「何もかも遅い日本、何もかも速い中国」なのか?

2024年05月08日 15時06分42秒 | 政治・外交・防衛

<2011年7月に書いた記事を思い出したので、一部修正して復刻します>

中国の温州で起きた高速鉄道事故は日本でも大きく報道されている。少なくとも39人が死亡、192人以上が負傷したというから大変な事故だ。
事故の詳細をここで述べるつもりはないが、日本人から見ると、信じられないような驚くべきことが相次いでいる。 なにしろ、脱線事故直後に問題の車両を穴に埋めたり、わずか1日半で線路を開通させたりしている。また、事故から3日目には、犠牲者の遺族に50万元(約625万円)の賠償金を支払うことを決めたというのだ。
事故車両を穴に埋めたのは、証拠隠滅を図るものだとして強い批判を受けたせいか、今度は車両を掘り出したりした。日本人から見ると何もかも異例である。
それはともかく、中国の高速鉄道は安全性に疑問があると指摘されていただけに、日本のマスコミは「それ見たことか」と鬼の首でも取ったように騒ぎ立てている。それは当然だろう。中国のネットやマスコミも安全性に問題があったと批判しているのだ。今回の脱線事故は原因もまだ分かっていないのだから、大いに問題視すべきである。
 
ただ、私がここで言いたいのは、中国の「事後処理」というのが、日本では考えられないほど速いということだ。事故車両を穴に埋めるとは言語道断だが、1日半で線路を開通させたり(これも問題があると思うが)、早くも賠償金の話をしている。
これが日本だったら、線路の開通に何週間もかかったり、賠償金については何年もかかるかもしれない。裁判沙汰になることだってある。
要するに、中国は何もかも“拙速”という感じがするが、日本は何もかも遅いように思えるのだ。どちらが良いかは分からないが、どうしてこんなに違うのだろうか。 社会体制が違うと言ってしまえばそれまでだが、果たしてそれだけだろうか。
中国が良いなどとは全く言えないが、大震災や福島原発事故のことを考えると、日本は事後処理があまりにも遅いのだ。何もかもグズグズ、モタモタ、ノロノロしている。
これは放射能汚染の問題一つを取ってみても分かる。ここで●●シーベルトだとか○○ベクレルなどと具体的なことを言うつもりはないが、汚染が明らかに深刻であり広がっているというのに、政府の対応はいつも後手後手だった。 

「大したことはない」「人体に直ちに影響はない」などと“気休め”みたいなことを言いながら、結局、やれ避難だ、やれ出荷停止だなどとなってしまう。どうして日本は、こんなに対応が遅いのだろうか。
 
例えば中国で、福島やチェルノブイリみたいな原発事故が起きたと仮定しよう。私の想像では、中国政府は事故直後に、危険な地域の住民を直ちに「強制退去」「強制移住」させただろう。
これは国土が広いとか狭いといった問題ではない。緊急事態に対応する能力、スピードが日本と中国ではあまりにも違うのだ。中国政府は拙速と言われようとも、直ちに事後処理を決め実行するだろう。 これに対し、日本政府は「パニックを起こしてはならない」「住民を混乱させてはいけない」などと考え、スピーディーな対応が遅れるに決まっている。現に福島原発事故の時がそうだった。
つまり「危機管理能力」の問題である。日本は戦後、平和ボケしてずっとやってきたから(安全第一は良いが)、いざという時にスピーディーに対応できないのだ。これに対し、中国は体制の違いもあるが、号令一下、迅速に動く習慣が出来上がっているのだ。その辺が日本と中国は決定的に違うと思う。
 
高速鉄道の事故は、中国にとって大きな痛手だったろう。これで外国に新幹線を売り込むことも難しくなるかもしれない。高速鉄道自体については、日本の方が中国よりもずっと安全で信頼性があるだろう。
ただし、何か事故があると、私は中国の方が日本よりもはるかに対応が速いと思っている。それは“拙速”かもしれない。今回の事故処理が正にそうだ。もう賠償金の話だなんて、日本では考えられないことだ。
しかし、拙速であっても、中国の処理能力とスピードを侮ってはいけない。日本は何もかも遅すぎるのだ。遅くても巧くやればいいじゃないかという意見もあるだろう。それも一理はある。
ただし、福島原発と高速鉄道の事故処理を見比べると、対応があまりに違うので驚いているのだ。日本風が良いのか、中国風が良いのかは分からない。どちらも一長一短があるだろう。
問題は突発事件や事故、有事(戦争)などの緊急事態にどう備えるかということだ。最後に、有名な孫子の兵法から一言借りよう。
『巧遅は拙速に如(し)かず』・・・意訳すれば、「出来が良くても遅いのは駄目、出来がまずくても速い方が良い」ということか・・・ (2011年7月27日)


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