チコは辛抱強い犬。
それは生い立ちにも原因がある。
チコがうちに来たとき、
まったく表情がない犬だった。
宙をみつめるガラス玉のような目。
チコはショップで販売された犬だが、
病気があるからと、無理矢理返品された。
そして、人から人へ。
めぐりめぐってうちにきたときには、
何も見ようとしない犬になっていた。
強烈なハンドシャイもあり、
人の手を怖がった。
チコを癒やしたのは先住犬のはなの体温。
何度怒られても、
チコは、はなのそばに居たがった。
決して離れようとせず、
本当の母犬のように慕っていた。
しかし、
そんな時間は長く続かなかった。
はなは、おばあちゃん。
酸素テントに入るようになり、
程なくしてはなは虹の橋を渡っていった。
犬も泣くのだな。
動物に、人のような感情はない。
そう言われることもあるけれど、
チコをみて、幾度かそう思ったものだ。
今は笑うよー