こんなロマンチックなのも書けるんだぜってことで、過去の詩。

「雨粒」



君が笑った
少し笑った
少し笑って
あとは黙った

夜がぽつぽつ雨宿り

街がざわざわ夏祭り

まだ僕の前歯には乳歯が残っている
君を想ってた
ロックンロールを忘れてしまうくらいに
君を想ってた

ちょっとだけ吐き気がする


傷がじゅくじゅく生乾き

下駄がコツコツ石畳

まだ僕の前歯には乳歯が残っている
君を想ってた
恋の意味も忘れてしまうくらいに
君を想ってた

ちょっとだけ泣きそうになる


花火は上がらず
哲学もなく
ただここにあるのは
ざわついた体だけ


軒下から言葉ひとつ


もう僕の前歯には乳歯が無かったから
きみは笑っていた
世界平和も忘れてしまうくらいに
ふたり笑ってた

ちょっとだけ狂いそうになる


前を向くと雨は上がり
歩き出した間抜け顔
遠くから祭りばやし
街が少し違って見えた