介護の業務内容には大きく分けて二種類ある。身体介護と生活援助だ。両者は業務自体は異なるが、仕事の本質は共通している。それは生活するのに困っている人の助けになることだ。
困っている内容は、利用者一人ひとり違う。ただ困っている時に助けるのではなく、長期的な目で見て適切な手を差し伸べることが必要だ。利用者ができるかぎり自立した生活が続けられるよう、配慮したサポートが必要となる。
身体介護では、食事・排せつ・入浴などの介助を行う。とはいえ、生活の身の回りのお世話だけに限らず、失くし物を一緒に探したり、仕事の手を止めて愚痴や昔話を聞くようなこともある。何が起きるかわからない現場であるため、毎日同じ内容の仕事をする訳ではない。
より良い介護を実践するためには、利用者がまたはその家族が、どんな暮らしを望んでいるかを汲み取り、目標に沿った支援ができているかを確認することが大事だ。途中で問題が起きれば再度目標を変えて、利用者の価値観や性格に添ったケアを考え直そう。トライアンドエラーの繰り返しであり、肉体も精神も頭も使う。
そして介護はチームで行うため、どんな介護をしていくかを決め、共有することも求められる。チーム内にはさまざまな考えの人がいるため、取りまとめることに苦労することもあるだろう。
しかし、そんな苦労に対する嫌気が一瞬で報われる瞬間がある。それは利用者にお礼を言われたときだ。直接「ありがとう」を聞ける仕事はそう多くはない。人に感謝され必要とされることは生きがいになるため、また頑張ろうという気持ちになるものだ。
身体介護がメインか生活援助がメインかで、身に付くスキルや利用者との関係性は大きく変わってくる。自分らしいケアをしたいのなら、両者の違いをしっかり把握した上で、働き先を決めるようにしよう。
《関連LINK:介護職の基礎知識「身体介護」と「生活援助」の違い》