前回前置きさせていただきましたが、今回は佐藤仲也として、意見をのべさせていただきます。前回も書きましたが、これまでこのブログでご紹介させていただいたお店、企画、人と今回の記事の内容とはまったく関係ありません。あくまで私個人の見解です。どうかご了承ください
原発県民投票を実現しようという署名活動が新潟県内で始まっています。
この署名が新潟県内の有権者総数の50分の1、人数にして約4万人以上集まりますと、新潟県内にあります原子力発電所の再稼働の是非を新潟県内の有権者に直接問うという県民投票条例の制定を求めることができます。
私もこの署名の受任者かつ、賛同人として、署名し、かつ新発田市にある「ギャラリー栞(かん)」の協力をいただき、お店で署名を受付中です。
なおこちらから積極的にお話をするというスタンスはとっておりません。店内の張り紙などで、ご興味をもたれた方のみにご説明、ならびにご署名のお願いをしております。
この活動は、反原発運動そのものと深い関係があるとの見方もあります。
私はその立場で署名をお願いはしないのだという考え方を持っていますが、そもそも賛成、反対を問う場に原発を持ってくること自体が、あの福島での事故の後、あるいは最近の再起動に対する反対デモの報道などから、すでに原発に反対の流れを作ることと同じではないのかという考え方もあるかと思います。
でもあえて私は、原発推進、原発反対双方の考えや思い、情報をお互いが主張しあう場が今こそ必要なのではないかと思うのです。
はなはだ暴論ではありますが、あの震災と事故の前、私は東京を始めとする電力大消費地に原発を建設するというのなら、喜んで賛成すると考えていました。そして今も喜んでは賛成しませんが、大都市のど真ん中でもできますという技術の展望ががあったとしたら、推進してもいいくらいの考えを持っている人間です。私のような考え方以外にも、賛成、反対、どちらかなんてよく分からないし、今のところ興味はないという方もまた多いのではないでしょうか。私の率直な感想ですが、原発の意見がメディアに載ってもどうもよく分からないというのが実感です。なんだか肝心のところがぼやけている印象があるのです。
分かりにくい議論も、もしこの県民投票条例ができたら、推進派、反対派双方が、新潟県内の有権者すべてにむけて、その意見をわかりやすく、また多くの場所、時間を割いて主張しなくてはならなくなります。
なぜなら、今回の署名と違い、その署名を受けて制定されるかもしれない条例の投票結果は法的拘束力こそありませんが、その結果が県民有権者の過半数の意見である場合、行政、立法に関わる人々はその結果を無視することが難しくなります。仮に無視したとしても、議員さん、知事さんは、その理由をきちんと説明する必要が出てきます。
これは、関心があるけど、やはりよくわからない。もっとよく知りたいといった方や、今まで関心がなかったけど、あちこちで話が聞けるなら聞いてみてもいいかなという方にとってもいい機会になると思うのです。
それも、県民投票という形で多くの有権者の意志がはっきり示されればこそなのです。その投票のために推進派、反対派双方はきちんと主張する必要が出てきますし、有権者はその主張や意見を聞いてからどちらに投票してもいいわけです。今より多くの情報や知識を聞くことが出来る機会だという、これが大きな理由です。
私は原発を推進する方からは、原発がどうしても必要だという意見の他にも、あの事故のあと、どんな原子炉なら大丈夫なのか、稼働を続け、新しい技術を開発したその先に、廃棄物を極力出さず、かつ災害が起きて、原子炉に被害が出ても周辺を汚染しない、現在火力発電所が人口密集地にあるように、原子力発電所にもその可能性があるのか、ないのか、推進することでこれらのことが可能なのか、どうか。聞いてみたいです。
反対に原発反対の方には、その代わりとされる再生可能エネルギーの可能性だけではなく、具体的な取り組みと、仮に原発がなくなった場合に、今まで原発に依存してきた地域、雇用、何よりエネルギーの使い方などの新たな受け皿を、こちらは極力具体的に聞きたいです。
それがなければ福島をはじめ、災害によって暮らしを壊された人々の苦しみを、今度は人為的に、原子力関連企業につとめ、現在も危険な作業に従事する方々、立地地域に住んで、今まで潜在的な危険を抱えて生活されてきた方々に強いることになります。原発の是非についてはもっと具体的な、ただ反対ではなく、新たな提案と、その実現への道筋がほんとに必要だと思います。
私はどちらの方からも話を聴いてみたい。なぜなら、ここまでいろいろ言っておきながらなお、今でも私は、反対ならば反対で具体的な取り組みをまだ何もできておらず、推進ならば推進と言い切ることもできません。
はじめのほうで推進でもかまわないとは書きましたが、今現在の、推進や再起動の理屈だけでどんどん進んでいくということなら、、また地方に面倒や嫌なことを押し付けて、代わりに補助金という考えに賛成だということになります。私はその考えだけは賛成できません。過疎問題や都市部への富の偏在、放射性廃棄物の処分についてなど、なぜいつも地方が負担をという思いが私には強くあります。
推進、反対、どちらが絶対に正しいかなんて関係ないとは思いますし、被災者の気持ちになってみたらうだうだ言っている場合じゃないのではないかとも思います、さんざん偉そうなこと書いて、自問自答はぐるぐるしています。正直いって無駄に考え過ぎています。
だからこそ人の話を、真剣なやり取りを聴いてしっかり考えてみたいのです。そのために私は、その場を作る機会を作ることができるのではないかと思い、署名をし、かつできる限り多くの皆様にご協力をお願いしたいのです。どうかこの署名活動をしている方、声をかけてきた方がいたら、ご協力いただきたいと願います。
はなはだ勝手なことばかり書いておりますが、様々な考えの人間が、この署名活動には関わっているのだと、そのことで、すこしでも幅広く、多くの考え、職業、背景を持つ方にこの署名活動が広まればとの思いが私にはあります。人任せもはなはだしいのですが、私自身の知識、力不足を痛感しています。お願いしかできない自分がいます。
この署名活動を推進し、応援、あるいはすでに署名してくださった方には、私のこの一連の記事について、大変不愉快な思いをされるかもしれません。ただ、新潟県民のうち最低でも4万人という方に賛同していただくには、幅広いスタンスでの呼びかけは必要だと思います。
迷いながら、というかあるいは様々な話を聞いて、納得できたら再稼働、ならびに原子力発電推進になってしまうかもしれない人間だって署名活動しているんだと、はなはだ小さい声ではありますが、ここに表明いたします。
それから、自分の意見をいう、それが形にならなくても、必要だと思っています。
再稼働デモのニュースが最近よく流れるようになりました。でも再稼働の流れは止まりません。それを決めるのはやはり政治家です。
だからといって、声をあげないというのでは、できないこと、無理だと思うことはやる意味がないということになりかねません。
署名が有効な数集まったとしても、県民投票条例を決めるのは、私たちの議員さんや知事さんです。
東京では、やはり都民による条例制定を求める署名活動がありましたが、こちらは多くの署名が集まりましたが、条例は制定されませんでした。残念ではありますが、政治の責任でくだした決断であるなら、推進派、反対派、そのどちらでもない方はそれぞれがまた別な形で主張したり、疑問を解決することが必要となると思います
それでもいいと思っています。政治は社会には必要ですが、頼りすぎたり、期待しすぎたりはもうしてはいけないのかもしれません。もう一度、自分の反省をこめて、やはり自分の頭で考えるべきなのだと思います。そのために、多くの方々にご協力いただきたいと思うのです。これは署名をして私の疑問を解決してという意味では決してありません。個人同士が話し合う機会をもち、判断する材料を多くもち、まずは自分たちで疑問を解消したり、ものごとを解決しょうとする、今回の署名活動がそのきっかけになればいいなあと思っています。
そして政治の力を軽んじているわけではありません。ただお互いみんなが主権者であるなら、なかなか大きなことはできなくても意見の表明くらいはさせてもらってもいいのではないかとそう思っているだけなのです。
新潟県の皆様、原子力発電所のことについて自由に意見を表明したり、質問したり、討論する機会を持ってみませんか?今回の署名活動を私なりに要約すれば、この一点だけなのです。
いろいろ書きました。ただできますならば、この一点においてでも、多くの方々に署名にご協力していただけたら幸いです。
新発田市「ギャラリー栞(かん)」の署名簿では新発田市に住所のある方のみ、署名を受け付けております。他の地域の方も、署名を集めている方に詳しくお聞きになってから、どうかご協力いただければと思います。直接請求の署名のため、署名の他に捺印も必要となります。署名期間は来月の8月22日までとなります。
あてもなく書いてしまいました。長文におつきあいいただきありがとうございました。