裏庭で行者が行水してる。
親は子どもに、
裏には行くなと言って聞かせる。
子供は表で九九を詠む。
いろはにほへとちりぬるを。
八十八を唱える前に、
鳩が割り込み時刻を告げた。
子供が帰ったその後も、
行者は未だ行水してる。
修行はよいよ佳境に入る。
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裏庭で行者が行水してる。
親は子どもに、
裏には行くなと言って聞かせる。
子供は表で九九を詠む。
いろはにほへとちりぬるを。
八十八を唱える前に、
鳩が割り込み時刻を告げた。
子供が帰ったその後も、
行者は未だ行水してる。
修行はよいよ佳境に入る。
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同じ間取りが続く長屋で育ったので、お風呂はありませんでした。
夏でも毎日、銭湯に通うお金など無かったみたいで、小ぜまい裏庭のタライで行水しました。
母も出勤前に行水をして夜の街に働きに出ていました。
隣のおばさんも出勤前の行水をしていました。
母親からは、裏には行くなと言われていました。
でも、おばさんの行水を覗き見したくて、母の出勤が早い日は、そっと裏庭に出ていました。
10月に入ってから長雨が続いています。
今朝も薄寒く、行者が無心で行水していた季節が懐かしく思えます。
むかしは家にお風呂も無く、みんな外に、
身体や髪を洗いに出てました。
わたしは幼くても、湯上がりのお姉さん達の洗い髪や湯の香に憧れていました。
それはやはり気高く一瞬見ては慕情が込み上げ、目を逸らしてしまうものでした。
わたしの家は肥後の山里で、五右衛門風呂が有りましたが、お風呂はいつもとても熱かったのを覚えてます♨️∑(゚Д゚)
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