理想のダンサ。【イラスト】

　皆さん。マイ枕、ありますか？
　余所でお泊まりした時って、眠れなくないですか？

　ぼくは、マイ枕ありません。
　ってか、枕使ってません。

　なんつかね。
　ぼく、まだ理想の枕に出会ってないの。

◇

　一時期、すんげー枕沢山買い集めたこともあります。
　でもね。
　どれも、なーんか、しっくりこないんだよね。
　朝起きた時、枕の上に頭があったことないもの。
　みんな、寝てる間に遠くへ押しやっちゃってる。
　理想の高さの枕を求めて、試行錯誤の日々は続いてました。

◇

　しかしです。
　そんなぼくが、理想の高さをこの前発見しちゃったんですよ！！
　残念ながら、それは枕ではありませんでした。
　それは……

　敷き布団と、床の段差。
　…………

　はい。つまり、その高さを枕として利用すると、必然的にこのような寝方になります。


　なんか。
　なんか、とっても残念な寝方ですね。
　確かに。確かに
　悩ませていた頭の位置の問題は、クリアー。

　その他の睡眠時における全ての問題がレッドシグナル。

　掛け布団の意味は？
　睡眠時強制無呼吸症候群？
　寧ろ、命の灯火は大丈夫か？
　朝を迎えた時に、冷たくなってたりしないのか？
　……と、そうツッコミたくなります。

　でも、時々やっちゃうんですよね～。どうしても頭の位置が落ち着かなくて眠れない時とか。

◇

　ある朝、ぼくがこのような寝方をしている日。
　姉が起こしに来ました。

　扉を開ける音で、ぼくも少しだけ覚醒します。
　姉の声だけ、聞こえる状態。

「な……！！」
　流石に姉も狼狽したようです。
　しかし……そこは、鬼姉。すぐに冷静さを取り戻し……
　そして一言。

　
「……なんだ。永眠中？　……なら、起こす手間、省けたわ」
　ヤツは、そのまま何事もなかった様に扉を閉めて、去っていきました。