日本どころか韓国も他人事ではない。
エネルギーをロシアに依存しているのはどこも同じだといっても、オーストラリアからも天然ガスを輸入している。
日本もサハリン2の事業から追放され、石油天然ガスも供給されなくなり生産活動がジリ貧ではない。
ウクライナの都市に対して報復攻撃を続けるロシア軍。
戦闘が終わりを見せないなか、ヨーロッパではロシアからのエネルギー供給が大幅に減少したことなどが原因で、家庭の光熱費が高騰しています。
ヨーロッパの中でも、特に厳しい状況に追い込まれているのが、イギリスです。
「めざまし8」はイギリス在住の日本人を緊急取材しました。
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「節約のしようがない」家の中でコートも…
「全部すべてのものが高騰したので、節約のしようがない」
「めざまし8」の取材にそう答えてくれたのは、会社員をしながらイギリスでの生活や料理の動画を投稿している、オズボーン未奈子さん。
1カ月あたりの電気・ガス料金は192ポンド、日本円にして、約3万1000円。東京電力の今月の平均モデル価格と比較すると、約3倍の値段です。
家族3人で生活する中で、少しでも節約をと調理の際には大きなオーブンは使わず、小さなオーブントースターで何でも焼くようにしているといいます。
さらに、家全体を暖める、セントラルヒーティングのスイッチを切り、暖房を“我慢する”生活をしているといいます。
イギリス在住 オズボーン未奈子さん:
どんなに寒くてもすごいお金がかかってしまうので、一人の時には絶対にヒーターを使わないって決めてます。寒いんですけど、家の中でコートとか着て。
仕事場も、気温が低い1階から、日の当たる2階へ移動させました。
“ヒーティングorイーティング”選択を迫られる人々
日々涙ぐましい節約を行っている家は他にも…。
バーミンガムに住む日本人の美穂さんと、イギリス人の夫・スチュワートさん。
値上げされる前の2022年1月の1カ月分の光熱費は日本円で、約3万8000円(235ポンド)。
しかし、4月以降の値上げにより、現在は1カ月約6万8000円(420ポンド)。差額は約3万円に達しています。
エアコンや部屋の電気もこまめに切るようにし、節電を心がけていますが、値上げ前と同じ量の電気とガスを使用していたら、倍以上(540ポンド/約8万8000円)はかかっていただろうといいます。
光熱費の高騰がこのまま続けば、イギリス社会全体に大きな影響が出るのではないかと不安を募らせる美穂さん。
イギリス在住 美穂さん:
イギリスも貧富の差が結構激しくなっていて、「ヒーティングorイーティング」って言われてるんですけども、ヒーターを付けるか、食べるかどちらかを選ばなければいけない家庭もたくさんあって。その人たちが困ることによって起こる「社会の不安定さ」がすごく心配だと。
光熱費が年間100万越え?“計画停電”の可能性も
イギリスの一般家庭に大きな影響を与えている光熱費の高騰。
ロンドンの日本食レストランも、料理の値段を全体的にあげざるを得ませんでした。
店が今、最も心配しているのは、“計画停電”です。
イギリス大手電力会社は、この冬、企業や家庭に対し「1日3時間の計画停電をせざるをえない」可能性があると発表。
日本食レストランは、魚などの食材を冷凍庫に保管しているため、停電になってしまうと高価なマグロなどの食材が全滅してしまうのではないかと不安を募らせます。
ロンドン在住の国際ジャーナリスト木村正人 氏は、今後も年間にかかる光熱費がさらに急上昇する予測が出ているといいます。
国際ジャーナリスト 木村正人氏:
4月には32万円になると。それで、10月にね。57万円になってですね。
これ来年4月には「110万円近くになる」っていう予測が出ていたんですね。
こうした生活の圧迫が政治情勢にも影響を及ぼすと指摘します。
国際ジャーナリスト 木村正人氏:
生活の危機っていうか、寒さが身に染みてきて。そういう不満とか怒りっていうのは政権にね、向けられていくと思います。
欧州政治の転換点になるような政治的な出来事がこれから次から、次へと起きていく可能性は、否定できないと思います。
一方、日本も、ロシアのウクライナ侵攻を受け、電気料金の高騰が続き、来年の春以降も大幅に値上げされることが見込まれています。
岸田首相は12日、電気料金の負担軽減策をめぐって大手電力会社のトップと協議、国民に直接的に支援する考えを明らかにしました。
しかし、専門家は危機感を口にします。
ニッセイ基礎研究所 伊藤さゆり氏:
ヨーロッパの脱ロシアの天然ガスの流れがこれから先も続くということを考えると、エネルギー価格の上昇圧力というのが日本にも持続的に及んでいくということが予想されると思います。
(めざまし8 10月13日放送)
脱ロシアこそが、世界にとっていい物である。