あぽまに@らんだむ

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君に似合うのは笑顔だけ(審神者&愛染)

2020年05月24日 | 刀剣乱舞関係

 

 

極の修行から帰還した愛染くんと審神者、東雲千尋(しののめちひろ)のSSです。

千尋に関しては設定を御覧下さい。

読んで下さる方は、下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

<君に似合うのは笑顔だけ>


とある本丸の審神者の執務室。
審神者、東雲千尋は何度かになる溜息を吐いた。
体調が優れない。
薬研に診て貰い漢方薬を処方して貰ったが中々万全とはいかない。
それには精神的な要因があるのは自覚していた。
でも、それは自分の問題。
刀剣男士には言えない問題だった。また一つ溜息を吐いた。
「大将!今日間も無く修行に出ていた愛染が戻るぜ」
現在、近侍になっている厚藤四郎が障子の向こうから声掛けしてくる。
唯一楽しみにしていた愛染国俊の修行からの帰還である。
門まで迎えに行ってやろうと千尋は顔を上げた。
祭り好きでいつも明るい愛染の存在は、千尋の繊細な心に良い影響を与えていた。
その愛染が極となって帰って来るのだ。心強い。
早速千尋は厚に手伝って貰い、身支度をすると愛染を迎えに門へ向かった。


門が開き、黒と緋色の髪と同じ赤い衣装に身を包んだ愛染が立っていた。
「待たせたな!これがオレの新衣装!次の祭りもオレに任せな!」
まるで歌舞伎のようなポーズを決めて愛染が立っていた。
一瞬、見惚れてぽ~っとしていた千尋は、隣の厚に小突かれ我に返る。
「お帰りなさい、愛染くん、一瞬見惚れちゃったよ。似合うよ。新衣装」
「へへっ!主さん本人にすぐ観て貰って嬉しいぜ!出迎えサンキューな!」
「うん、早速第一部隊に合流して出陣して貰っていいかな」
「勿論!強くなったオレの才覚も観てくれよな!」
愛染は同じく出迎えた厚の部隊、第一部隊に所属され早速出陣して行く。
それを千尋は笑顔で見送ると、執務室に戻り、審神者の仕事に戻り再度大きく溜息を吐いた。


出陣から戻った近侍の厚に報告を聴き、次の出陣の指示を出すと今日の執務は終わる。
「大将、ご苦労さん。報告書は明日観て貰えばいいから今日はもう休めよ」
「うん、そうするよ。厚くん有難う。そうさせて貰うよ」
厚が下がると暫くして小さな足音が近付いて来て、障子の向こうに座った。
「主さん。愛染だけど入っていいか。少しだけ、話があるんだ」
愛染だった。千尋が了承すると音も無く障子が開き、愛染が執務室に入って来る。
今日の報告は簡単に厚から聴いているし、修行の事も手紙で良く知っている。
何の用だろうか。千尋は首を傾げた。
大きな執務机を挟んで愛染は腰を下ろした。
「主さん。七月になったら、この前教えて貰った『七夕祭り』っての、やろうぜ」
「え」
「短冊とか、色紙で飾りとか作って、竹切って来て飾ろうぜ」
突如、愛染からの申し出に千尋は子供のようにきょとんとした。
急に反応出来ず、瞬きを繰り返す。
愛染の事だ。帰還後、早速祭りをやりたくて提案しに来たのだろうか。
でも、梅雨の後の季節の祭りだ。気分転換にいいだろう。
悩んでいた事を一瞬忘れ、千尋はしっかり頷いた。
「うん、そうだね。楽しそうだね」
「オレ、そういうチマチマしたの苦手だけど、祭りだし頑張るからさ。
主さんも願い事、短冊に書いて刀剣男士皆で飾って、飯でも食べてお祝いしようぜ」
願い事。こんな未熟な審神者でも願っていいのだろうか。でも千尋は大きく頷いた。
「うん、書くよ。飾りも皆で作ると楽しいよ、きっと。有難う、愛染くん」
愛染からの七夕祭りの提案は正直驚いたが、千尋は嬉しく思った。
祭りなんて考えている余裕は無かった。
はしゃぐ刀剣男士達の姿を想い浮かべて知らず知らず笑顔が零れる。
「あぁ、やっと笑った。主さんは笑顔が一番だな」
「えっ・・・」
「主さん、何か悩んで沈んでただろう。戻った時すぐ分かった。だから気になってたんだ」
そんなに自分は顔に出易いんだろうか。千尋は羞恥に顔を真っ赤に染める。
「そんなに僕、分かり易いかな」
「あぁ。でも、そんな悩み、オレが吹き飛ばしてやるぜ!だからオレに任せな!」
「うん。そうだね。七夕祭りの全権を愛染くんに任せちゃおうかな」
「おう!派手にキメてやるぜ!」
「ふふ」
千尋は愛染と話していると、何で自分は詰まらない事で悩んでいたんだろうと思った。
こんなに心配してくれる刀剣男士達が沢山いる。
極になって一目で自分の状況を把握してくれる刀剣男士がいる。
有難い事だった。何故そんな簡単な事に気付か無かったのだろう。
「有難う。愛染くん」
「あぁ!もう!そんな笑顔ばっかだとオレの心臓に悪いからあんま見せないでくれよ!」
「え?」
「そういう無防備な顔も禁止!もう主さん。オレ、今顕現してるんだから心臓保たない!」
「愛染くん、心臓病気なの!?」
「だから、そういうのと違くて!」
愛染は手をぶんぶん振って近付いて来た千尋から後退る。
障子の向こうでは、お茶を持って来た厚と心配していた第一部隊の四振りが声を殺して笑っていた。


<了>

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愛染くんの小さいのに男前なトコ好きです。
厚の心配性なトコも好きです。あ~も~皆好き!

 

 

 

 


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