『クマノジカンアオイ』の花を紹介します。
※分布 : 紀州(和歌山県、三重県南部)
※開花期 : 4~5月
10数年前に発見されて以来、地元では、クシモトカンアオイ、コウヤカンアオイの自然交雑種として『クシコウヤカンアオイ』という仮名で流通ていましたが、2011年新種・クマノジカンアオイ(未登録)として"栃の葉書房から出版されている園芸Collection"にて記載しました。
※学名 : Asarum speciosum
※分布 : アラバマ州
※開花期 :4~5月
Asarum Speciosumの日本語での読み方は様々です。
スペシオサム・スペシオーサ・スペシオサ
などなどです。どれも間違いではありません。
わかりやすく説明すると、それは、文献が記載された年代差もあり、当初は、日本でも、Asarumは使われておらず、Hexastylisが属名として使用されていました。その当時の学名(speciosa)からは、スペシオサ、スペシオーサと呼ばれていましたが、それが現在も残っているからですね。
下記の通り学名には、属名、種小名(植物名)の後に記載者・年月があり、Asarumと変わったのはsynonym(異学名)の記載をBarringer(新規・記載者)さんが、1993年にNovon (3) :226頁に記載し直したものだと分かります。
Asarum Speciosum(R.M.Harper)Barringer,Novon (3) : 226(1993)
synonym (異学名)
Hexastylis speciosa R.M. Harper,Torreya
1924.xxiv.80.
(Japanese name)
Kotou-Kan-Aoi
コトウカンアオイ (白玲・白蝶(細辛)・素心花)
*開花期:4~5月
【語源】
majale →majalis→五月に咲くという意味。
湖東→琵琶湖の東側に自生地があることからである。
コトウカンアオイは、以前は藤原岳にて発見されてフジワラカンアオイ(藤原寒葵)とも呼ばれていましたが、現在はコトウカンアオイ(湖東寒葵)として統一されています。
皆さんがよく知っているものでは.亀甲白曙班の銘品「白玲」がありますが、三重県で発見されたためにスズカカンアオイ(鈴鹿寒葵)とよく間違わられますが、これも、コトウカンアオイです。
モエギカンアオイ
萌黄寒葵
Moegi-Kan-Aoi,F.Maekawa, (1936),
The journal of japanese Botany Vol.12,No.1,(p 35),
Syn.Heterotropa vinidiflora(Regel,)F.Maekawa,(1932), in F.Maekawa,(1936),The journal of japanese Botany Vol.12,No.1,(p 35),
※由来
前川文夫氏は、栽培品のヒメカンアオイ(青軸)・アオカンアオイを『The journal of japanese Botany Vol.12,No.1,(p 35),』でモエギカンアオイに変更したとあります。
※アオカンアオイとは?
T.Makino,& K.Nemoto,(1924),Flora of japan(p1050),で葉無紋とあるが、その他は不明である。
☆無紋葉→荒い亀甲になったことに少し疑問に思う事はあるが、故人となった今となっては、この疑問を尋ねることも出来ないですね。
*モエギカンアオイの写真は『ガーデンライフ 1978年2月号』より引用させていただきました。
残念ながら白黒写真なので詳細などはわかりません。