長期優良住宅は10年来の法改正の集大成
2009年は住宅づくりに関わる法律が相次いで施行されています。
今年4月1日に施行された改正省エネ法の大きな狙いの1つだ。家全体の省エネ化に与える影響が小さな箇所については規定を緩和。断熱材が一部省略できるようになるなど、施工が簡易になった。また内容を純粋な省エネに絞ったため、気密化の規定が外れた。
●改正のポイント 断熱材の施工や開口部仕様の基準を簡素化した。
-
気密性能に関する項目を削除
-
はね出し床について、床面積の5%までは従来の「外気に接する床」から「その他の床」扱いにできるようになった。断熱材の厚さを減らし、他の床に合わせられる。
-
玄関や勝手口の土間床で、断熱材の施工を省略できる。
-
浴室下の土間床で、断熱材の施工を省略できる。ただし、断熱構造を持つ浴室(ユニットバス)の場合に限る。
-
浴室やトイレの小窓など床面積の2%までの窓は、複層ガラスや二重サッシなどにしなくてよい。
-
浴室やトイレの小窓など床面積の4%までの窓は、一定値以下の日射侵入率のガラスを用いるといった日射遮へい措置の対象外になる。
長期優良住宅法
長期優良住宅法が今年6月4日に施工された。建設費の増加や認定基準への対応など、戸惑う住宅会社も少なくないが、「お墨付き」を受けることで建て主の信頼性は高まる。地域の住宅会社が大手ハウスメーカーと同じ土俵で勝負できる制度ともいえる。普及促進のため、国も減税や助成などの優遇策を打ち出している。
●長期優良住宅の7つの認定基準
-
環境 地区計画や景観計画、条例によって建築協定や景観協定などがある場合には、これらの内容と調和した住宅にする。
-
面積 1階の床面積を40㎡以上、延べ床面積は75㎡以上。都市部など地域の事情によって引き下げ可能だが、下限は55㎡。
-
維持保全 構造耐力面での主要部、雨水の侵入を防止する部分、給排水設備は点検の時期と内容を定める。少なくとも10年ごとに点検を実施。
-
省エネ 断熱性能などを高めて、省エネ法で規定されている次世代省エネルギー基準に相当する性能を確保する。
-
耐震性 建築基準法で規定されている壁量の1.25倍を確保する。免震建築物であること。
-
耐久性 構造躯体が、少なくとも100年程度使用できるようにする。点検のため床下空間を330㎜以上にするほか、小屋裏にも点検口を設置。
-
維持管理 構造躯体に比べ耐用年数が短い内装や設備は容易に補修できるようにする。構造躯体に配管などを埋め込まないこと。
主要構造部と雨漏りを対象にした住宅瑕疵担保履行法が今年10月1にちの施行される。不具合が発生した場合に確実に補修ができるよう、住宅会社には保険や保証金の供託が義務付けられる。保険には着工前に加入し、2回の中間検査がある。施行日以降に引き渡す新築住宅が対象なので、加入時には注意が必要だ。
瑕疵担保責任の対象部分
構造耐力上主要な部分
-
基礎、杭、小屋組み、土台、筋交い、火打ち、などの斜め材
-
床版、屋根材、梁や桁などの横架材
-
住宅の自重、積載荷重、積雪、風圧、地震による衝撃を支える部分
雨水の侵入を防止する部分
-
屋根、外壁、開口部
-
雨水排水管のうち、住宅の外壁の内部と室内にある部分