建築の部材は、引張材として使うと小さい断面ですみ有効であることはよく知られている。この引張材を単に「線材」として考えずに「面材」として扱うのが膜構造である。ラーメン構造・シェル構造などは曲げ剛性を持ち圧縮及びせん断力に耐える部材で構成されるのに対し、膜構造は膜材料・ワイヤーといった、曲げ剛性を持たず、面内の張力とせん断力にのみ耐え、圧縮力に耐えない部材によって構造体が構成されているからである。また、この構造は膜材に透光性のある材料を用いることによって、昼間は自然光に近い光を室内に導入ことが可能となる。膜構造はこのように、これまでの建築では考えられなかった、空間構成上の特徴を持っている。
他の構造方式と比べて、膜構造の際立った特徴として、下記のようなものがあげられる。
■意匠性
従来の建築工法にはない膜面曲線による形状は、柔らかみのあるソフトなイメージの建築を創造する。建物の存在感、独創性を強調することのできる構造であるとともに、内部空間は膜面効果によって拡がりのある開放的な空間を創出する。
■軽量性
空気支持方式、サスペンション方式とも、外力、スパンによって多少変動するが、膜材の面積当り重量は0.5~2.0kgf/‡u、膜材の定着装置及びロープの面積当り重量が2~10kgf/‡u程度と考えられる。
■耐震性
膜構造建築は屋根材として金属・ガラス・硬質プラスチック等に比較して、耐震性が高いといえる。軽量であることは、下部躯体への荷重を軽減し、柔軟であるということは、下部躯体の挙動に追随しやすく、弾性回復力にも優れている。
■施工性
膜構造はプレハブ化が容易であり、他の方式と比べると極めて短工期で大規模な空間を構成することができる。
■メンテナンス性
初期張力をかけた膜構造建築物は、亀裂や破損が少なく、また、その補修方法も簡便である。
■耐久性
膜材は建築材料の屋根材としては最も軽量で強靭な素材である。従来の合成繊維の膜材は10年程度が限界であったが、繊維・樹脂の技術革新により短・中・長期の要求に対応できる様々な膜材が用意されている。
例えば、四フッ化エチレン樹脂とガラス繊維のハイブリッド膜材はアメリカのラバーン大学体育館(1973年)に使用されて以来26年間の経過実績があり、膜材の劣化は殆ど見られない。
■透光性
膜材にもよるが、日中では内部照明を必要とせず自然光下に近い色調が得られ、また室内空間には拡散光となってほとんど影を作ることがない。大空間であればあるほど、照明に係わるランニングコストの節減に大きく貢献することができる。室内でありながら屋外のような環境をもたらす自然な明るさは、競技・展示・イベント・集会など多彩な行事に格好の空間を得ることができる。
また、夜間は内部照明が建物の形状を夜空に映し出し独特な景観が生み出される。他方、透光率0%の遮光膜から90%以上の透光性をもつ膜材が提供されているため、様々な用途・目的に応じることができる。
「入門・テント技術」/日本テントシート工業組合連合会 編 より抜粋
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