膜構造は構造形式により骨組膜構造・サスペンション膜構造・空気膜構造の3種類に分けられ、さらにそれらは支持方法により幾つかに分けられる。また、他に異なる構造形式の組合せによる複合構造形式もある。
■骨組膜構造
鉄骨造その他の構造の骨組に膜材料を張ることにより屋根または外壁を形成する構造方法をいう。骨組の架構法は、ラチス梁と単一部材の組合せあるいはラーメン構造、トラス構造がある。形態としては、平面または一次曲線を用いたものや鞍型に代表される二次曲線を用いたものがある。
■サスペンション膜構造
膜材料を主材料として用い、基本形状を吊り構造(サスペンション構造)とした構造方法をいう。サスペンション膜構造は引張力のみに抵抗することのできる部材から構成されており、曲面を安定させる復元力は同一面内に含まれる吊り成分と押さえ成分との緊結によって得られる初期張力によって与えられる。それゆえ曲面は外部荷重に対して曲面内せん断力と張力の釣り合いからなる膜応力状態になる。ここでは、一応そのような膜応力状態になるサスペンション構造をサスペンション膜構造と名づけ、膜構造という特殊な分野に含ませ、この構造に含まれる原理的に異なる空気膜構造と区別している。また、このサスペンション膜構造はさらに膜材料の材質的な見地から2種類に分けられる。
(a)ザイルネット方式
この構造はサスペンション膜構造のうちとくに鋼索、もしくはこれに類する線状の材料を使って網状とし、これを構造体としてその表面あるいは裏面に織布またはフィルムで覆ったものをいう。この構造物の特徴は織布やフィルムのみを使って構成する膜(membrane)方式とは異なり、膜面張力を必ずしも均一にすることもなく、そのため曲面形態をかなり自由に設定することができる。また強度の高い材料もあることから、この構造によれば大空間架構も可能である。
(b)膜方式(メンブレイン方式)
ザイルネット方式におけるザイルネットのかわりに、織布やフィルムのみを使って等張力曲面に近い曲面を構成する構造物を膜方式という。この膜方式では、一般に膜面自体が非常に柔軟で、膜面張力はできるだけ均一にしないと局部応力を生じたり“しわ”を生じる恐れもある。しわを生じるところでは、しわに直角方向の膜応力は零となる。そこで膜方式では膜面張力をできるだけ均一にする必要があり、この点がザイルネット方式と大きく異なるところである。
■空気膜構造
膜材料を用いて形成された屋根及び外壁の屋内側の空間に空気を送り込むことによって、内部の空気の圧力を高め、膜材料を張力状態とし、荷重及び外力に対して抵抗する構造方法をいう。
空気膜構造の種類としては、以下の3つの方法がある。
(a)一重膜構造
石鹸の泡がそうであるように、膜は一重であり、膜内圧は内部空間にかけることになる。この方式は最も一般的であるように、規模の大きいものができる。しかし、出入りにより内圧がやや下がるので入口は、二重扉、回転扉を使うことになる。また内部空間に人の出入りがあるので高圧にはできない。
(b)二重膜構造
二重膜構造では、二重に張った膜の間に空気を送り込み空気枕のようにするもので、一重膜構造の時よりもやや高い圧力をかけることができる。これによって剛性の高いパネルのようなものとなり、全体として曲げにも抵抗することができる。また、一重膜構造のように、入口にある制限が加えられるのと異なり、オープンシステムにすることができる。
東京ドームのような音響・空調等を目的とした内膜は、構造体ではないので二重膜構造とはならないので注意が必要である。
(c)チューブ膜構造
チューブ膜に高圧空気を送り、剛性の高い線部材となるもので、アーチにして圧縮、曲げに抵抗させ、あるいは積み上げて、圧縮に抵抗させようとする方法など、あるいは補強ワイヤーを併用して橋桁に使う例などがある。
「入門・テント技術」/日本テントシート工業組合連合会 編 より抜粋
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