日本人の祖先、大きく3系統か 理化学研究所がDNA解析で新説 - 日本経済新聞
理化学研究所の寺尾知可史チームリーダーらは3000人以上の日本人のゲノム(全遺伝情報)データを解析し、日本人の祖先には大きく3つの系統が関わっているとの研究成果をまと...
日本経済新聞
(記事より一部抜粋です。)
理化学研究所の寺尾知可史チームリーダーらは3000人以上の日本人のゲノム(全遺伝情報)データを解析し、日本人の祖先には大きく3つの系統が関わっているとの研究成果をまとめた。
研究チームは、東京大学や理研が運営する日本人の遺伝情報のデータベース「バイオバンク・ジャパン」を使って、北海道から沖縄までの全国7地域から集めた計3256人分のDNAの全配列を詳細に分析した。
3つの祖先系統のDNAはそれぞれ現代の沖縄、東北、関西の人々に比較的多く受け継がれている。
日本人の起源をめぐっては、弥生時代に大陸から日本列島に渡ってきた人々と縄文人の混血が進んだとする「二重構造モデル」が定説となってきた。ただ最近では遺跡で見つかった人骨の古代DNAの分析などから、古墳時代以降に渡来した人々の影響も大きいとする「三重構造モデル」などが提唱されている。
絶滅した人類であるネアンデルタール人と関係する発見もあった。
現代人の祖先はネアンデルタール人やデニソワ人と交雑したとされる。
(感想)
日本人の遺伝情報のデータベース(疾患を持った人が協力者)
があるんですねぇ。
理研の発表を読んでみると、
以前の研究により、日本人が縄文人および東アジア(EA、主に漢民族)の祖先を持つことが示唆されています。最近の古代ゲノムの分析からは、北東アジア(NEA)の祖先の影響も指摘されています。この背景のもと、共同研究グループは、縄文、EA、NEAの現代および古代の遺伝データを今回のデータと共に分析しました。
縄文の祖先比率については、沖縄が最も高い比率(28.5%)を持ち、次いで東北(18.9%)である一方、関西が最も低い(13.4%)と推定されました。これは、縄文人と沖縄の人々の間に高い遺伝的親和性があることを示す以前の研究と一致しています。また、関西地方は漢民族と遺伝的親和性が高いことが明らかになりました。
さらに、共同研究グループは中国、韓国、日本から報告された古代人ゲノムデータを使って、東北と関西の間の遺伝的親和性の違いを評価しました。その結果、関西人と黄河(YR)またはその上流地域の中新石器時代および後新石器時代古代中国集団との間に顕著に密接な関係があることが見受けられました。対照的に、東北地方の個体は、縄文人との遺伝的親和性が顕著に高く、また沖縄の宮古島の古代日本人ゲノム(高い縄文比率を持つ)や韓国三国時代(4~5世紀)の古代韓国人とも高い遺伝的親和性を持つことが示されました。
最近日本列島の遺跡から出土した人骨のゲノムの研究による「三重構造」モデル[17]、すなわち、縄文人の祖先集団、北東アジアに起源を持ち弥生時代に日本に渡ってきた集団、そして東アジアに起源を持ち古墳時代に日本に渡ってきた集団の三集団の混血により日本人が形成されたという説が提唱されました。しかし、先行研究で用いられた古人骨全ゲノムのサンプル数は制限されており、より多くの解析が必要と考えられていました。本研究は、大規模な現代日本人ゲノム情報に基づいて、この三重構造モデルの裏付けになり、日本の人口構造をより適切に説明する可能性があると考えられます。さらに、本研究では初めて日本人の遺伝的構造に対する東北地方人の祖先の影響の重要性が強調されました。東北地方は歴史的に蝦夷(エミシ)が居住していた地域であり、彼らの起源を調べる必要があります。 遺伝的分析により、現生人類に非常に近い、絶滅したネアンデルタール人やデニソワ人から引き継がれたDNAが現代日本人の遺伝的多様性にどのように寄与しているか、またその病気感受性や表現型特性に与える影響はどうか、という点についての理解が深まりました。さらに、ALDH2やADHクラスターなど進化的選択を受けた特定遺伝子が日本人の免疫応答やアルコール代謝に重要な役割を果たしていることがすでに示されています。これらの遺伝特性が健康や疾患リスクにどのように影響するかについて、さらなる研究が期待されます。
・本研究では初めて日本人の遺伝的構造に対する東北地方人の祖先の影響の重要性が強調されました。
・蝦夷(エミシ)の起源を調べる必要があります。
(感想)
近々「蝦夷(エミシ)」の起源も明らかになるのでしょうか。
大変興味深いです。
まぁ、結局は
人類皆兄弟
ってところへ行き着くという空想です。