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たわ言、泣き言、独り言 時々新刊案内

此の世の果ての殺人

「此の世の果ての殺人」(荒木あかね, 2022/08, Kindle版)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0B9FTK7NT/ref%3Dcm_sw_r_tw_dp_98RETK8RXRA8PKQYTAX4

読了しました。

小惑星の衝突予測が発表され、滅びを目前にした人々はパニックに陥る。
そんな中、淡々と日常を送る主人公。
彼女が女性の遺体を発見したことから始まるミステリー。

面白かったです。
ただ、頭に特大の重しが乗っかっていて、それは最後まで続きます。
大団円なエンディングを読みたい方には向いていないかも。

自分はミステリーをそれほど読んでいるわけでもないので、これから書く感想は、そう言う人が書いたものだと思って読んで頂くと有り難いです。

登場人物のキャラクターがそれぞれ際立っていました。すごくわかりやすかったです。
それゆえになのかも知れませんが、自分の場合は主人公に感情移入できるまで時間がかかりました。主人公の性格に少し癖を感じたのです。主人公のあの複雑な感情は、極限状態に置かれているからこそなのかも知れませんけど。

物語りが進むにつれ、主人公の仲間が増えてゆきます。最初のうち、この主人公は人と打ち解けにくい性格なのかなと思っていたのですが、そうではないのだなと思うようになりました。ただ、壁がある。主人公の心の中に。他人との間で。実はこれが伏線なのです。多分ですけど。

主人公の最初の仲間は教習所の先生でした。この先生がいわゆる探偵役で、主人公はその助手と言った役回りです。この先生、強いですね。強すぎます。でも、これも伏線。多分。

極限状態に置かれた人々の様が、主人公の行動範囲が拡大するにつれ、つまびらかにされていきます。警察官、犯罪者、取り残された人々。正義感で残った人もいれば、他人を利用して生きようとする人もいる。穏やかな人々もいれば、そうでは無い人も。

犯人が誰かはもちろんこの感想では書きません。でも、分かる人にはわかる。ある意味わかりやすい。

この物語りで一番感動したのは終盤近くの110番に従事する人々についての記述です。あのくだりで、作者氏は警察機構を信頼しているのだなと思いました。この予想、当たっているのかはわかりませんが。

そしてラスト、あのシーンで味わえる感慨は、この物語りを読み通した人のみが享受できるものだと思います。それを知りたいと思ったあなた、是非、この物語りをお読みください。




書影は版元ドットコムより
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065289204
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