ということで「COVID-19」。去年4月にパンデミック下のライブにかかわる調査研究、主に観衆側の意識を取り扱い(赤盤)、アーティストやスタッフ側の意識、行動調査が青盤として出版予定。演劇の世界でも同様の調査研究が行われていて、その紹介も(登壇者ゲストにも登場)。
最近のフェス、多くが中止になった中、フジロックが開催されて批判を浴びた話。規模は4分の1程度、報道にも微妙に事実と異なる報道。
2010年代は音楽市場は音楽ソフト市場が縮小する中(とは言え、配信音楽は芽が出てきたと言う感じ)、ライブ市場が大きく(3倍近く)伸びていた。
コロナ以前の政府助成、文化庁は主に伝統芸術中心だが、額は小さく、経産省のクールジャパンは額が大きくポピュラー音楽も恩恵。
文化芸術活動の継続支援事業がいまいち不人気だったことの分析。
根本的な問いかけが刺さる、文化という「豊かさ」を研究対象にしていた研究者が、その空間で生活している人たちの生命、生活を脅かされる自体に無力であった、何ができることはなかったのか?
続いて助成の問題。先ほどの登壇者も問題にしていたが、さらに深堀。申請の煩雑さ、申請の条件が現場に即していないなど。
そもそも文化財は既存の経済学では扱えない。新しい経済学が必要。
ハイカルチャー、ポピュラーカルチャーの区別の消滅が言われている。
文化庁の調査にクラブ、ライブハウスが含まれていない(座席数で定義、これらは単なる飲食店にカウントされているよう)のはなんともお粗末だなあ。確かに、「分か価値」と言うものをお役所が議論できるような定義にするのは難しいと言うのはあり、経済的価値で示せないと動かないと言うのはあるな。
で、早稲田大学演劇博物館の方の、演劇シーンでのコロナへのアクションの発表。と言うかまず、早稲田の演劇博物館は一度行ってみたい。
そう言えば、演劇を配信で見たことないな(先月の杉本有美ちゃんの舞台は配信していたが、見てない)。テレビや映画の編集されたコンテンツとどうやって差別化していくのか、気になりますね。
なんと言うか、博物館の使命として、コロナで起こった演劇にまつわる全てのことを記録して後世に遺す活動への熱意が感じられて、私たちには他の分野でも後世に何を残すべきか、と言うことを突きつけられているような気がした。
考えてみれば、これまで行政の援助を受けずに産業として自立していた音楽産業は「豊か」であったと言える(インディーズと言うタームの存在自体、自立性を重んじる姿勢がよく分かる)。まあ研究者にとっては、フィールドワークが困難な一因にもなるが(だからこそ研究する価値がある訳だが)、研究調査する重要性があると思う。
なるほど、経済学や政治学の学会であれば、研究成果を実社会にフィードバックするアクションもあるが、ポピュラー音楽学会では今までそう言うことはやって来なかった。もちろんアカデミズムが直接社会に働きかけるパイプはなかなか難しく、音楽関係者による団体と組んでやることがより現実的に必要だ、と言う結論に。
そして、抽象的な学問ではなく現場の底辺まである程度網羅しないと、現代のポピュラー音楽を扱う上では足りない。そう言う幅広い底辺までアーカイブしていくのはどうやってやって行くのか、すべての研究者の課題のようです。
おお、緊急事態宣言下でライブやってたと言う報告も!(噂レベル)これはガチでアンダーグラウンドやなあ(日本はロックダウンではないので、法的拘束はできないので、十分あり得る話)。
うーむ、音楽産業は芸術音楽とポピュラー音楽が分かれていて、こういう事態で共同できなかったのはなぜなのか?と言う指摘は重い。演劇はそうした壁もなく全体を見渡していた(演劇は音楽(ポピュラー)に比べると音楽ほど採算が取れない)。
#と言うことで午前のセッション終了。午後は参加予定なし。
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