音楽レビューを。
今回はBLUES界でも、その独特のスタイルで知られる今は亡きJohn Lee Hookerです。
ご存知の方もいるかと思いますが、彼のスタイルは<ワン&オンリー>、継承者はいないですね。1コードで突進するブギ、唸り声を上げるようなヴォーカルにギターをを掻き鳴らし、足を踏みならすストンピングで痛快なアップ・テンポ・ブギとドロドロ・スロー・ブルースで、まさに<KING OF BOOGIE>とは彼のことです。
1917年ミシシッピ州クラークスデイル生まれ。2001年6月21日老衰で83歳で他界。
彼のアルバムではやっぱり、一人演奏の物がいいとは思います。『THE GREAT John Lee Hooker』がベストだと思います。
しかし、今回はあえて趣向の違うアルバムを紹介します。
それは『Burnin'』です。1962年VEE JAYレコード時代の大ヒット曲『Boom Boom』をフィーチャーしたアルバムです。このアルバム最大の特徴といえば、バックバンドを従えた全演奏曲で豪華な1枚だということ。しかも、、このバックバンドが重要です!ジョンといえばデトロイトでの活動です。そして、デトロイトといえばデトロイトサウンド、つまりMOTOWN SOUNDですよね!そのモータウンサウンドの屋台骨はあの、<THE FUNK BROTHERS>です!このアルバム収録曲のセッションではそのファンクスがバックを勤めているのです。しかし、当時のアルバムにはバンドメンバーのクレジットが無いのです。テナーサックスのHANK COSBYのみが記されていたようです。酷いですよね。しかし、後の彼らの証言などで今ははっきりしてるようです。ファンクスについては映画『standing in the shadows of MOTOWN』とそのサントラを観て聴いて頂けるとよ~く分かります。泣けますよ。
このバンドメンバーはやっと日の目を見ました。ただし、もう一人のギターが誰なのか・・・
- John Lee Hooker:vocais&guitar
- Hank Cosby:tenor sax
- James Jamerson:bass
- Richard"Pistol"Allen:drums
- Eddie "Bongo"Brown : congas
- Joe Hunter : Keyboards
凄いです、このメンツは。それで、サウンドのほうですが、ジョンの暗くドロッとした重いサウンドが軽快でモダンなサウンドに変化してます。モータウンサウンドでシャッフルするピストルのドラムとジェマーソンのワンフィンガー・フックの心揺さぶるベースラインが主体となり、サックス、ピアノ、パーカッションがさり気なく絡んできて、とてもノリノリのサウンドになってます。だからと言って、ジョンらしさがなくなってるのかというと、そういうわけでもなく、やはりジョンには声そのものに重みがあるので、⑤blues before sunrise ⑦I got a letter ⑨drug store woman では、スローでねっとりした感じ迫ってきます。
あとは、けっこうノリのいい曲が揃ってます。①Boom Boom ⑥Let's make it ⑧Thelma ⑩Keep your hands to yourselfあたりは、いいですよ。とくに10は彼には珍しいラテンタッチです。①はロック、ブルースファンならお馴染みの曲ですね。!
けっこう聞き出したら癖になるアルバムで最近のお気に入りです。
マディやウルフとはまた違った、ジョン自身の彼流で燃えているアルバムです!『Burnin'』はデトロイトにいたからこそ出せたサウンドで、シカゴではあり得なかった音ですね。バックにファンクスがいたというのも奇蹟の一枚です。大事にしたいですね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます