今年の私の企画公演の中でもマスト!な公演のお知らせでございます。
浪曲はこんなに倍音が重要なファクターなのに、これまでその重要性を前面に押し出して浪曲論を展開している人はそんなにいないように思われます。
倍音に慣れ親しんだ私で無ければ出来ない企画、「和の倍音」をテーマに、何かやろうとずっと思っておりました。
場所はやっぱり浪曲の殿堂たる浅草木馬亭で!というわけで、
ちょいと季節外れですが、いろんな指向性を持つ人達が集まるお祭りの意味も込めて、「第一回浅草倍音フェス!~浪曲・新内・琵琶・ホーメイの響演~」としました。
そも倍音って何ぞや?!というあなたも!
カレーは素手で食べてます!という方にも!
アナログシンセのツマミをこねくり回してしまうキミも!
浪曲の殿堂たる浅草木馬亭にて響鳴しあう「和の倍音」にシビレロ~!!!
皆さまのご来場を心よりお待ち申し上げます。
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「第一回浅草倍音フェス!~浪曲・新内・琵琶・ホーメイの響演~」
11月23日(祝)
場所:浅草木馬亭
開場:12時半 開演:13時
木戸銭:前売り3000円 当日3500円
出演
浪曲 東家孝太郎(曲師:水乃金魚)
新内節 柳家小春
薩摩琵琶 琵琶デュオ(後藤幸浩&水島結子)
ホーメイ 神響王(カムヒビKING) (東家孝太郎&青山雅明)
予約:090-3888-3226(孝太郎)
azumayakoutarou☆gmail.com(☆を@に変換してください)
出演者プロフィール
東家孝太郎プロフィール
関西インディーズシーンにてバンド活動を経た後、トゥバ共和国のホーメイや南インドの口琴に出会い倍音楽家に転向。国内外のホーメイコンテストに於いて入賞する他、倍音s、alayavijana、suarasana、口琴オーケストラなどのバンド活動、フジロックやAPバンクなどビッグフェスへの出演、全国ツアー、異ジャンルとのコラボレーションなど多岐にわたる活動を経た後、日本の浪曲にハマり、2011年二代目東家浦太郎に入門。2015年、年季明け。お家芸の伝統的ネタからホーメイや口琴入りのネタなども有り。声に拘る浪曲師目指して奮闘中。http://blog.goo.ne.jp/azumayakoutarou
柳家小春プロフィール
1991年、名人といわれた寄席音曲師、粋曲の柳家紫朝に弟子入り。江戸音曲の数々(端唄俗曲、新内)を習得し、寄席出演を経て、現在は枠に留まらずライブスペースでの演奏活動など活動の幅を広げ、師匠譲りの粋な芸を伝承する一方で、さまざまなジャンルのアーティストと共演を重ねる。2010年CD『小春』をリリース、2013年テニスコーツとのコラボレーションアルバム『新内明烏』、2013年よりレゲエと端唄のボーダーレス最新型ユニット"attc vs Koharu"として活動、2014年7インチアナログ盤を発売。
http://koharuya.exblog.jp/
琵琶デュオプロフィール
中世から続く4弦4柱の薩摩琵琶を操る後藤幸浩と昭和の改良5弦5柱の琵琶を弾きまくる水島結子によるベテラン×若手女子の琵琶デュオ。琵琶の「ビヨーン」という独特の「さわり」と呼ばれる倍音成分を伸ばして響かせるこの音をこよなく愛し、魂削る。古典のテクニックを駆使し、日本の他の芸能も取り入れた異色・異端な現代の琵琶法師。
後藤幸浩
熊本生まれ。薩摩琵琶演奏家・正伝薩摩琵琶普門院流師範。正伝薩摩琵琶(戦国~江戸時代からの伝統を引き継いでいる、オリジナルの薩摩琵琶)最後の名人と言われた故・普門義則に師事。2008年、小濵明人(尺八)とのデュオでニューヨーク、ロサンゼルス公演に参加し、好評を得る。『田舎人のうた』他6枚のCDを製作。学習院大学・和光大学非常勤講師。専修大学三曲研究会にて指導。弦城会主宰。http://www.biwahosi.com/
水島結子
東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒。鶴田流琵琶を鶴田錦史の一番弟子である田中之雄に師事。2006年大韓民国ソウル大学国楽科に、学部生では初の日本人交換留学生として留学。チャンゴ、プク等の打楽器を専攻し、帰国後もパンソリ、韓国南道民謡、伽耶琴等を学ぶ。2011年文科省科学研究費助成事業にて「近代琵琶楽の成立と展開」の基盤研究を補佐し、「第二次大戦期の琵琶歌のレパートリー」という論文を発表。研究と演奏を両立する数少ない若手演奏家。学習院大学非常勤講師。専修大学三曲研究会にて指導。http://www.biwa-mizushimayuiko.com
神響王(カムヒビKING)プロフィール
2008年結成。東家孝太郎と青山雅明によるホーメイ弾き語りデュオ。中央アジアはトゥバ協和国に伝わる倍音唱法「ホーメイ」と一風変わった日本語詩によるオリジナル楽曲を歌う。俗に一人二重歌唱法とも呼ばれるホーメイは、同時に二つないし三つの倍音を同時に発声する。このホーメイの二人の和声によって倍音曼荼羅とでもいうべき倍音の多重コーラスによる響きを醸し出す。伴奏のオープンチューニングギターも倍音の響きを効果的に生む為、独自の調律を用いている。基本POP正味ROCK。オルタナ経由、プログレ嗜好。インドで修行してトゥバでは羊を食らう。ビジュアルは倍音武士。唄は倍音節。
青山雅明
チラシ裏面より↓
東家孝太郎よりご挨拶
倍音とは個々の音色を決定付ける音の成分です。世界には倍音の響きに特徴のある楽器や歌唱法が沢山あります。
声帯を緊張させ低い喉声と高い倍音を分離させ幽玄かつ根源的な響きを放つ、トゥバ共和国のホーメイをはじめとする倍音唱法。ユーラシア全般に見られる倍音楽器「口琴」は各民族の生活に密着したツールでもあります。オーストラリア原住民アボリジニの吹く木管楽器「ディジュリドゥ」は超低音の倍音が大地と共鳴します。世界を見渡せば倍音の響きを持った音楽に満ち満ちています。
浪曲入門前にどっぷり民族音楽に浸かっていた私が日本の浪曲を聴いて驚いたのは、世界の倍音楽に勝るとも劣らない倍音の出方にありました。俗に寂声(サビ声、錆声)、胴声とも呼ばれるホーメイにも似た倍音成分たっぷりの浪曲師の声。「さわり」のついた三味線の音色は如何に倍音を強調して音を出そうかと創意工夫が凝らされたものに他なりません。そしてその倍音の効果は全てその演題の情感を、人情の機微を、どこまでもリアルに表現することへと注がれているのです。
倍音はその名の通り、周波数が整数倍で鳴っています。どんどんとその周波数が上がっていけば可聴域を超え、それは私達のイメージの世界、想像力や無意識とも繋がっている世界へと誘ってくれるツールであるともいえます。
古来より倍音の力は祈り(=意乗り)と共にありました。話芸、語り芸の中の倍音を聴けば聴くほどに、古の人々が倍音をシャーマニックに使用していたその名残としての芸能である、との想いが押し寄せてきます。倍音無くして邦楽は語れない、との想いから今回浪曲の聖地木馬亭にて「浅草倍音フェス」と銘打ち、開催致します。新内節の小春師、琵琶デュオをお招きし、ホーメイデュオ「神響王」も木馬亭初出演です。話芸好きにも倍音好きにも新たな発見があるような、共に響き合える御祭りにしたいと思っております。皆様のご来場を心よりお待ち致しております。
チラシ裏面(クリックにて拡大)↓