三浦から伊東へ

旅行でも、そんなルートは選ばないですが、高速に乗らずに、下道で移動した事がありました・・・

娘の花ちゃんが、小学生の高学年になった時、オシャレが好きになりました。

親が勝手に選んで買ったものは、余り着なくなり・・・

無駄になると嫌なので、一緒に買いに行く様になりました。

大きめの服にしてくれたら、来年も着れるなぁ～なんて親の願いとは裏腹に・・・

スカート丈は特に拘って、小さめのミニ丈を選ぶ花ちゃん・・・

そして当時、モー娘。が好きで、未だ子ども1人でコンサートには行けない為、親子席でコンサートに行きたい様子でしたが、私はモー娘。のコンサートには行きたくなかったので・・・

お断りしてました。

おこづかいを貯めて、花ちゃんが買った親子席のチケットで、お供はさせて貰いましたが・・・

辻ちゃん、加護ちゃんが着ている、AngelBlueのお洋服が着たくなってしまった花ちゃん・・・

一緒にデパートに見に行きました。

何これ！０が１つ多い・・・

何も買わず、と言うか買えずお店を出て・・・

大切なお話があります。

お母さんは、お誕生日とクリスマスの年に２回しか、AngelBlueは買ってあげられない・・・

そう、花ちゃんに話しました。

悲しそうでした・・・

でも・・・

親の勝手で、これ迄も色んな我慢をさせて来た花ちゃんに・・・

これ以上、1番好きなもの迄我慢させる権利が私にあるのか？

考えてしまいました・・・

お友達も同じくAngelBlueが好きで、学校に着て来る中で・・・

花ちゃんは余り買って貰えない、なんて思われる惨めさを、娘に感じさせていいのだろうか・・・

花ちゃんちはお父さんがいないから買えないんだ、なんて言われたら大変！

言われてないですが・・・

それは、どうしても嫌でした。

どうすればいいのか考えました。

水商売だって、ただ店に出ていては、それなりしか貰えないし、指名だ何だと面倒臭いのは嫌だし・・・

パソコンなんて40過ぎて初めて触ったし、その時は未知の世界。

肉体労働しかない。

私が、求人募集で見た中で、1番お金を稼げる場所に行こう！と決めました。

基本給は28万位だったと思います。

それに売り上げの１割、歩合が付く。これしかないと思いました。

それで、私が1番苦手と感じていた、営業の世界に足を踏み入れました。

面接に行った、その場で握手をして貰い、入社しました。

そこからは、地獄と天国が交差する、私が人生で1番頑張った、と言うか踏ん張った時期が始まります。

名古屋の本社で研修を受け、1日目に朝から夕方迄、ぎっしり頭に詰め込まれた丸1日分の内容のテストを翌朝受けて、90何点だったか取らないと帰らされます。

そこで、もうクビです。

が、帰りの新幹線代は出ません。

寝ないで復習したと思います。

肌の組織の事は知っていたし、何とかなりましたが・・・

2日目は、美容器の実技の試験にも受からなければいけなかった。

研修で、ほとんどはいなくなりました。

残った2人で社長に会い、

幾ら稼ぎたいか聞かれました。

私は、30万貰えばAngelBlueも買えるし、生活にゆとりも持てるし、なんて思っていましたが・・・

30万がほしいなら他でも貰える場所があるし、30万稼ぎたい人間はうちは要らない、と社長に言われました。

つまり、50万、60万稼ぎたくて、しっかり結果を出す人がほしい、と言う事ですね。

そんな厳しい社長も、2日目お手入れ途中にスッピンで会わなければいけない状態になった時は・・・

「キミは、誰だね？」

と笑って言ってくれたのを覚えています。

とにかく厳しい世界でした。

試験に受かっても、1ヶ月続かずほとんどの人が辞めて行って・・・

1年続くのは、本当に100人入ったら1人、の世界でした。

高速の入り口で待機し

アポが入れば30分後には家に着いて、高額な美容器を売りに行く。

もう、訪問販売なんて今は出来なくなりましたが・・・

知らない人を呼ぶ人は結構いました。

初めの2ヶ月位は要領を得ず、目標を達成出来ませんでした・・・

売れなかった報告をすると「今すぐ海に飛び込んで死ね！」と言われました。

別に、飛び込んでも私は泳ぐけど

そんな事を言われたのは、人生初めての事だったので、衝撃でご飯は食べれなくなりました。

9号の制服がブカブカで格好悪くなったので、7号に替えて貰いました。

そうすると、今度は、その容姿で補正下着も売る様に司令が出て！

また名古屋に研修に行きました。

激ヤセした私を見て「あんた、どうした～食べなぁダメ！」的な事を言われ、ステーキやさんに連れてって貰いました。

その時から、ある意味開き直って食べるもの食べて！

そして・・・

(言葉悪いですが)

何クソ！負けるもんか！！

の精神がニョキニョキ伸び！

「お茶！」「誰のお陰でご飯食べられると思ってんの？」

いつか支店長に、そう言ってやるゎ、の気持ちを頑張る力にしていました。

そうでなければ、続けられない世界でした・・・

その研修の時！祖父母宅に強盗が入りました。

後日、新聞にも載りました。

2人は既に80も後半でしたが

祖父が2階の部屋の木刀を持って来て闘い、強盗も若くなかった為、2人は無事でした。

祖母は、お勝手口から、お隣に通報する際に足を怪我して、そのまま足はどんどん悪化してしまいましたが・・・

それでも勿論、研修を優先し、横浜に帰りませんでした。

それは、私が本気でここで為し遂げる意思表明でもありました。

その研修後からは、強かったです。

売る商材も増えましたし。

ちょっと高めに掲げた毎月の目標は、3年ほど在籍した間、落としませんでした。

1度だけ達成出来ない月がありました・・・

その月は最終日、定価で美容器を買いました。

目標達成する為に！

この屈辱、後悔、情けなさ

花ちゃんのAngelBlue何枚買えた？自分への戒め、様々な気持ちが残りましたが、2度と落とさない行動に繋がりました。

今でも、ややそのクセ、数字への拘りは残ってるので・・・

今の会社でも、それを見抜かれて・・・

今の営業チームに呼ばれました。

昔ほど強くはないので、無理のない範囲で、楽しく今はやっていますが。

ある日、午前中に三浦でアポを入れたので、午後は横須賀に2件入れようとしていたら・・・

「○○クン、ここ行って貰えますか」

支店長がお願いしてきたのは、静岡県の伊東は川奈のアポでした。

しかも、高速を使わずに！下道で移動する様に言われました。

ア リ エ ナ イ

とは思いましたが！

夕方のアポで時間はあるし、運転は好きだったので、海を左に眺めながら海岸線をずっと走って行きました。

しかし、遠かったです・・・

5時間位走ったのかな・・・

強行に伊東のアポを入れ、高速を使うな、と言った意味は、その家に行って分かりました！

本社に、強烈なクレームを入れた顧客の、クレーム処理でした。

母娘、2人で玄関で仁王立ち！

初っ端から始まったクレームが止まりません・・・

クレーム処理は日常茶飯事で、収まる方法も経験から心得ていますが、一般的な倍！母娘だから、更にその倍のパワーでした。

先ずは全て受け止め、お詫びはしますが、それでも収まらない時の私のやり方は・・・

怒ってるお客さんより怒るというやり方です。

お客さんに、じゃないです。

怒ってる内容について、です。

それが会社に対してでも、です。

「そんな事はアリエナイ！とんでもない！許されない！」

そして、このワ・タ・シが！

帰って支店長や会社にガツンと言います！

お客さんを上回るパワーで言います。

これで、収まります。

強烈なクレームにたじろぎ、売り上げ０で出て来ると思い、高速に乗るなと言った支店長には・・・

自分で蒔いた種を！自分で刈り取って貰う必要があります！！

その為には、そこから、何を買って貰うか？

笑ってコミュニケーションをとり、世間話をしながら・・・

頭の中はフル回転させて、何が必要？ほしい？

いけそうな商材を決めたら！

欲しがって頂き、そして！

お買い上げ頂きました。

その時は確か、1つ4万位のトルマリンだかゲルマニウムが練り込まれた糸で出来たサポーターを、お腹、足、腕用をお二人それぞれに。

それと、化粧品を少し。

大型商品に比べたら、半分の額ですが、それでも25万位の売り上げにはなっていたと思います。

お買い上げ、ありがとうございました。

車まで一緒に来て見送って頂いた時には、外は真っ暗でした。

その後も、指名して呼んで下さるので、伊東まで行く事にはなりました・・・

家を出た後、必ず売り上げ報告の電話を入れます。

「え！！」

「○○クン！売ったの？ありがとうございました！」

「高速に乗って帰って来て下さい」

驚きと、そして弾んだ声の支店長。

ふざけんな、戻る迄待ってろ！

と心の中で呟き・・・

「今日、高速乗らない様にって、言いませんでした？」

「下で今から戻ります」

何か慌てて言ってたけど

無視！

ガチャ切り！！

何回か架かって来たけど

無視！

そして暫くして、

夜中の12時回った時に電話が来ました。

「○○クン、今どの辺り？」

「今ですか～平塚入ったんじゃないですかね」

終電がなくなるそうで、お先に失礼させて貰います、との事でした。

それから2時間位で、私も家に着きました。

そうやって、その日の内に帰れない事も、たまにありました・・・

でも、その分、売り上げればいいと思っていました。

今なら、サービス残業で問題になっちゃうのかな・・・

問題なんて、山積み過ぎて、言ってられない世界でした。

昔の営業会社、そんなもんでした。

私は私のやり方で売りたくても

「クレームが来ない様な売り方してるからダメなんだ！」

って最初の頃、滅茶苦茶な事を言われました。

半分脅して売ってる人が多かったですし・・・

支店長も1日中、名古屋の本部長から電話で怒鳴られて、おかしくなってたとは思います・・・

私より先に辞めて、岐阜に帰りました。

笑わない新庄？みたいなカッコいい人でした。

次の支店長は、山ピーみたいなイケメンでした。

「○ちゃんは神様やなぁ～」

って調子いい感じでした・・・

私は、そんな昔の営業会社でも、クレームが来る様な売り方は初めからしませんでした。

当時は40手前でしたが、丁度今の私位のお母さん世代のお客様に、いっぱい買って頂きました。

クロージングをしなくても

「それで？買うには何をすればいいの？」

「あなただから買うのょ」

有り難い言葉も頂き、書類を書いて下さいました。

今でも皆さまのお顔が浮かびます。

でも若い人は苦手でした・・・

いきなり体重計に乗せられたり

体脂肪を計られたり・・・

「凄い！スポーツ選手と同じ体脂肪！」

「美容器でお手入れして、下着きてるからですか？」

食べれなくて痩せたとも言えず

「そう」「やらないとダメ」

痩せたいと言いながら迷う人には、肉を掴んで

「これは、どうするの？」

って言って売った事もありました。

でも効果は確かにあるから、幼稚園で他のお母さんに痩せたと言われた！と喜んでくれてました。

全ては花ちゃんにAngelBlueを買う為。

その為には辞める事は頭にないし、歩合を少しでも多く稼ぐだけでした。

多い時は、60万以上振り込まれて！

もう、やりきった感はありました。

花ちゃんのお洋服に対して・・・

私はサティで、1000円でも1万円に見える！お洋服を着こなすのが上手になりました。

そして、最後に花ちゃんの卒業式に、1番ほしいスーツを買ってあげて！

それで、AngelBlueのお買い物は無事終了しました。

バカと思われてもいいんです。

とにかく、やりきった。

私なりの、花ちゃんへの深い思いを伝えられる事が1つ出来たから、それで良かったんです。

中学に入ると、制服を着てカラスさんの様な地味な花ちゃんになりました・・・

高校は、また好きな制服で学校を選び、ややGALになった花ちゃん。

でも、AngelBlueに比べればお安く上がるお洋服でした。

私は、少しゆったりしようと思い、ランジェリーショップの店長を、百貨店でしたりしていました。

が、ある日、花ちゃんが笑顔で

「もう営業はしないの？」

「えぇ〰️！」

「大変なんだょぉ・・・」

「ウフ」

花ちゃんは笑っていました。

花ちゃんは既にバイトもしてるけど、今度は何を求めたのかな・・・

頑張る私の後ろ姿かな

聞かなかったけど、私の２度目の営業が・・・

スタートしたのでした！

また面接で握手して入社

何だか営業会社特有なのか面白い

でも、自分も面接をする様になり分かりました。

営業だから、人を見る目！見抜く目！直感は持っています。

ダイヤの原石は見逃さず、その場で掴まえ離しませんでした。

欲しいと言った金額を手に入れる迄、育てました。

花ちゃんは、お弁当を作ってくれて、嬉しかった。

それは、また機会があったら書かせて頂きます。

花ちゃんは、バイトの時代から無駄なものは買わず、お金を貯めて

「車ほしかったら買っていいょ」

高校生なのに笑顔で言ってくれていました。

花ちゃんが頑張って貯めたお金は、花ちゃんのもの。

子どもが頑張って貯めたバイト代で車買う親いないょ・・・

社会人になってからもコツコツ貯めて、私の老後の為のお金が貯まった！と言ってくれたけどね・・・

それも、花ちゃんのものだょ。

その気持ち貰えて、幸せで元気に生きていける。

そう思っています。

反省だらけの親が、数年でも花ちゃんの為に頑張った時期があった事は、人生で1番良かった事と思っています。

出来る時に、出来る事をする

行ける時に、行きたい所に行く

素晴らしい事なんだなぁと思います。

今日も長くなりましたが、最後まで読んで下さり、ありがとうございました。