以前に応募して見事に落っこちた(*´∀`*)脚本(のようなもの?かも)でーす。一次予選にも引っかからなかった。(´д`*)
(´▽`*)アハハ '`,、('∀`) '`,、
この応募
TV朝日脚本
http://www.tv-asahi.co.jp/21shinjin/
ここで見つけた。
シナリオナビ
http://scenarionavi.blog81.fc2.com/
ほんとはこっちに最初応募しようと思ったんだけどラジオだと説明とかト書きの部分が難しいなと思ってテレビにしてみたんだけどね。箸にも棒にも引っかからなかったね。'`,、('∀`) '`,、
平成24年度(第28回)NHK名古屋放送局 創作ラジオドラマ脚本募集
http://www.nhk.or.jp/nagoya/station_info/news_20120404_01_detail/index.html
私が書いて応募したもの(後から少し手直ししました。)ここに大公開。
暇と字を読む気力のある方は読んでみてちょ。
1位を取った方はドラマ化されるそうなので見てみたいと思います。
自分の頭の中では映像が展開してるんですが、それを字だけで表現するって難しいね。
自分でいきなり映像を撮った方が早い気がするわ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
本編
沙織「ボンジュール!パリ。私の第二の人生の始まりね。セーヌ河からの風が心地良いわ。」
初めてのパリ。風を身体いっぱいに感じながら思い切り深呼吸した。
流れるBGM パリの空の下
舞「ママ~ もう~また何か妄想してるんでしょー。お腹空いたから何か食べに行こうよ。」
沙織「はあー。(ため息)舞・・・。あなたはね、ママが今パリに浸ってるのがわからないの?もうー雰囲気ぶち壊しよ。あーあ。ん?でもそう言えばお腹空いてきたわね。ご飯食べに行きましょうか。」
舞「そうそう、早く行こう。何が良い?」
沙織「そうね、何が良いかな。」
舞「ご飯の後にお洒落なカフェも行きたーい。」
沙織「はいはい、分かったから。」
沙織「蚤の市ってほんとに色んな物があるのね~。このアクセサリー素敵。」
舞「あ、ママ、これはどう?」
沙織「あら、舞、また箱?今度は何を入れるのよ。」
舞「うーん、箱って言わないで、ケースでしょ。バッグみたいな物よ。小物を入れたいの。」
沙織「また?一体、いくつ買えば気が済むの?」
舞「だって、丁度良いのがなかなか無いんだもの。」
沙織「買った時のケースがあれば良いでしょ。マトリョーシカじゃないんだから。」
舞「はいはい。」
沙織「わあ!奇麗なランプね。ステンドグラスみたい。」
舞「ほんとだ。ママ、これ凄くきれい。」
蚤の市の女主人「奥さん、綺麗でしょう。めったにない掘り出し物だよ。今日、初めてこの蚤の市に出したんだ。」
沙織「そうなの?綺麗ね~すっごくキラキラしてる。色もカラフルね~。」
舞「ママ、気に入った?」
沙織「うん、すっごく気に入った。」
女主人「奥さん、それなら買いだね。お安くしとくよ。500ユーロでどう?」
沙織「え?500ユーロ?うーん。もう少し安くならない?400でどう?」
女主人「だめだめ、400なんて。」
舞「ママー恥ずかしいからやめてよ。」
沙織「そこをなんとか」
急に後から男の声が
キムテファン「480でどう?」
女主人「!?」
舞「?」
沙織「??」
女主人「あー480なら良いよ。どこのお兄さんか知らないがお目が高いね。」
テファン「じゃあ、決まりだね。」
沙織「ちょっと待って、なんなの?急に横から割り込んで来て。今、私が交渉してたのよ。」
テファン「急に割り込んでって、人聞きの悪いこと言わないでくれるかなあ。売り手も買い手も値段に納得したんだから、もう交渉は成立したんですよ。オバサン。」
沙織「おば?おばさんてねーあのね。私はまだ・・・って私の年齢はどうでもいいのよ。私が480で買うわよ。」
テファン「え?400じゃなきゃ買わないんじゃなかったの?」
沙織「そんなことないわよ。大体私の方が先に見つけたのよ。」
テファン「先に見つけたって言われても・・・僕も後からずっと見てましたよ。オバサンが400じゃなきゃ買わないって言ってる時に僕が480で買うって言って店主が480で良いって言ったんだから僕のものじゃないのかな。」
沙織「だから、先に見つけた私が最終的に480で買うって宣言したから私のものよ。」
女主人「あのー結局どちらのお客さんが買ってくれるんですかね?480なら私はどちらのお客さんでも良いんですけどね。」
二人同時に
沙織「私が買います!」
テファン「僕が買います!」
のどかな蚤の市に二人の声が響き渡り、周りもどうしたのかと見始める。
女主人「じゃんけんでもなんでもして早く決めてくださいよ。」
舞「ママ~恥ずかしいから、もういいでしょ~」
テファン「じゃんけんで決めますか?」
沙織「そうね、受けて立つわよ。どうせ私が勝つと思うけどね。」
テファン「すごい自信ですね。」
沙織「当たり前でしょ。行くわよ。」
テファン「ちょっと待ってくださいよ。半額ずつ出して、期間を決めて共同で所有するっていうのはいかがでしょうか?」
沙織「共同購入?男のくせに往生際が悪いわね、早くじゃんけんで決めましょうよ。」
舞「ママ~、恥ずかしいから共同購入にしようよ~」
テファン「じゃあ、じゃんけんしましょうか、気の強いオバサンだ。」
沙織「さあ、行くわよ、じゃんけん、ぽん!」
沙織の勝ち
沙織「や、やったあ!ほらやっぱり私の勝ちでしょ」
舞「ママやっぱりすごい。思い込みの勝利ね。」
テファン「僕の完敗ですね。譲りますよ。」
沙織「ふん、最初に見つけた者勝ちね。はい、78フラン。」
女主人「はい、ありがとうございます。またよろしくお願い致しますよ。」
カフェで
沙織「綺麗だわ~(ため息)」
舞「そうね、でもどうするの、いきなりこんなに現金使っちゃって(ため息)」
沙織「あーそうなのよねー(ため息)」
舞「これからの支払いはパパのクレジットカードにする?」
沙織「パパって言わないで。パリにいるときくらい。」
テファン「だから共同購入にしましょうって言ったじゃないですか。」
沙織「ちょっと、またあなた?後を尾けて来たの?」
テファン「やだなあ、人聞きの悪いことを言わないでくださいよ。たまたま入ったカフェが同じだっただけですよ。」
舞「わあ、またイケメンのお兄さんに会えた。」
沙織「何がイケメンのお兄さんよ。女だけじゃないですから、後から主人も合流するのよ。」
テファン「何も言ってないじゃないですか、たまたまですよ。どうです?今からでも共同購入に変更しますか?」
沙織「結構です。舞、行くわよ。」
そそくさとカフェを後にする沙織と舞。
舞「お兄さん、またねー」
沙織「しいー何言ってるの。」
手を振り合うテファンと舞。
パリの街角 子犬が捨てられている。
舞「可愛い~ママ、連れて帰ろう」
沙織「何言ってるの。ホテルじゃ飼えないでしょ。」
舞「こっそり飼えば大丈夫だよ。」
沙織「ママ、知らないわよ。勝手になさい。」
舞「やっぱり箱が役に立ったね。」
ホテルのフロント
舞「静かにするのよ。」
沙織「どうするのかしらね。」
クラーク「おかえりなさいませ。日本からメッセージをお預かりしています。」
舞「きっとパパからだ。」
沙織「舞が聞いておいて」
舞「ママったら、いい加減に機嫌直してよ。パパは仕事で忙しいだけなんだから。」
沙織「ほんとにそうかしらね。もう知らない。今度こそ別れるんだから。」
舞「ママってば」
二人が入る部屋を見てるテファン、部屋番号をチェックしている。
フロント「いらっしゃいませ」
テファン「部屋番号は指定できますか?」
フロント「空いていればご宿泊は可能です。」
テファン「そうですか。では302をお願いします。」
フロント「その部屋でしたら大丈夫でございます。」
テファン「メルシー」
ホテルの部屋
子犬「クウーン」
舞「しいー静かにね。」
沙織「どうするの?ばれたら泊まれなくなっちゃうわよ。」
舞「大丈夫、この子おとなしいから。」
沙織「部屋の中を汚さないようにね。」
舞「わかってるって、ママってどこに行っても言う事が同じ。」
沙織「それはあなたがきちんとしないからでしょう。」
舞「そうかな、ママだって片付けるの上手とは言えないと思うけどね。」
沙織「ほんとに口の減らない子ね。憎たらしい、誰に似たのかしら。」
舞「残念なお知らせです。それはママに似たのでーす。」
沙織「もおおおーー。」
子犬「くうん」
舞「この子、何て名前にしようか。」
沙織「舞が拾ったんだからあなたが付けなさい。」
舞「うーん、ミクで良いかな。」
沙織「なんでも良いわよ。」
舞「ミク、ミク可愛いなあ。」
沙織「それにしてもすごいキラキラした光」
舞「ねえ、ママ、この濃い色のガラスの中に何かもっとキラキラしたものが入ってるみたいだよ。もしかしてダイヤかな?」
沙織「何言ってんのよ。そんなことあるわけないでしょ。ダイヤなんて。もしダイヤだとしてもそんな所に埋め込める小さいダイヤなんてクズダイヤでしょ。あまり価値なんて無いんじゃないの?価値があるのは大きいのよ。」
舞「小さくても質が良いのかもよ。ダイヤなら良いなあ。」
沙織「琉球みたいにひび割れたガラスを中に埋め込んでるんじゃないのかしら。」
舞「そうかなあ、ママ老眼が始まって近くが見えないんじゃないの?」
沙織「ろ、老眼てね。ママはまだ40代になったばかりよ。アラフォーよアラフォー。フォオ!この前なんて後ろ姿で女子大生って言われたんだから。」
舞「はいはい、後ろ姿ね。」
沙織「い・ち・い・ち、う・る・さ・い・わよ。お嬢ちゃん。子供は休み中の宿題でもして早く寝なさいね。」
舞「はあい、子供子供って私もう16歳だから結婚だってできるのよ。」
沙織「あ、そう。結婚だけが女の幸せじゃないのよ。」
舞「ママはほとんど働かなくても、結構楽に暮らしてこられて、今回の旅行だっていきなりランプにあんなにお金遣ってこれからの滞在中の支払いどうするの?パパのクレジットカードに頼る?」
沙織「ノーコメントです。」
舞「パパと結婚して幸せじゃなかった?」
沙織 窓を開けてベランダに出る。星を見上げる。
沙織「もう寝なさい。」
次の日の朝 ホテルのレストラン
コーヒーを飲んでいるテファン
テファン「ボンジュール、マドモアゼル」
びっくりしてる沙織と舞
沙織「またあなた?」
舞「わあ、またお兄さんと会えた。ここに泊まっているの?偶然だね。」
沙織「舞、話しかけちゃダメよ。ストーカーかも。」
テファン「だから人聞きの悪いこと言わないでいただきたいですね。僕はもう朝食は済ませたので、退散しますよ。サリュ」
パリの観光地 BGM 「あなたのとりこ」
あるカフェ
ダニエルが外のテーブルを片付けている。
ミシェル「ボンジュール、ダニエル。」
ダニエル「やあ、ミシェル。あれ?アメリカに行ったんじゃなかったの?」
ミシェル「ん?ちょっとね。すこしだけ出発を遅らせたの。」
ダニエル「そうなんだ。ゆっくりしていって。」
ミシェル「メルシー。」
カフェでくつろぐミシェルの前をテファンが通り過ぎ、向かいの道路の植え込みの影に隠れる。
ミシェル「あ、テファンさん。」
誰かの後を尾けているテファン。
ミシェル「テファン兄さん、誰の後を尾けているのかしら?」
その視線の先にはアジア人の親子。
カフェの席を立ってテファンに近づくミシェル。
ミシェル「テファン兄さん。」
テファン「あ、びっくりした。ミシェル。アメリカじゃなかったのか?」
ミシェル「まだやることがあってもう少しパリにいるの。テファン兄さんこそどうしたの?」
テファン「ん?ちょっとね。」
ミシェル「やだ、いつから趣味が変わったの?あの熟女の方?それかロリコン?」
テファン「あのな、熟女好きでもロリコンでもないから。」
ミシェル「でもあの熟女とロリコンの後を尾けてるようにしか見えないわよ。」
テファン「ほっといてくれ。」
ミシェル「あ、こっちにくるわよ、熟女と若い女。」
テファン「まずいな。」
テファンにストールを被せキスするミシェル。
テファン「おいなんだよ急に。」
舞「あーキスしてる。やっぱりパリだな~」
沙織「見ちゃダメよ。舞。やっぱりパリだわね。キスか、ずっとしてないわ。」
通り過ぎる沙織と舞。
テファン「おい、ミシェル、いきなりなんだよ。びっくりするじゃないか。」
ミシェル「でも私のおかげで見つからなくて済んだでしょ。」
テファン「また、電話する。じゃあな。」
ミシェル「もう、テファンさんてば。」
テファンとミシェルをカフェの店内から見ているダニエル。
ダニエルのカフェにふてくされて戻ってくるミシェル。
ダニエル「どうした?何があった?」
ミシェル「あ、ダニエル。ああ、ごめんなさい。勝手に居なくなって、飲み逃げじゃないからね。」
ダニエル「大丈夫だよ。そんなこと思ってないさ、お得意様だろ。ところで今のはテファンだろ?テファンもまだアメリカに行ってなかったのか?」
ミシェル「うーん、そうみたいね。しばらく会わないうちに女の趣味が熟女とロリコンに変わったのかしら?」
ダニエル「熟女とロリコン?なんだそれ。
」
ミシェル「なんでもないわ。」
ダニエル「おい、ロイク店番を頼む。ちょっと仕入れの事で出てくるから。」
ロイク「わかりました。オーナー。」
茶髪のロイクが返事する。
夜、ホテルで舞と沙織の部屋
ミクと遊んでいる舞。
舞「ミク、ミクほらほら良い香りでしょ~」
沙織「舞、犬にそんな強い香りをかがせちゃダメでしょ。人間の嗅覚とは桁が違うのよ。」
舞「はあい、でもこれものすっごく薄めてあるのよ。嫌な香りならこんなに喜ばないって。ミクはこの香りがかなり好きみたいよ。」
沙織「何の香り?私には全然わからないわ。」
舞「そうでしょ~本当にかなり薄めてあるからね、フランキンセスよ。」
沙織「何?フランケンシュタインみたいな、それ?」
舞「フランケンシュタインじゃなくてフランキンセス。雑念を追い払って心を安らかに鎮めたいときに役立つって箱に書いてある。」
沙織「何を言いたいのかしら?」
舞「雑念を追い払って心を安らかに鎮めてね、ママ。」
沙織「あ、そう。とにかく香りが強すぎると犬にはかわいそうよ。」
舞「わかってます。」
沙織「え?ちょっと舞、あなたあのランプシェードをアロマランプに使ってるの?なんなのよ。」
舞「あーママ御免ね。ちょっと勝手に借りちゃった。あれもすごく薄めてあるから。」
沙織「もう。あなたって子は。」
ランプに向かって突進するミク。ガシャーン。落ちる、ランプ。
舞、沙織「あー」
沙織「ああ、壊れた。結構高かったのに・・・」
舞「ママ、ごめん。」
ミク「くうんくうん。」
ミクを抱き上げる舞。
沙織「明日、修理に出しましょう。せっかく買ったものだから。もう気にしなくていいわ。舞、ミク。」
次の日 パリのある店 オーベール・アンティーク
メラニー「今日も暇ね。クロード。」
クロード「はい、奥様。今日も暇です。私は修理品の続きを奥でやってますで。」
メラニー「そう、お願いね、クロード。」
沙織と舞が入ってくる。
メラニー「あら、ボンジュール。マドモアゼル。」
沙織「あら、マドモアゼルですって。舞。私、マドモアゼルだって。」
舞「お世辞でしょ。ボンジュール。マダム。」
メラニー「ボンジュール、マドモアゼル。いかがなさいました?」
沙織「実はこれを修理していただきたいの。」
ランプシェードを見せる沙織。
メラニー「おーマドモアゼル。せっかくの良いお品が可哀想なことに。でも大丈夫、うちの優秀な修理工のクロードが直してさしあげてよ。クロード。」
クロード「はい、奥様、お呼びですか。」
メラニー「クロード、お客様よ。このお品物を見て差し上げて。」
クロード「おお、なんてこと。ああ、でも大丈夫この枠が少し歪んだだけですから2~3日もあれば直りますで。」
メラニー「そう。マドモアゼル、よろしゅうございました。いかがなさいますか?」
沙織「2~3日で直るの?修理代はおいくら位?」
クロード「そうですね。80サンチーム位かと」
沙織「そのくらいならお願いしようかしら?ねえ舞。」
舞「ママ私もいくらか出すわ。」
メラニー「では、3日程お預かりいたしますね。マドモアゼル。これが預り証です。」
ダニエルのカフェ ロイクとダニエル
ロイク「オーナーしばらくバイト休んでいいすか?」
ダニエル「や、休まれるとちょっと困るんだけどどうした?」
ロイク「実は試験の成績が芳しくなくて、テストを親に見せないようにしてたんですけど、親が学校に問い合わせしちゃってばれてしまいました。」
ダニエル「もー何やってるんだよ。ロイク。上手くやれよ。テストはちゃんと親に見せなきゃ。点数の所をうまくいじって点数を高く見せるんだよ。はっはっは。」
ロイク「そうですか、いつもテストを隠して見つかってたからもうみせないようにしてたんです。」
ダニエル「ははは。それかいつも同じ位の点数のをいつもどおり見つけさせれば良かったな。葉っぱを隠すには山に、テストを隠すにはテストの山に、かい?」
ミシェル「こんにちはボンジュール、ダニエル、ロイク。何の話?」
ダニエル「ロイクの悲惨な結果のテストがまた親にばれた話さ。」
ミシェル「あーテストの話はしないで、私ももうテストはうんざり。」
ロイク「確かにテストが好きな人はいないね。」
ダニエル「ミシェルはもう院生だから論文中心だろ?」
ミシェル「だからよ。論文の方がもっと大変よ。このパリの空の青、河の青に紛れてどこかに流れて行ってしまいたいわ。」
ロイク「大学院も大変そうですね。あ、いらっしゃいませ、マダム、マドモアゼル。」
沙織と舞がやってくる。
ミシェル「あ、熟女とロリータ」
ダニエル「え?」
ロイク「何になさいますか?」
沙織「そうね、アンカッフェシルボプレ。舞は?」
舞い「私も同じものを。」
ロイク「ウィ、マドモアゼル。」
ダニエル「どうした?ミシェル顔が険しいぞ。」
ミシェル「なんでもないって」
ダニエル「熟女とロリータって言ってたな。もしかしてあの二人テファンと何か関係あるのか?」
ミシェル「知らないってば」
ダニエル「それはそうと今度これに行かないか?」
ミシェル「なあに?世界のガラス展。何これ?」
ダニエル「珍しいガラス製品がパリに一同に会するんだ。どう?綺麗だろ。
」
ミシェル「ガラスか・・ダイヤなら良いのに。」
ダニエル「ダイヤか。ガラスもダイヤもパッと見は同じだろ。綺麗なら良いじゃないか。」
ミシェル「私はダイヤが良いわ。」
オーベール・アンティーク
ドアが開く
メラニー「あら、あなたお帰りなさい。」
オーベール「ただいま、変わりない?」
メラニー「ええ変わりないわ。そうそうステンドグラスタイプのランプシェードの修理が入って今大急ぎでクロードが取り掛かってるところよ。ティファニースタイルと似てるんだけどちょっと違う気もするの。」
オーベール「ほう、それは手が混んだものかい?」
メラニー「ええ、光り方がとても美しいの。」
オーベール「そうかい、見てみよう。」
修理室
オーベールが入ってくる。
クロード「や、これはダンナ様、すぐに気づかずすみません。」
オーベール「おおクロードいいんだ。続けて、どうだい?良い品かい?」
クロード「それはもう。こんな光り方のステンドグラスタイプのランプは初めて見ました。」
オーベール「そうかい、どれ、私に少し見せてくれるかい?」
クロード「はいだんな様。これです。」
オーベール「これは・・・クロードちょっとこれを貸してくれないか?」
クロード「ええ構いません。今取り掛かってるのはこちらの別の部分ですから」
オーベール「メルシー、すぐに戻すから。」
オーベールの部屋
何か機械にガラスを当てている。
オーベール「これは・・・」
当てた機械の画面にカーボンと出ている。
オーベール「ダイヤを隠すにはガラスの中か・・・色にごまかされて気づかなかった。」
修理室
オーベール「やあ、クロード、このランプの写真を撮らせてもらうよ。」
クロード「はいだんな様。」
オーベールの部屋 どこかに電話を掛けている。
オーベール「では頼んだよ。使いの物に写真を渡す。2日以内に頼む。」
沙織と舞が泊まるホテルの部屋の前
沙織と舞が帰ってくる。
沙織「えーと鍵鍵と。どこに行ったかな。またバッグの底に沈んじゃった?もう、どこかしら。」
舞い「ママ、まだ?」
テファン「おや?マダムにマドモアゼル。どうしました?お先に失礼。」
さっさとテファンは隣の部屋に入っていく。
沙織「ちょっと、なんで隣に入ってくの?やっぱりストーカーじゃないの?」
舞「わあ、お兄さんと隣同士なの?嬉しいな。」
沙織「ちっとも嬉しくないの。鍵が無いじゃない。どうしたのかしら?」
舞「どこかで落とした?」
沙織「フロントに言おう。」
隣の部屋からテファンが顔を出す。
テファン「どうしたの?鍵が無いんですか?それかうちの部屋に泊まる?」
舞「え?いいの?お兄さん」
沙織「ちょっと舞、何考えてるの。いいえ、結構です。鍵を新しく作り直してもらいます。メルシーボウクウムッシュー」
テファン「テファンです。キム・テファン」
沙織「あらっそよ。韓国のキムさんか中国のキムさんか存じ上げませんが、大丈夫です。」
テファン「生憎と僕はパリ生まれのパリ育ちの生粋のパリっ子なんです。よろしく。」
舞い「え、パリ生まれのパリ育ちなの?かっこいい。」
沙織「いいから舞。オブワール ムッシュ」
フロント
クローク「それは大変でしたね。ではこちらが新しい鍵です。もう古い鍵は使えませんので。」
沙織「本当にメルシ。それにしてもよりによって何で隣に?もしかしてまだあのランプを狙ってるのかしら。」
テファンが自分の部屋のドア全開で待っている。
舞「キムテファンお兄さーん」
テファン「ハイ、舞ちゃん。」
舞「わあ、私の名前覚えてくれたの?」
沙織「いいから、お休みなさい。パリ生まれのパリ育ちの生粋のパリっ子のキムテファンさん。」
テファン「そう、生粋のパリっ子なんです。お休みなさい。」(笑顔)
沙織「パリ生まれのパリ育ちなのにどうしてホテルに泊まってるのかしら?」
テファン「アメリカに留学するのが少し延びたんです。」
沙織「そう、ご自分のアパートは?」
テファン「一旦解約したんです。だから今はとりあえずホテル暮らし。」
沙織「あら、そうだったんですか。そうそうあのランプは今は壊れて修理に出してるのでここには無いの」
テファン「え、そうなんですか、残念だな。修理代がかさむようなら僕がお金出して共同所有にしましょうか。」
沙織「まだ言ってる。ボンヌヌィ、ムッシューキムテファン」
舞「おやすみなさい。お兄さん。」
あるバー 写真を見ながら話す二人
グレン「おい、ギスラン信じられるか?このガラスの中にダイヤが埋め込まれてるらしいぜ。」
ギスラン「グレン。ホントかよ。ガラスなんて透けて見えちまうだろ?」
グレン「そう思うだろ?でもこの色の付いてる所らしい。」
ギスラン「考えたな。」
グレン「だろ?」
ギスラン「でもどうするんだ?ねこばばなんかしたら一生組織から追われる身になっちまうぜ」
グレン「そんなことするわけないだろ。俺は使いに走っただけさ。それだけでこの報酬だぜ。十分さ。」
カウンタの中のバーテンと目配せするギスラン。
次の日の朝 沙織と舞とテファンの泊まるホテル
舞「お兄さん、朝ごはん行きますかあ?」
沙織「舞!何やってるの。」
テファン「ボンジュール舞ちゃん。朝ごはん行きましょう。」
沙織「ちょ、ちょっとー」
同じテーブルで朝食を摂る三人。
舞「へえーお兄さん、日本語もペラペラなんだね。楽~。」
テファン「あはは、仕事で何年か居たからね。おおきに、まいどごひいきにしとくれやす~」
舞「あははは~、関西弁?」
沙織「なんか色々、混じってるんじゃないかしら。」
舞「ねえ今日はお兄さんはどこに行くの?」
沙織「聞かなくてもいいから。舞」
テファン「今日は美術館巡りだよ。」
舞「わあ、一緒に行きたい。ねえ、ママいいでしょ?」
テファン「学芸員位詳しい解説しますよ。」
舞「すごーい。」
沙織「仕方無いわね。」
舞「やったー」
テファンの解説で美術館を巡る二人 BGM パリの空の下
昼下がり ダニエルのカフェにやってくる沙織、舞、テファン。
舞「あ、このカフェ昨日も来た。」
テファン「そう?ここ僕の知り合いのカフェなんです。」
沙織「そうだったの。」
舞「お兄さん、すごーい。」
沙織「舞、’すごい’ばっかり言ってるわね。」
ダニエル「やあ、テファン。久し振り」
テファン「久し振り、ダニエル。」
ダニエル「テファンこちらは?」
テファン「隣の部屋に泊まってる舞さんとえーと」
舞「ママ、お兄さんにまだ名前教えてなかったの?」
沙織「沙織です。高梨沙織。こちらは娘の舞。ボンジュール。」
ダニエル「オーナーのダニエルです。あちらはバイトのロイク。」
ロイク「ボンジュール、ロイクです。昨日はありがとうございました。」
舞「わあ、イケメンばかり。」
沙織(心で)(悪い気はしないわね)
ダニエル「そう言えばこの前ミシェルと何かあったのか?なんだかお冠だったぞ。」
テファン「ん?あ?ああ。ちょっとな、いや、なんでもないんだ。」
ダニエル「ミシェルをこれに誘ったんだけど、ダイヤの方がいいって言われちゃってさ。女はめんどくさいよ。」
テファン「世界のガラス展か。おや?」
舞「あれ?この写真、ママが買ったランプになんだか似てる。」
沙織「ホントだわ。でも絵柄がすこし違うみたい。」
テファン「シリーズものなのかな?でもいずれにしろ掘り出し物でしたね。あの値段でも安い位ですよ。」
沙織「だからあまり値切らなかったのね。」
テファン「ふふ。」
舞「お兄さん、かっこいい。」
沙織「なんだ、そうと知ってれば粘って値切らなかったのに。舞、あなたも価値のあるものなのにアロマランプ替わりに使うなんて」
舞「ごめんなさい、でも明後日には修理出来上がりでしょ?」
沙織「そうだったわね。朝一番で取りに行かなくちゃね。」
テファン「僕も一緒に行きましょうか。」
沙織「そうね、お願いしようかしら。」
舞「ママやけに急に素直になったじゃない。」
沙織「もお、生言ってるんじゃないわよ。では、生粋のパリっ子学芸員のキムテファンさんよろしくお願い致します。」
テファン「ウィ、マドモアゼル。えっとそれか、かしこまりました。それかハングルがいい?アイゲスムニダ?」
一同 笑い
オーベール・アンティーク
オーベール「出来たか?わかった。この前の場所で。」
ガラス展が開催されてるホテル
支配人「気を付けて運んでくれよ、全部ガラス製品なんだから。」
作業員1「ウィ、ムッシュー」
作業員2「これだけ割れ物があると怖すぎるな。ルネだかレネだか知らねえけどよ。」
作業員3「そうだな。しかも高い物ばかりなんだろ。」
作業員2「あー嫌だ嫌だ。今にも倒れそうな形ばかりだな。」
作業員3「高いガラスより、砂粒位の安い茶色いダイヤを一粒の方が気楽かもな。」
作業員1「そうかもな。」
警備員1「あんた達も大変だね。」
作業員1「お、警備の旦那方、お疲れ様です。これだけ運び入れたら今日は一旦終わりですんで」
警備員2「そうか、わかった。じゃあ、それが終わったら、セキュリティ掛けて俺たちもやっと帰れるかな。」
警備員1「そうだな。やれやれ。」
作業員2・3「終わりやした。」
作業員1「よし」
警備員1「じゃあ、俺たちも帰るか。」
警備員2「そうだな。お疲れ様。」
ある橋の下の物陰
合い言葉を告げる。
グレン「セッチュンニュブロッシュシルボプレ。(このブローチをお願いします。)」
オーベール「ウィームッシュー。(かしこまりました。)」
グレンから袋に入った箱を受け取り中を確認すると、オーベールは満足げにうなずき受け取る。
ホテルのバー
沙織「あー良い気分、テファンさんにすっかりごちそうになっちゃって。ありがとうございます。」
テファン「この位お安いご用ですよ。」
舞「美味しかったあ、ノンアルコールカクテル。大人っていいなあ。いつもあんなお洒落なところであんな美味しいもの食べたり飲んだりできるんだ。」
テファン「じゃあ、舞ちゃんも早く大人にならないとね。」
沙織「あらあら、舞にはまだまだ早いわよ。帰ったらしっかり宿題をやってもらわなきゃね。」
舞「もー、旅行中位宿題のことは忘れたい。ママの意地悪。」
沙織「そうだ、明日はあのランプの修理の出来上がりの日だったわ。」
舞「そうだー。楽しみ。」
テファン「僕も行きましょうか?」
沙織「そんな、そこまではお願いできないわ。」
テファン「じゃあ、僕はガラス展に先に行ってますね。」
沙織「そうね。後から合流させていただくわ。」
舞「展示も楽しみ~。」
一同 笑い
オーベール・アンティーク 夜更けの修理室
ギスランから受け取った偽物を沙織が持ち込んだ修理品とオーベールがすり替えた。
次の日の朝 オーベール・アンティークの店先 沙織たちは何も知らずに受け取る。
沙織「こんにちは」
メラニー「ああ、マドモアゼル。お待ちしておりました。出来上がってましてよ。クロード。」
クロード「はい、マダム」
箱を開けて見せる。
舞「わあ、ちゃんと綺麗に直ってる。綺麗。」
ミク「ワンワンワン」ミク尻尾を振っている。
沙織「ありがとう。メルシーボウクウ」
舞「ミクも嬉しいんだね。もう突進しちゃだめだよ。」
クロード「良いお品物ですね。大事になさってくださいね。」
メラニー「今後も御贔屓に。」
ガラス展の開催されてるホテル
静かな曲が流れる展示会場。
様々なガラス製品
ルネラリック
ガレ
ティファニー
テファンとミシェルとダニエルが話し込んでいる。
クロード(オーベール・アンティークの職人)がランプの前で熱心に見ている。
テファンが沙織と舞の方へ歩き出すのを見てクロードはランプの前からそっと離れる。
舞「テファンさーん。」
沙織「こんにちは。」
テファン「沙織さん、舞ちゃん。どうも。」
ダニエル・ミシェル「こんにちは。」
沙織「あら、こんにちは。」
舞「カフェのお兄さんとお姉さん、こんにちは。」
展示場を眺めて
沙織「素敵な物ばかりね。」
テファン「そうですね。」
ダニエル(ミシェルに)「来て良かっただろ?」
ミシェル「え?ええ、そうね。」テファンと沙織と舞をチラチラ見る。
ホテルの支配人がやって来る。
ジャンポール「ボンジュール」
テファン「ボンジュール。紹介しますね。こちら日本からいらっしゃった高梨沙織さんと舞さん。こちらホテルの支配人のジャンポールさんです。」
沙織・舞「ボンジュール」
ジャンポール「ボンジュール」
テファン「ああ、そうだ。沙織さん、舞さん。僕、謝らなければならないことがあるんです。」
沙織「え、何かしら?」
テファン「実はあれから調べたんですが、沙織さんが蚤の市で購入したランプは、ここに展示されてるランプのシリーズではありませんでした。僕の勘違いでした。すみません。」
舞「そうなんだーちょっとがっかり。」
沙織「そうだったの、返って気が楽になったわ。本物を持つなんて気が重いもの。」
舞「それもそうだね。では気兼ね無く使わせていただきます。」
沙織「もう、この子は。」
一同 笑
沙織「(肩をすくめて微笑みながら)せっかくだから、本物と偽物の違いを比べてみたいわ。(ジャンポールに向かって)ムッシュー、私が持っている物をここで出して展示の物と見比べても良いかしら?」
ジャンポール「おお、どうぞ。」
沙織「メルシーボウクウ、あ、支配人もここに居てね。」
沙織、ランプを出してしばらく見比べている。
柱の陰からグレンが走り寄って来て沙織からランプを奪う。
沙織「あー!」 倒れる沙織。駆けつけて助け起こすテファン。グレンを追うジャンポール。
ロビーをゆっくりと歩いているクロード。クロードの後から走って行くグレン。そこにジャンポールが掴みかかる。3人とも倒れ込む。ガシャーンと割れる音。
一同 「あー!」
辺り一面に砕け散っているガラス片
駆けつける舞、沙織、テファン、ダニエル、ミシェル。
舞「ああ、また壊れちゃった。」
沙織「修理してくれた店の職人さんですね。大丈夫ですか?」
テファン「これは?」
クロードが落とした袋からランプが出ている。
オーベール・アンティーク 昼間 裏口
ギスランが裏口の窓から中を覗いている。日差しで眩しいのか手をかざして覗いていて手首を木の古い窓枠で擦ってしまう。
ギスラン「痛っ。ちくしょう。」
手袋をすると裏口をこじあけて侵入する。
ギスラン 2階のオーベールの部屋に入る。金庫を開けようとするが開かず、仕方なく、机の引き出しをこじ開け物色し、入っていたアクセサリー等小物を持って逃げる。
入ってくるオーベール。いつもと違う様子にすぐに気づき金庫をチェックする。開けられてないのを確認してホッとするが机の引き出しがこじ開けられてるのに気づき、中をチェックしてアクセサリー等小物が無いのに気づく。しばらく迷っているが電話する。電話した後に金庫を開けてそそくさとランプを天井裏に移す。
再び展示会のホテル
舞「どうしてランプが二つあるの?」
駆けつけた一同 警備員に押さえられてるグレン。
ミクがクロードが落とした方のランプを舞の元へ袋を引きずって来る。
ミク「くうーん くうーん」
舞「よしよし、こっちがお気に入りなの?でも変だなあ。これおじさんが持ってたのでしょ?」
クロード「申し訳ございません。申し訳ございません。」床にへたり込んだまま謝っている。
テファン「何か訳がありそうですね。」
クロード「申し訳ございません。申し訳ございません。」
テファンとジャンポールが顔を見合わせる。
ホテルの一室
一同が会している。
沙織「そう、そうだったの、それであなたが私のランプを持っていたのね。」
クロードは修理に持ち込まれたランプを見た時からそれが自分の祖父の作であると気付いていた。
クロードは自宅で徹夜で同じ物を作り、オーベールがすり替えるよりも前にすり替えていたのだった。
クロード「今までも良い品が入ると偽物を用意させてすり替えていたようですが、これだけは取られてなるものかと、今回は私が自ら罪を犯してしまいました。申し訳ございませんでした。だんな様は今回は偽物と偽物をすり替えただけです。今回はだんな様は罪に問わないでください。お願いします。」
テーブルの上の枠が歪んだランプと抜けたガラス片が並べられ警察が調べている。それを見ながら舞が。
舞「偽物は粉々だね。私たちのは枠が歪んでガラスも少し抜けちゃったけど。」
舞の膝の上でミクがじたばたしている。テーブルに載せた袋の上のランプを見ている。
沙織「また、枠が歪んじゃったみたいからおじさんに直していただこうかな。あれって返していただけるんですか?」
テファン「うーん、多分、警察が一通り調べ終わったら返してくれるとは思いますよ。」
舞「直ったら思い切り使おうね、ミク。」
沙織「もともとクロードさんの家のものなら戻さないとね。」
クロード「いえいえ、そのようなことは望みません。それは沙織さんが正当に購入されたものですから。」
じたばたするミク
沙織「ありがとうございます。クロードさん。それにしてもミクの鼻ってどうなってんのかしらね。」
舞「ねー」
テファン「あはは」
一同 笑い
警察が部屋に到着する。
ジャンポールと何か話している。
ジャンポール「メルシーメルシー」警部と握手している。
警部「皆さんにご報告があります。今回の件で事前に大窃盗団を捕えることができました。ありがとうございました。」
ダニエル「え?なになに?なんだか展示よりも面白くなってきたぞ。」
ミシェル「もう、何言ってるのよ。疲れたから、早く帰ってカフェでゆっくりしたいわ。」
テファン「みんな疲れただろ?」
ダニエル「面白かったぜ。」
ミシェル「まあまあね。」
ダニエル「そっちこそ何言ってんだよ。」
三人 笑う。
警部の報告によると
オーベールの部屋に侵入したギスランが窓枠に残した上皮から捕まり、そこから今日の展示の後に警備員ごと買収した窃盗団が検挙されたのだった。ギスランはまさか後暗いオーベールに通報されるとは思っていなかったらしく、連行される時はかなり悪態をついていたらしい。ギスランが安物のジュエリーだと思っていた物の中にオーベールの亡き母の形見があったのだ。
オーベールも天井裏に隠してあった過去の横領品が見つかり捕まった。
泣き叫ぶメラニー。
オーベール・アンティークは店をたたんだ。
フランス シャルルドゴール空港
見送りに来たテファンとダニエルとミシェル
テファンの腕にはミクがいる。
ミク「くうーんくうーん」
舞「テファンさんミクをお願いね。」
沙織「本当に色々とお世話になりました。みなさんもお元気でね。」
ダニエル・ミシェル「ええ」
テファン「どうします?ミクは検疫にパスすれば日本に送れますよ。」
沙織「そうね。どうするの?舞。」
舞「また、ミクとお兄さんやお姉さんに会いにくるから。ミクをお願いします。」
沙織「そうね。じゃあ、それまであのランプもあなたにお預けするわ。」
テファン「わかりました。やっぱり共同所有になりましたね。」
沙織「もう、預けるだけよ。」
テファン「かしこまりました。奥様、お嬢様。」
横目で見るミシェル。
舞「じゃあね~」
沙織「また」
手を振る一同
飛行機を見送る三人
ダニエル「おい、テファン、ぶっちゃけ、沙織さんに惚れたんじゃないのか?」
ミシェル「・・・・」
テファン「何のことだよ。」
ミシェル「ふん、だから熟女の方?それかロリコン?」
テファン「もういい加減にしろよな~」
ダニエル「あははは」
ミシェルとテファンもむくれていたがダニエルの笑い声に釣られて笑う。
東京 銀座
沙織と友人2人がお茶をしている。
友人1「え?それで?それで?どうなったの?その後。」
沙織「何?その後って。別に何もないわよ。もう全部話したでしょ。」
友人2「えええーー。それで全部終わりなの?そのイケメン君とはまた会うの?」
沙織「何言っちゃってんのかしら?会うの?ってそりゃ預けてあるものを受け渡す時には会うかもね。」
友人1・2「ほーらー」
沙織「ほーらーって。何?なに?何を期待してるのかなあ?この熟女たちは。」
友人1「何ってそりゃあ、ロマンスよねー」
友人2「ロマンス・・・」 遠い目をしている。
沙織「はあ?私にはダンナがいるんですけど。」
友人2「それか舞ちゃんの彼氏はどう?」
沙織「あーだめだめ。舞にはまだ早いわ。っていうか舞にはおじさん過ぎるし、私には若すぎる。」
友人1「そうかなあ、最近は年の差カップル多いよ」
沙織「もう、だから私にはダンナがいるんだってば。」
友人1「パリに発つ前は散々離婚だった騒いでた人がどうしちゃったのかな~」
沙織「え?そう?そうだったかな。」
友人2「離れてみてダンナの良さに気付いたのかしら?」
沙織 遠くの空を見つめる。
フランスの地方の墓地
クロードが墓参りに来ている。
クロードが子供の頃、祖父の工房での事を思い出している。
祖父「クロード、綺麗だろう。ここにこれを入れるともっと綺麗に光るぞ。」
ダイヤをガラスに入れる祖父。
祖父「この辺りも戦火が激しくなってきたからな、こうしておく方が安全だよ。」
上着のポケットから何かを取り出して太陽の光にかざす。あのランプのガラス片の一部。青いガラス片の中でダイヤが一際煌めく。微笑むクロード。
高梨家のベランダ
ベランダに寄りかかって星を見上げている
沙織の肩にそっと上着を掛ける正也。
沙織「あなた」
正也「パリはどうだった?楽しかったかい。」
沙織「え?ええそれなりに楽しかったわ。」
正也「ほお今度ゆっくり話を聞かせて。」
沙織「そんなに語るほどでもないけど・・・」
沈黙がしばらく続く
正也「今度、二人で旅行にでも行くか?」
沙織「え?」
舞「あー二人で何処に行くの?」
顔を見合わせる沙織と正也、自然と笑みがこぼれる。沙織と正也の間に舞を入れて親子三人で星を眺める。
沙織「星が綺麗ね。」
舞「あ、流れ星ーー。願い事しなきゃ」
正也「何お願いしたんだ?」
舞「秘密。」
正也「秘密かあ。」
沙織「白状しなさい。」
舞「秘密ったらひ・み・つ」
沙織「もう」
正也「ははは」
笑う一同
星空にフェードアウト
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あらすじ
仕事ばかりしている夫の正也との日本での生活に嫌気がさした主婦の沙織は娘の舞と二人でパリにやって来る。蚤の市で偶然みつけたステンドグラス風のランプに魅せられた沙織は購入するがそこで同じランプを気に入ったパリ在住のアジア系の青年のテファンと知り合う。
その頃パリでは世界のガラス展が開かれていた。沙織が購入したランプと似たランプも出品されていた。ホテルでランプが壊れてしまいパリで修理に出したのだが、そこから何やら怪しい展開が・・・。
登場人物
高梨沙織 41歳 専業主婦
高梨 舞 16歳 高校生 沙織と正也の娘 楽天家 実は孝行娘。
高梨正也 48歳 沙織の夫 仕事熱心な男性 沙織とはお見合い結婚
キム・テファン 28歳 日本と韓国のハーフ系フランス人 フランス語がネイティブ 他 英語 日本語 韓国語 を使い分ける。 イベント会社で働いていたが、知識・経験を広げる為にアメリカに留学予定。 多趣味で音楽 美術など多方面に興味を持っている。
ダニエル 28歳 パリのカフェのオーナー 若くして経営者となる。テファンの同級生 ミシェルが気になる。
ミシェル 26歳 お金持ちのお嬢様 大学時代のテファンとダニエルの後輩 大学時代からテファンが好き
オーベール 62歳 美術品店の主人
メラニー 58歳 オーベールの妻
クロード 64歳 オーベールの店の職人
ジャンポール 55歳 ガラス展の展示会場のホテルの支配人
ギスラン 窃盗団の手下
グレン ギスランの友人