生涯学習論:徳江薫明

合理的に組み立てられた教育システムに乗って学ぶだけでは、物足りない。

成人教育における芸術~徳江薫明

2022年03月01日 | 生涯学習

感性の喪失が問題に

多くの国で感性の喪失が問題になっています。従来の伝統的な教室でのアプローチを変えていかなければなりません。

成人教育で送る第二の人生

オーストラリアの多くの教育機関では、成人教育の拡充に力を入れています。大学の学生の9%、技術系の大学生の15%を40歳以上の成人が占めています。ほかに夜間コースや、週末コース、地域社会、民間での成人教育機関もあり、きめ細かい一人ひとりのニーズに対応したコースを設けています。成人教育を通してさまざまな人に出会います。お互いに支援をしあい、お互いに師となりあうということが成人教育では可能です。

私の友人で「うたかたの恋」というフランス映画を見て、ハプスブルグ王朝に関心を持って研究を続け、定年後は大学で西洋史を教えるようになった人がいます。何かに触発されてそれを徹底的に勉強したくなり、非常に充実した第二の人生を送る、これは非常にいい例だと思います。

芸術品に接して感性を磨く

感性ということで話をすると、毎年ミュンヘンの見本市に行きますが、現地の人が身近に音楽や絵などの芸術を楽しんでいます。

一流の芸術品に接することは、いわゆる感性を磨くことになるのではないでしょうか。これは街で言えば、都市景観の問題にもなりますし、看板の色、商品のレイアウトなどすべてに響き、いろいろなものに生かされ、知識の領域が広くなってきます。

芸術へ指針を

これまでの工業を中心とする社会は企業の価値が中心で、生涯学習化社会への移行を図ろうとしている今、何らかの指針が必要です。新しい社会の中で、どこへ指針を求めることができるのか。それは例えば作家、詩人、芸術家が指針への大きな源になると思います。


徳江薫明