宇部興産専用道路

見学記です

ジャパントラックショー2022を見学しましたⅢ

2022-10-30 04:23:27 | ジャパントラックショー2022

ジャパントラックショー見学の続きで、これが最終回。今回は、トラック部品のメーカー他色々について。

 

トラックのドレスアップを手掛けるビッグリグカスタムが出品した4t車です。よくあるデコトラとは方向性がまるで違う、アメリカンなドレスアップをしています。煙突マフラーや円筒形の燃料タンク等を部分的に取り入れたドレスアップは時々見かけますが、ここまで凝った車両は見た事がありません。写真ではわかりにくいですが、運転席内部もコテコテでしたゾ

今やトラックドライバーの間ではすっかり有名になったドレスアップブランド「セノプロトラックス」が出品した車両です。「機能的でカッコいいトラック」がコンセプトで、こんな方向性のドレスアップならいいですね。全て合法だそうです。でもここまでドレスアップすると、おいくらかかるでしょうね? ドアの内側まできっちり塗装するだけでも、かなりの金額がかかるそうですから

 

エムケー精工の大型車向け洗車機です。企業のイメージにも直結する車両の洗車ですが、大型車の洗車は時間がかかるもの。長時間労働に対する世間の目が厳しくなっている昨今、4分弱で完了するこんな装置はそこそこ以上の規模の物流企業にとっては不可欠ですね。寒い地方では有難い下部洗浄システムもありますし(オプション)、センサーによって車両毎に違う形状に対応可能だそうです

 

今度は、ダイフクの大型車向け洗車機です。ブラシでこするのではなく、高圧の水を噴射することによって洗車をします。これだと、複雑な形状の特装車(ごみ収集車等)も洗車可能になるわけです

 

ALFAの、事故車を移動させる装置です。事故車、特に衝撃によってタイヤ周りが破損した車両は、劣化したキャスター(車輪)みたいに思うように動かせません。そこでこの装置に載せて移動させることによって、二次破損を防ごうという優れモノ。製品も凄いけど、事故車も凄いですねえ(笑)

ミシュランが出展していた、リトレッドタイヤです。リトレッドタイヤとは、摩耗した古いタイヤの溝を削って新たな溝を貼り付け、再使用するタイヤのことで、乗用車のタイヤでは構造上不可能な大型車ならではのタイヤです。以前からこんなタイヤはありましたが、新品と比べると台タイヤと貼り付けた部分が剝がれやすいなど見劣りする部分がありましたが、現在は品質も良くなり、こんなタイヤもありかもしれません

 

そして、今回出展されていた展示物の中で、私の中での一等賞はこちら。

関東車輛が展示していた、大型車向けのスノーソックスです。いわば布製のタイヤチェーンというわけで、メーカーはあのスパルコ。性能や耐久性は金属製と比較しても申し分無く、脱着は数分でできて軽量・省スペース。トラックの金属チェーンの取扱いに四苦八苦した経験があるだけに、あまりの良いことずくめに虜になってしまった(笑) お世辞抜きで、乗用車用まで欲しくなってしまいましたよ。またこちらの会社は車両の陸送もやっておられるとのことで、その件でも盛り上がってしまいまして…陸送の苦労等、色々と語って頂いたお陰で、思わぬ長居をしてしまった(大笑) 関東車輛様、その節はありがとうございました(爆)

 

写真はありませんが、モーダルシフトの受け皿ということで、カーフェリーやRORO船の運航をしている商船三井フェリーも出展していました。あの「さんふらわあ」でお馴染みの運航会社です。私の会社はフェリーを介した輸送はやっていませんが、たまに利用する名門大洋フェリーを引き合いにしてフェリー旅の魅力をつい語ってしまいました(苦笑)

というわけで、レポートはこれにて終了。他にも、紹介しきれない程の車両や架装メーカー、部品や関連サービスの出展がありました。4年ぶりに開催されたこのトラックショーですが、期待以上の展示物の盛り上がりでした。2年後の開催も既に決まっていて、こちらも当然参加します。主催者や出展企業の皆さん、ありがとうございました。

 


ジャパントラックショー2022を見学しましたⅡ

2022-10-30 04:21:52 | ジャパントラックショー2022

続編をやっと作りました。5月に開催された「ジャパントラックショー2022」見学記の続きです。

今回は、主に架装メーカーを中心に報告致します。予め説明しておくと、架装メーカーとは、トラック等のシャーシに荷物を載せるための箱や台、または作業をするための装置を製作して架装する企業のことです。一部上場クラスから町工場クラスまで、大小様々なメーカーが存在するんですよ。

これは信濃車体製作所が出品した重機運搬車です。作業を省力化するため、歩み板(重機を載せるため、荷台と地面の間に渡す板)を引き出し式にするなど多数の工夫を凝らしたボデーです。これらは大部分が顧客の要望に応じて一から図面を引いて製作されるフルオーダーメイドのボデーで、メーカー系架装メーカーには対応しにくい仕様ですね。これらのボデーに対応するのが、中小架装メーカーの生きる道なのかもしれません

大型冷凍ボデーのシェア首位を誇る矢野特殊自動車が製作した、航空給油車です。給油時に必要なチェック事項をデジタル管理するシステムを組み込んだ最新車両で、他にも大きな転落防止柵を設置するなど安全性にも配慮した設計が盛り込まれている様子。車両の様子からして、公道走行が可能と思われます

メーカーの標準ボデー製作したり、トレーラーボデーのシェア首位でもある日本トレクスが出品した、スワップ冷凍フラットパネルバンボデーです。脱着可能なボデーで、積み下ろしをしている間にシャーシは別のボデーを輸送する、な事も可能な訳ですね。冷却装置は、ボデー先端にサーモキングのノーズマウント式冷凍機が設置されています

セミトレーラー式車載車といえばこのメーカー!の浜名ワークスが出品した、セミトレーラー式の6台積みの車載車です。EV化により大きく重くなる一方の乗用車を輸送するには従来の大径シングルタイヤでは対応しきれなくなったようで、小径ダブルタイヤを採用しています。また後軸スライド機構を不要にしたのとフレームの薄肉化などにより、大柄な車両に対応できるようにしたボデーです

 

国内だけでなく、海外の架装メーカーの出展も多かったです。

 

イタリアのROLFO社製の車載車です。柱が殆ど無いのが特徴で、車幅のあるこれらの車両を積載するにはぴったりですね。それにしてもこれらの車、よく集まりましたね!?

 

ドイツのケスボーラーが製作する、セミトレーラー型ダンプです。最大積載量は29tで、日本でよく見られる箱型ではなく、V字型の断面を持つ独特のデザイン。全長が9m弱ですが、比重の大きな土砂を積載するにはこれ位の長さがいいのでしょうね

 

同じケスボーラー社製のコンテナシャシーで、ボデーの伸縮により20~45ftの海上コンテナ各種を積載できる、万能なシャシです。これで保有台数を削減できる、というのがセールスポイントなのです

 

オランダのファン・エック社製の、二段のフロアを持つトレーラーです。超低床ゆえ、高さ1,7mまでの荷物を2段積めます。しかも車軸が無いシングルタイヤなので、タイヤの間まで2段積みが可能なのが凄いですね。同社では、自動車レースのチームが所有するモーターホームも製作しているようです

 

同じファン・エック社製と思われる、空港間の地上保税輸送で使われているトレーラーです。こちらは航空コンテナや航空パレットを2段積みにできる構造で、こんな構造は日本の架装メーカーで対応できるでしょうか? 車軸レスでこんな超低床、滅多な事では作れそうにありません

 

このトラックショーでは、何故かレッカー車の出品がやたらと充実しています。今回もヤマグチレッカーを筆頭に、城南ホールディングスなど多数の企業が出展していました。それも全て、アメリカやイタリア、中国からの輸入モノを架装しています。日本では作っていないのでしょうか? 全て紹介していたらきりがないので、そのうちから1台だけ紹介します。

 

これが一番凄かった。ヤマグチレッカーが出品した、日本最大という75tクレーンを装備したレッカー車です。通常のトラックやトレーラーだけでなく、建設現場等で使われる大型クレーン車の引き起こしにも対応可能な仕様とのこと。牽引力だけでなく、PTO(メインエンジンから作業のための動力を取り出す装置)のモニタリングシステムを装備するなど、最新鋭の装備も備えています。こんなボデーを搭載したシャーシも凄くて、スカニアのP500というシャーシです。エンジンは約13,000ccの500PSを誇り、8×4の(日本流に言えば)高床4軸という、日本の公道では殆ど見られないシャーシを採用しています。もう、オーラが普通ではありません。値段は億単位だそうです