詩。

『人間になるために』



例えば
誰しもが

両手でやっと抱えられるくらいの
荷物を持っていたとして

その荷物を持ったまま
ひとつも落とさないように
日々を送っていたとして

僕は
目の前で転んだ人の散らばったそれを
自分の荷物にかまけて
見て見ぬ振りなどせず

例え全て拾いきれなかったとしても
少しでも拾おうと
役に立とうと思える

そんな人間になりたいのです


そこでまた
自分の荷物がひとつふたつ落ちたとして
転んで泥だらけになったとしても
「いいよ」
と笑っていられる

そんな人間になりたいのです


でも

心の奥で

心の奥の方で

相手がそんな僕に

ほんの少しだけ気付いてくれれば
ほんの少しだけ笑ってくれればと

思ってしまっている僕が

欲張ってしまっている僕が

ここにいるのです

ここにいるのです